海上忍のラズパイ・オーディオ通信(30)

【ラズパイオーディオ】最新版Volumioの『Direct DSD』を検証。DSD512もすんなり再生

海上 忍

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2017年05月18日

一方、USBのDSD再生にも悩みどころがある。Linux/ALSAにはWindowsでいうところの「ASIO」に相当する機構/ドライバがなく、USB DACにはDSDの実データ(16bit)に識別信号(8bit)を添えた計24bitの信号をPCMのフレームに格納して伝送する「DoP(DSD over PCM)」で出力することが多い。DoPは付加された識別信号でデータ量が約1.5倍に増加するため、最高DSD 11.2MHz対応を謳うUSB DACであってもそのスペックを引き出せない、という事態が起きてしまうのだ。

このテーマは第16回「ラズパイ・オーディオでDSDネイティブ再生、DSD 11.2MHzの世界を目指す」(記事内容)で一度取り上げており、その時はカーネルとALSA、MPDがDSDネイティブ再生(ややこしいがWindowsでいうところのASIO相当)に対応し、かつ対象デバイスであれば非DoPのDSDネイティブ再生が可能になると説明した。

それから半年、ラズパイ・オーディオではお馴染みのLinux OS「Volumio」が、最新版で「Direct DSD」をサポート。カーネルとALSA、MPDの3要素が整い、面倒な設定変更なしに非DoPのDSDネイティブ再生が可能になったのだ。識別信号が不要になることから、搭載したDACチップのスペックどおりのDSD再生能力となり、機種によってはDSD 512(22.58MHz)の再生も見えてくる。直接MPDの設定ファイル(/etc/mpd.conf)を書き換える必要もないので、気軽に試せる点もいい。

動作確認されたUSB DACとして挙げられているのは、iFi Audioの「micro iDSD」と「micro iDAC2」の2機種。公式サイトには、USBチップにXMOSまたはAmanero Combo384を採用していれば動作するとの記載があるため(詳細はこちら)、それ以外のUSB-DACも試す価値はあるだろう。

実際に「micro iDSD BL」で試してみたが、あっけないほど簡単だ。Volumio最新版(v2.163)で起動してからWEBブラウザで管理画面を表示、出力先にUSBを選び、DoPを無効化して設定を保存すればOK。これだけで、Direct DSD再生に切り替わる。

iFi Audio「iDSD BL」。デジタル同軸端子も備えているが、今回はDSDネイティブ再生が目的のためUSBで接続した

念のためSSHでVolumioにリモートログインし、procファイルシステムでmicro iDSD BLへの出力内容を確認したが、DoPではDSD128(5.6MHz)再生時にフォーマットが「S32_LE」、サンプリングレートが「352800」だったところが、Direct DSDではフォーマットが「DSD_U32_BE」、サンプリングレートが「176400」となった。

最新版VolumioのWEBインターフェイスにアクセスし、DoPを無効化して設定を保存すればOK。これだけで、Direct DSD再生に切り替わる

DSD Direct(DoPをオフ)にすると、DSD512(22.58MHz)の再生が可能になる

もちろん、DSD256(11.2MHz)もOK。DoPではフォーマットが「S32_LE」にサンプリング周波数が「705600」だったところ、Direct DSDでは「352800」に。個人的に未踏のDSD512(22.58MHz)もすんなり再生、procファイルシステムで確認すると、しっかり「DSD_U32_BE」と「705600」の組み合わせだった。確かに、DSD512がネイティブ再生されている。

procファイルシステムで確認したところ、サンプリング周波数に「705600」という数値が。DSD512をネイティブ再生できていることがわかる

ただし、DSD512の再生は少々不安定。音質そのものは緻密でリアルな音場感を楽しめるのだが、不定期に「ブチッ」というノイズが混入することもあり、まだ試験運用段階と認識したほうが良さそうだ(そもそもDSD 512のソースが少なく、聴く機会もあまり無いのだが……)。

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