映像処理エンジンだけではない高画質の秘密
「ソニーの有機ELテレビ」の実力とは? BRAVIA「A1シリーズ」速攻レビュー
折原一也
2017年05月08日
本日、ソニーから4K/HDR対応の有機ELテレビ「BRAVIA OLED A1シリーズ」が発表された。
製品の詳細は既にニュース記事で紹介されているが、A1シリーズは65/55型の2モデルで展開される。型番はそれぞれ「KJ-65A1」「KJ-55A1」だ。
製品コンセプトは「究極没入視聴体験の実現」。有機ELパネルの採用による高画質化とともに、パネルから直に音が出るという「アコースティック サーフェス」技術を採用していることもポイントだ。
AVファンの注目点である「画質」「音質」がどれほどの水準に到達しているか、その技術の詳細とレビューをお届けしたい。
■ソニーが求めるクオリティを満たしたパネルが登場した
ソニーによる有機ELテレビの企画は実に11年もの歴史を持つ。11年前というと、11型有機ELパネルを採用した「XEL-1」(発売は2007年)の企画が行われた年になるが、それ以降もソニー社内では、有機ELパネルが登場するたびに商品化について検討していた。
特に映像エンジンの設計では、常に有機ELを見越した回路が組み込まれてきた。実際、A1シリーズに採用されている高画質エンジン「X1 Extreme」は、液晶テレビの「Z9D」や「X9500E」シリーズと同じものだ。
2017年のいま、有機ELテレビがA1シリーズというかたちで世に出る理由は、ソニーが求めるクオリティを満たすパネルが提供されるようになったことにある。
パネルベンダーは公式には明かされていないが、薄型テレビ向けの有機ELパネルを製造しているのは事実上世界で1社しかない事もあり、2017年夏は、日韓各社から同じパネルを採用した有機ELテレビが揃い踏みとなる。
しかし、同じパネルを採用しているのだから後は高画質エンジンの味付けによる勝負−−と簡単に語ってしまうのは少々大味だ。
もちろん、いわゆる画作りをする高画質エンジンは重要であり、ソニーもそれをアピールしている。
だがそのほかにも重要な要素がある。ここでは、映像信号からパネルコントロールに必要なタイミング信号を生成する「T-CON」(Timing Controller)をその一例として挙げたい。
このT-CONは、パネルを購入すれば標準のものを利用できるが、正確な色のトラッキングには不十分とソニーは判断。ソニーが自社開発する画質エンジンに、このT-CONを最適に制御するアルゴリズムを組み込んでいる。
実際の色の合わせ込みでは、0.001nitsクラス(これが有機ELの表現する最小レベルの暗部階調、ちなみに液晶テレビでは0.5 nits程度)と、有機ELのリファレンスモニターである「BVM-X300」と同水準にまで追い込んだ。これは現在ある測定器と”測定器を測定する測定器”の限界値レベルだ。
製品の詳細は既にニュース記事で紹介されているが、A1シリーズは65/55型の2モデルで展開される。型番はそれぞれ「KJ-65A1」「KJ-55A1」だ。
製品コンセプトは「究極没入視聴体験の実現」。有機ELパネルの採用による高画質化とともに、パネルから直に音が出るという「アコースティック サーフェス」技術を採用していることもポイントだ。
AVファンの注目点である「画質」「音質」がどれほどの水準に到達しているか、その技術の詳細とレビューをお届けしたい。
■ソニーが求めるクオリティを満たしたパネルが登場した
ソニーによる有機ELテレビの企画は実に11年もの歴史を持つ。11年前というと、11型有機ELパネルを採用した「XEL-1」(発売は2007年)の企画が行われた年になるが、それ以降もソニー社内では、有機ELパネルが登場するたびに商品化について検討していた。
特に映像エンジンの設計では、常に有機ELを見越した回路が組み込まれてきた。実際、A1シリーズに採用されている高画質エンジン「X1 Extreme」は、液晶テレビの「Z9D」や「X9500E」シリーズと同じものだ。
2017年のいま、有機ELテレビがA1シリーズというかたちで世に出る理由は、ソニーが求めるクオリティを満たすパネルが提供されるようになったことにある。
パネルベンダーは公式には明かされていないが、薄型テレビ向けの有機ELパネルを製造しているのは事実上世界で1社しかない事もあり、2017年夏は、日韓各社から同じパネルを採用した有機ELテレビが揃い踏みとなる。
しかし、同じパネルを採用しているのだから後は高画質エンジンの味付けによる勝負−−と簡単に語ってしまうのは少々大味だ。
もちろん、いわゆる画作りをする高画質エンジンは重要であり、ソニーもそれをアピールしている。
だがそのほかにも重要な要素がある。ここでは、映像信号からパネルコントロールに必要なタイミング信号を生成する「T-CON」(Timing Controller)をその一例として挙げたい。
このT-CONは、パネルを購入すれば標準のものを利用できるが、正確な色のトラッキングには不十分とソニーは判断。ソニーが自社開発する画質エンジンに、このT-CONを最適に制御するアルゴリズムを組み込んでいる。
実際の色の合わせ込みでは、0.001nitsクラス(これが有機ELの表現する最小レベルの暗部階調、ちなみに液晶テレビでは0.5 nits程度)と、有機ELのリファレンスモニターである「BVM-X300」と同水準にまで追い込んだ。これは現在ある測定器と”測定器を測定する測定器”の限界値レベルだ。
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