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【特別企画】音質と使い勝手を検証

コウォン新DAP「PLENUE 2」実力チェック! 「AK4497EQ」とデュアルホイールの真価とは

公開日 2017/04/26 10:30 高橋 敦
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◆「PLENUE 2」のポイントを本国スタッフに訊く

−−「PLENUE 2」のスペックは、一部でフラグシップ機「PLENUE S」を上回る部分もあります。PLENUEシリーズのなかで今回のモデルはどんな位置づけになるのでしょうか?

PLENUE 2はPLENUE 1の後継品として企画したものです。後継モデルとして最高の性能を追求した結果、PLENUE Sを上回るスペックの部分も出てきました。

専用ケースも付属。もちろんケースを装着したままで各種操作を行えるようになっている

−−DACチップをAKMに変更した理由を教えてください。また、AKMチップのなかでも「AK4497EQ」を選んだのはなぜですか?

各DACチップメーカーごとに個性があって何とも言えませんが、バーブラウンが伝統あるブランドのイメージだとすると、AKMには絶え間なく新しいモデルの開発を行い最高の音質と性能を追求するイメージがあり以前から注目していました。最新のフラッグシップモデルであるAK4497EQを試してみたらこのチップこそPLENUE 2に最適なチップだと判断し採用いたしました。

AK4497EQはポータブル用ではなく高性能、高出力の据置型向けDACですが、ポータブルでも据置型製品の性能と音質を実現するために思い切って採用し、数多くのチューニングを経てPLENUE 2を完成させました。

−−バランス出力端子が2.5mmに変更されました。4.4mmなど他にもいくつか選択肢があるなかで今回2.5mmを選択した理由を教えてください。

たしかにその選択肢もありましたが、新たに追加された規格である4.4mmは現段階としてはまだ汎用性が低い状況です。今の市場で最も広がっているバランスイヤホン/ヘッドホンの規格が2.5mmであるため、採用を決めました。

−−「Native TX DSD方式」では、どんな処理を行っているのかをもっと詳しく教えてください。この技術はコウォン独自に開発したものなのでしょうか、それともAKMのチップが備えている機能なのでしょうか。

DSD NativeデータのままシリアルでAK4497EQ DACに伝達し、ハードウェア的にDAC内でアナログに変換出力する方式です。AKMチップまでNativeデータをシリアルで転送する過程はCOWONで開発したもので、アナログ変換はAKMチップで行われますが、その過程でノイズを最小化させAKMチップ周りの回路チューニングを経てアナログ信号を最も完璧に再現する回路実装技術がとても重要な作業でした。

−−「6つのデジタルフィルタ」について、このデジタルフィルタでどんな処理を行っているのかもっと具体的に教えてください。公式サイトの説明を読むとタイムドメイン理論に則ってフィルタ処理を行っているようにも思うのですが、どんなことをしているのでしょうか?

工学理論で入力と出力を持つシステムを解釈する際は、インパルス派形を入力し、出てくる派形でそのシステムの内部構造を分析します。理想的なインパルスというのはゼロに収束する時間の間無限大の大きさの信号であり、現実世界には存在しない信号ですが、あえて近いものを選ぶとしたら爆弾の爆発音のようなものが近いでしょうか。タイムドメインでは一瞬ですが、周波数ドメインでインパルスは0から無限大(∞)Hzまですべての周波数を含む信号です。

一方、オーディオプレーヤーで見ると、最も理想的なオーディオプレーヤーは記録された入力信号と同じ出力の音を出すシステムです。現実世界のシステムでは、そのようなシステムは存在することはできませんので、そこに可能な限り近づくためにフィルターが必ず存在します。

可聴領域では原音と同じような音が出るようにフィルターを構成しますが、可聴領域を超える信号はシステムが発散しないように適切にコントロールしながら、可聴領域でも完璧な応答特性を出せるようにする役割をフィルターが担っています。

PLENUE 2では6つのフィルター設定をユーザーが直接調節できるようにしていますが、そのフィルターはタイムドメインでインパルスを入力した時の出力の応答特性がお互い異なる個性を持っています。

このようなお互い異なる形態は、可聴領域外の周波数成分に起因することであり、普通の聴覚ではほぼ聞き取れないようなものです。言わば、フィルターが異なっても周波数ドメインから見ると可聴領域では原音とほぼ同じなので区別は難しいのです。可聴領域の端の部分や可聴領域外で微細に反応が変わるので、専門的な方は微細な違いを感じられるかもしれません。我々としては、この機能によって、音の極限までチューニングできる楽しさを提供したかったのです。

−−ダイヤルを2つ搭載するというアイディアはどんなところから思いついたのでしょうか?

社内デザイナーのアイデアから始まりました。既存の他社のホイール搭載製品はホイール1つのみの製品が大半でした。ホイールノブはmovement componentとしての魅力を持っているが、この魅力をもっと新しいユーザー体験として作り出すことができないだろうかと悩みました。

COWON自慢のJefEffectと、今回取り入れたDACフィルターでさらに微細なチューニングをする楽しさをホイールでも体験出来たらより面白い体験になるはずだろうという考えから2つのホイールが生まれました。

これはデザイン的な側面と機能的便利さを同時に満たすことができるポイントになってくれました。ボリュームホイールでは140段階のボリューム調節が可能で、マルチホイールでは66個のJetEffectプリセットをホイールで調節して音の色味を素早く変えることができます。

設定でマルチホイールの機能をDACフィルターに変更すれば微細なマイクロチューニングができるので音に敏感なコアユーザーが音の微量なところまで変更することができるなどいろんな活用ができます。

その他、FF/REWのようにホイールで調節する方が便利な機能や前曲/次曲調節、画面の明るさの調節まで可能なのでさまざまな場面でユーザーが活用することができます。ホイールの回す音が苦手なユーザーのために、タッチ画面からボリュームを調節することができる方法も提供し、さまざまな状況での動作も考慮致しました。

(特別企画 協力:COWON販売)

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