高橋敦が音質チェック
【速攻レビュー】コウォンの第2弾ハイレゾDAP「PLENUE M」の音質は? 「PLENUE 1」と比較試聴
高橋 敦
2015年05月15日
コウォンからDXDも再生可能なハイレゾ対応のオーディオプレーヤー「PLENUE M」が発表された(関連ニュース)。シリーズ第1弾「PLENUE 1」からDACチップを変更などした本機の音質は、PLENUE 1と比べてどのように違うのか? ライターの高橋敦氏が両機を聴き比べながら音質傾向をチェックした。
■基本的には「PLENUE 1」と同じ傾向の「穏やかに整ってきめ細かいサウンド」
「PLENUE 1」でハイエンドプレイヤー市場に去年新たに参入してきたメーカーのひとつであるコウォン。その「PLENUE 1」をベースに価格帯を引き下げた「PLENUE M」が登場する。コンセプトやソフトウェア、ユーザーインターフェースはおおよそそのまま踏襲し、筐体、内蔵メモリー容量、主要チップの変更等でコストダウンが行われているようだ。
しかしコストダウンされているはずの筐体なのだが、僕の感覚で見るとPLENUE 1と同等かそれ以上のかっこよさに思える。表面やエッジの仕上げも丁寧だ。使い勝手の面でもボタン配置はPLENUE 1と変わりなく、右側面と上部に集中していて左手で持ったときには使いやすい。底面の端子類はPLENUE 1ではカバーで隠されていたが、こちらでは剥き出し。しかし率直に言ってその方が使いやすい。
ソフトウェアのユーザーインターフェースもおおよそ変わりはないようだ。メニュー階層は少しわかりにくいが、慣れることはできるだろう。
コストダウンが明確に現れている部分としては、内蔵メモリーの容量が128GBから64GBに減少。DACチップはバーブラウン「PCM1792A」から同「PCM1795」へと変更されている。
その音を聴いてみると、それ単体で聴いたときにはPLENUE 1と比べて大きな違いは感じない。穏やかに整ってきめ細かいサウンドだ。
続けてPLENUE 1とその場で聴き比べてみると、PLENUE Mではそれらの要素のうち「穏やか」にというところが少し強まっているかと感じる。静かな環境で、同じイヤホンを使ってふたつを並べて比べれば違いがあるが、印象としては「違い」よりも基本的な傾向の「共通性」の方が前に来る。メーカーとしてはチューニングを少し変えたという話らしいが、それでも共通性の方が強く感じられるのは、シリーズとしての骨子がしっかりしているということだろう。
相対性理論「たまたまニュータウン (2DK session)」と花澤香菜さん「こきゅうとす」では、その音楽や音色の湿度感というか粒子の滑らかさと、PLENUE Mの穏やかにきめ細かい質感描写がよく合う。ギターや女性ボーカルの手触りを豊かに出しつつ、荒いざらつきにはしない。その感触を堪能できる。代わりにシンバルの輝きやキレは良くも悪くも落ち着くが、細かく刻むリズムを目立たせすぎない馴染んだ雰囲気が好みの方には、これはこれで気持ちよいだろう。
湿度感というところで言うと、特に注目すべきはバスドラム。音抜けの空気感が乾いて速く抜けるのではなく、気持ちよく湿ってしっとりした空気を通して伝わってくるような絶妙な感触だ。その部分は音源そのものの特質でもあるが、その特質をうまく強めて印象付けてくれる。
坂本真綾さん「30minutes night flight」、TM NETWORK「Beyond The Time」、trinity heaven7「SHaVaDaVa in AMAZING♪(OUT OF LOGIC)」などでは、空間性の豊かさにも感心させられた。
まずそもそも左右のセパレーション等の基本的なところがしっかりしているのか、体感的な空間の広さが十分に確保されている。そしてそれを背景としてきめ細かな粒子感があるので、響きや気配の成分が豊富。となれば総合的な空間性も豊富なわけだ。
そのtrinity heaven7「SHaVaDaVa in AMAZING♪(OUT OF LOGIC)」は、PLENUE Mの他の特性もわかりやすい音源と思える。弱みとも受け取れるのは、アタックの速さや鋭さといったところを少し落ち着かせてしまうところだ。パーカッシブに弾けるベースのスラップ奏法の高音弦側のプル(バチッとまさに弾けている音)の弾けっぷりが大人しくなることでフレーズのアクセントがぼやけることは否めない。
そのおとなしさや落ち着きは、ギターのカッティングでも、パキッとしたキレを弱めてはいる。しかし一方でそれが音色の艶を高めてくれてもいて、好ましくもある。
PLENUE 1も方向性としては同じなのだが、PLENUE Mの方がその傾向が少し強い。音源への透明度とプレイヤーとしての個性の割合をたちえるなら、PLENUE 1は水に数滴の果汁を垂らしているがあくまでも水がメインな感じで、PLENUE Mは果汁3%くらいには果汁の味や香り(プレイヤーの色)も感じるといったところだろうか。
そして価格は「PLENUE 1」が128,000円だったのに対し、本機「PLENUE M」は89,800円(いずれも直販価格)。もちろんそれでも買い物として高いには高いのだが、10万円という大きなラインより下に来てくれれば選択肢に入れられるかも…という方もいらっしゃるだろう。このシリーズ、そしてこのメーカーの間口を大きく広げるであろう、納得の新モデルだ。
■基本的には「PLENUE 1」と同じ傾向の「穏やかに整ってきめ細かいサウンド」
「PLENUE 1」でハイエンドプレイヤー市場に去年新たに参入してきたメーカーのひとつであるコウォン。その「PLENUE 1」をベースに価格帯を引き下げた「PLENUE M」が登場する。コンセプトやソフトウェア、ユーザーインターフェースはおおよそそのまま踏襲し、筐体、内蔵メモリー容量、主要チップの変更等でコストダウンが行われているようだ。
しかしコストダウンされているはずの筐体なのだが、僕の感覚で見るとPLENUE 1と同等かそれ以上のかっこよさに思える。表面やエッジの仕上げも丁寧だ。使い勝手の面でもボタン配置はPLENUE 1と変わりなく、右側面と上部に集中していて左手で持ったときには使いやすい。底面の端子類はPLENUE 1ではカバーで隠されていたが、こちらでは剥き出し。しかし率直に言ってその方が使いやすい。
ソフトウェアのユーザーインターフェースもおおよそ変わりはないようだ。メニュー階層は少しわかりにくいが、慣れることはできるだろう。
コストダウンが明確に現れている部分としては、内蔵メモリーの容量が128GBから64GBに減少。DACチップはバーブラウン「PCM1792A」から同「PCM1795」へと変更されている。
その音を聴いてみると、それ単体で聴いたときにはPLENUE 1と比べて大きな違いは感じない。穏やかに整ってきめ細かいサウンドだ。
続けてPLENUE 1とその場で聴き比べてみると、PLENUE Mではそれらの要素のうち「穏やか」にというところが少し強まっているかと感じる。静かな環境で、同じイヤホンを使ってふたつを並べて比べれば違いがあるが、印象としては「違い」よりも基本的な傾向の「共通性」の方が前に来る。メーカーとしてはチューニングを少し変えたという話らしいが、それでも共通性の方が強く感じられるのは、シリーズとしての骨子がしっかりしているということだろう。
相対性理論「たまたまニュータウン (2DK session)」と花澤香菜さん「こきゅうとす」では、その音楽や音色の湿度感というか粒子の滑らかさと、PLENUE Mの穏やかにきめ細かい質感描写がよく合う。ギターや女性ボーカルの手触りを豊かに出しつつ、荒いざらつきにはしない。その感触を堪能できる。代わりにシンバルの輝きやキレは良くも悪くも落ち着くが、細かく刻むリズムを目立たせすぎない馴染んだ雰囲気が好みの方には、これはこれで気持ちよいだろう。
湿度感というところで言うと、特に注目すべきはバスドラム。音抜けの空気感が乾いて速く抜けるのではなく、気持ちよく湿ってしっとりした空気を通して伝わってくるような絶妙な感触だ。その部分は音源そのものの特質でもあるが、その特質をうまく強めて印象付けてくれる。
坂本真綾さん「30minutes night flight」、TM NETWORK「Beyond The Time」、trinity heaven7「SHaVaDaVa in AMAZING♪(OUT OF LOGIC)」などでは、空間性の豊かさにも感心させられた。
まずそもそも左右のセパレーション等の基本的なところがしっかりしているのか、体感的な空間の広さが十分に確保されている。そしてそれを背景としてきめ細かな粒子感があるので、響きや気配の成分が豊富。となれば総合的な空間性も豊富なわけだ。
そのtrinity heaven7「SHaVaDaVa in AMAZING♪(OUT OF LOGIC)」は、PLENUE Mの他の特性もわかりやすい音源と思える。弱みとも受け取れるのは、アタックの速さや鋭さといったところを少し落ち着かせてしまうところだ。パーカッシブに弾けるベースのスラップ奏法の高音弦側のプル(バチッとまさに弾けている音)の弾けっぷりが大人しくなることでフレーズのアクセントがぼやけることは否めない。
そのおとなしさや落ち着きは、ギターのカッティングでも、パキッとしたキレを弱めてはいる。しかし一方でそれが音色の艶を高めてくれてもいて、好ましくもある。
PLENUE 1も方向性としては同じなのだが、PLENUE Mの方がその傾向が少し強い。音源への透明度とプレイヤーとしての個性の割合をたちえるなら、PLENUE 1は水に数滴の果汁を垂らしているがあくまでも水がメインな感じで、PLENUE Mは果汁3%くらいには果汁の味や香り(プレイヤーの色)も感じるといったところだろうか。
そして価格は「PLENUE 1」が128,000円だったのに対し、本機「PLENUE M」は89,800円(いずれも直販価格)。もちろんそれでも買い物として高いには高いのだが、10万円という大きなラインより下に来てくれれば選択肢に入れられるかも…という方もいらっしゃるだろう。このシリーズ、そしてこのメーカーの間口を大きく広げるであろう、納得の新モデルだ。
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