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<山本敦のAV進化論 第112回>

“完全ワイヤレスイヤホン”3機種を徹底比較。それぞれの音質・使い勝手は?

公開日 2016/10/25 11:59 山本 敦
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・装着感
イヤホンの質量は4g。サイズ感はEARINと肩を並べる。ハウジングはノズル先端に向かって細くなっているので、筆者はApollo 7の方がフィット感は心地よく感じた。本体に取り付けて装着感を安定させるシリコン製のスタビライザーが付属しているが、付けなくても安定感は高いと思う。女性にも嬉しいピンクやゴールドを含む4色がラインナップする。

専用ケースにキレイに収まるイヤホン

・付属品
イヤーピースはコンプライ製の低反発フォームチップ「600シリーズ」がS/M/Lの3サイズ、シリコン製のイヤーピースとスタビライザーもS/M/Lの3サイズが1ペアずつ付いてくる。ほか、充電用のUSBケーブルが1本。

スタビライザーを装着

・バッテリー
イヤホン本体には50mAhのバッテリーを内蔵。アルミ製のキャリングケースがポータブルバッテリーを兼ねているのは今回紹介する3製品共通のフィーチャー。本機はケースのサイズ感が手頃で、イヤホンの着脱が最もスムーズにできたのが印象的だった。ケース内のバッテリーはフル充電に2.5時間かかる。イヤホンはフル充電から3時間の連続音楽再生ができて、ケースによる充電が追加で2回できる。合計9時間の音楽再生ができる計算だが、合間にイヤホンをケースに入れて充電する時間が必要だ。

・ボタン操作
左右のイヤホンにボタンが付いている。それぞれにボタンを長押しして電源をオン・オフしたり、ペアリングモードに切り替える操作感が筆者にはしっくりときた。シングルクリックで再生・一時停止・通話コントロール、ダブルクリックで音量調整(右側が音量アップ、左側が音量ダウン)、2秒長押しで曲送り、5秒長押しで電源オフと、なかなかクリエイティブな操作性を実現している。

スマホのリモコン操作もできるボタン

・ペアリング操作
本体ボタンを長押しして電源を投入後、ボタンを押し続けるとペアリングモードに入る。左から、右からどちらでも良いので、それぞれをペアリングモードにすると「Phone Connected」という声のあとに続けて「Headset Connected」という音声ガイドがきこえてくる。スマートフォンの側はBluetooth機器のリストに表示される「Apollo 7-L/R」のどちらかをタップすればペアリングは完了だ。

ちなみに今回紹介する3製品のいずれもまだNFCによるワンタッチペアリングには対応していないが、各モデルとも、いかにペアリング作業でユーザーに迷わせないか、工夫を凝らしている好印象を受けた。

・特徴的な機能
このコンパクトさでハンズフリーコールにも対応しているのは驚きだ。ただ実際に通話してみたところ、こちらは相手の声がよくきこえるのだが、相手にはこちらの声がややきこえづらいと指摘されることがあった。そしてイヤホン本体はIPX7相当の防水設計。スポーツシーンにも活躍してくれそうだが、落とさないよう念のためスタビライザーも装着した方がいいかもしれない。

・音質をチェック
5.8mm口径のダイナミック型ドライバーを採用。BluetoothのオーディオコーデックはSBCのほか、aptX/AACにも対応した。解像感が高く、中高域の抜け味が爽やか。音色はややクールで、音像は輪郭がシャープな印象。分解能も高い。低域の量感は控えめだが、ダンス系の音楽は切れ味鋭いビートが味わえた。

・総括
ハンズフリーコールも含めて、左右イヤホンはケーブルでつながるタイプのBluetoothワイヤレスイヤホンの使い勝手を一通り押さえながら、これほどまでにコンパクトなサイズを実現している点には感服した。リスニング時は目立った音切れも発生せず、使い勝手も安定している。

ただ、今回紹介する3製品の中では最も値段が高く、36,880円(税別)。機能・性能の充実ぶりを体験してみると十分に納得できるのだが、AirPods(16,800円・税別)の2倍以上するのも事実。AirPodsでは満足できないプレミアム志向の方々におすすめしたい製品。

■ONKYO/W800BT

オンキヨーとギブソン・イノベーションズとの共同開発により誕生した完全ワイヤレスイヤホン。実は製品として発表されたタイミングは2015年9月3日と、3製品の中で最も早く、真の元祖・完全ワイヤレスイヤホンではあるのだが、商品として練り上げられる時間が少しかかったため、遂に10月初旬、日本で待望の発売を迎えた。USBケーブルと充電用バッテリーも一体化した専用ケースが象徴するように、トータルの完成度が高い製品。

W800BT

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