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ウォークマンやDP-X1、AK70、DX80とのマッチングは?

AKG「N40」との相性は?人気ハイレゾDAP 5機種と組み合わせレビュー

2016/08/15 岩井 喬
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■ONKYO「DP-X1」

ハイレゾ対応DAPの中でも、音質面で高く評価されている一台がこの「DP-X1」だろう。ESS製DACチップES9018K2Mと同社製ヘッドホンアンプチップSABRE 9601Kを2基ずつ搭載し、バランス駆動にも対応。さらにCOLD側アンプのパワーを使ってGNDを能動的に制御する、独自のアクティブコントロールGND駆動も可能とするなど、基礎体力の高さが際立つモデルだ。

ONKYO「DP-X1」¥OPEN(予想実売価格69,800円前後)

音楽ファイルそのものは384kHz/32bit・PCM&11.2MHz・DSDまで認識し、384kHzまでのアップサンプリングやリアルタイムDSD変換能力も持つ。またロックレンジ精度を調整することでジッターノイズを低減するロックレンジアジャストなど、音質追求の機能性も豊富に盛り込んだ万能プレーヤーである。なおN40にバランス駆動用ケーブルが同梱されていないことを踏まえ、付属環境で試せる効果というわけではないバランス/アクティブコントロールGND駆動の検証については別の機会へ譲ることにした。

DP-X1は大らかでバランスを重視した流麗なサウンド性が持ち味となっているようで、音像は密度良く滑らかで、空間性の表現力の高いナチュラルな音色を味わえる。N40との組み合わせではクラシックとの相性が高く、管弦楽器のハーモニーは艶ハリ良く澄んだ響きをみせ、伸び良く豊潤なホールトーンが展開。S/Nも高くクリアで、低域の制動も程よく引き締まり、見通しの深い音場感を楽しめた。

ジャズピアノは涼やかで透明感の高い音色を聴かせ、ウッドベースは艶ハリの良いむっちりとした弦のたわみ感がより鮮明に描かれる。スネアブラシのタッチも鮮明で高域のカリッとしたエッジ感が克明なトーンを生む助けとなっているようだ。

ロックのディストーションギターも厚みとキレ味を両立しており、歪みのブライトなエッジがリッチ感をより良く演出。リズム隊は太くブンブンと力強いリードを見せ、スネアドラムもピーキーな感じはしない。ボーカルのボトムは太く安定し、口元の描き方もしなやかで艶良いエッジを感じる。全体的に豊潤でリッチなサウンド性であるが、ロックレンジアジャストを“Narrow"側に1段階締めるだけでも音場の見通しが上がり、音像の締まり感も向上。フォーカスの良い高S/Nなリアルサウンドを実感できるだろう。

メカニカル・チューニング・フィルターはREFERENCEのままでも十分バランス良く楽しく音楽に浸れる傾向であるが、より振り切ったサウンドにするという点でBASS BOOSTを選び、HM/HRのオジー・オズボーン「No More Tears」(『Memoirs of a Madman』96kHz/24bit)を聴いてみた。

キックドラムのファットさやベースラインの深みがより強調され、リッチかつ滑らかでどっしりと沈み込む低域の豊かさを堪能できる。フラッシーな歪み感と重厚なボディ感を持つギターサウンドも重心が下がり存在感がより高まった。一方ボーカルはしゃっきりとした明瞭なトーンにまとめられ、奥行き感あるシンセの響きとともにすっきりと浮き上がる。

ただし、バラードの「Mama, I'm Coming Home」ではベースがうるさく感じるところもあるためHIGH BOOSTに切り替えていくとクリーンなアコギの響きがヌケ良く浮かび、ボーカルやシンバルのクリアさも際立ってきた。「Crazy Train」でもベースのタイトさがスピード感に結びつくので、一概にどれが一番とは言いにくいが、好きな楽器の帯域バランスに重きを置いてメカニカル・チューニング・フィルターを選ぶというのも楽しみの一つとなるのではないか。

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