AKG「N40」との相性は？人気ハイレゾDAP 5機種と組み合わせレビュー

■iBasso Audio「DX80」

ハイレゾ対応DAPを早い段階で市場投入してきたiBasso Audioの最新モデル「DX80」は駆動力の高さでも評判の一台だ。リーズナブルな価格帯でありながらDACにシーラスロジックCS4398を2基モノラルモードで搭載し、最大192kHz/24bit・PCM＆5.6MHz・DSDまでネイティブ再生が可能というスペックも魅力であるが、最新技術であるSiTime社製MEMSシリコンベースクロックを採用したことで抜群のクロック周波数安定度と低位相ノイズ、低ジッターを実現。非常にS/Nの良いクリアで高解像度なサウンドが得られるハイC/Pなハイレゾ対応DAPだ。

N40を組み合わせてサウンド傾向をチェック。キリッとしたクリアでニュートラル基調のドライなサウンド傾向で、高域はやや硬質な雰囲気が感じられる。クラシックはシャープでキレ良い管弦楽器の旋律を聴かせ、きめ細かく明瞭で余韻の付帯感もない。ティンパニの皮の表現や胴鳴りの引き締めも高く、ローエンドもゆったりと芯を押し出す傾向で落ち着きがある。

ジャズピアノはかっちりとしたハードタッチで、余韻も控えめのドライなサウンドだ。ウッドベースも弦のディティールを克明に描き胴鳴りも締まり良く描く。ロックのリズム隊は厚み良く密度を持たせているが制動も高く、アタックの芯は硬い。エレキギターのリフはザクザクとした小気味よい質感で適度な太さもある。スマートなボーカルの口元は輪郭を明瞭に描き出し、楽器の重なり感も分離良く自然な立体感を生み出す。

このDX80は脚色の少ないモニターライクなサウンド。メカニカル・チューニング・フィルターを積極的に利用して音作りをしてみると、より一層音の変化を楽しめる。

ポップスにはBASS BOOSTを組み合わせてみた。戸松遥「motto☆派手にね！」（『BEST SELECTION -sunshine-』96kHz/24bit）ではベースラインがどっしりと前へ出て高域の輝き感の下支えとなり、ボーカルのクリアで明瞭なタッチをより引き立ててくれる。音像のボディは安定感が高く、ホーンセクションも細くなりすぎず耳当たり良い。一方でスピード感のある「courage」においてはHIGH BOOSTを選んだほうが高域のヌケ感が増し、全体的にメリハリの付いた傾向となり、キレ味の良いサウンドにフィットする。ストリングスやピアノのトーンもすっきりと鮮明に聴くことができた。