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【特別企画】連続レポート第1回 注目のミュージックサーバーを検証

1台でネットオーディオが完結。Cocktail Audio「CA-X40」の機能/音質を詳細解説

公開日 2016/07/05 11:43 逆木 一
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NASの音源の再生やブラウザ/タブレットからの操作も可能

ここまでは、本体で操作を完結することを前提にしてきたが、本機はネットワークを介して、PCやスマートフォンなどのブラウザから操作することも可能だ。ただ、完成度の高い本体からの操作と比べると、ブラウザからの再生機能は控えめなものになっているので、補助機能程度に考えておくといいだろう。

ブラウザの操作画面。左上のアイコンをクリックすると、各機能のメニュー一覧が表示


こちらはブラウザに表示した音源の選択画面

本機はUPnP/DLNAに対応しているので、ネットワークオーディオとしての操作も試した。まずはNAS(サーバー)の音源を、CA-X40(プレーヤー)で再生する。本体画面の「Browser」から「UPnP」のサーバーを選択。すると、本体HDDやUSB接続したHDDに再生した音源を再生するのと同じ要領で、外部のサーバーの音源を再生することができる。すでにある程度ネットワークオーディオ環境を構築しているという方は、本体のサーバーと外部サーバーをそれぞれ使い分けるという方法が可能だ。

なお、iPad上の汎用操作アプリ(コントローラー)から操作して、NAS(サーバー)の楽曲をCA-X40(プレーヤー)で再生するという方法も試してみた。筆者の試聴室の環境では、こちらの方法は、本体ディスプレイから操作ほどスムーズにはいかなかった。こちらもブラウザ操作同様、補助的な機能と捉えておきたい。

汎用のコントロールアプリ「Bubble UPnP」からCA-X40を操作したところ


LINNのコントロールアプリ「Kinsky」からCA-X40を操作したところ

そもそも、CA-X40の真価は本体の大きなディスプレイとよく練られた画面デザイン、そしてリモコンで操作の全てが完結できることに尽きる。シンプルに「ライブラリの中から聴きたいアルバムを選んで聴く」ことができる本機の操作性の完成度は、特筆に値する。

オーディオ機器としての確かな音質も備える。ハイレゾならではの空間再現も楽しめる

ここまでCA-X40の基本的な使い方にフォーカスして紹介してきたが、やはり気になるのはその音だ。本機の奏でる音は、充実した中低域に支えられた明るい音である。押し出しが良く、積極的に聴く者を楽しませようという意図が感じられ、素直に「いい音だ」と音楽に浸れる魅力がある。この音調は、CDの直接再生からデータ再生に到るまで一貫している。音は厚みがありつつもよくほぐれており、優れたハイレゾ音源が持つストレスのない空間の広がりもしっかりと表現できている。完成された操作性に加えて、純粋なオーディオ再生機器としても本機の実力は確かだ。

ちなみに今回は内蔵HDDに保存した音源を中心に試聴したのだが、中低域の充実に比べて高域の繊細さはまだまだ伸びしろがあると感じた。これは内蔵したHDDの影響と思われ、HDDをSSDに換装するなどすればまた違った表情を見せてくれるだろう。

ネットオーディオの魅力を1台で完結して楽しめる

ここまで、CDの直接再生、CDリッピングを行ってのMusic DBからの再生、他のストレージからの再生など、プレーヤーとしての機能を一通り見てきて、ひとまずまとめをしてみたい。

ネットオーディオ関連製品は、PCやスマートフォンとの併用や連携が前提となる製品がほとんどで、「本体だけで操作できます」と謳う製品であっても、結局本体だけでは極めて限定された機能しか使えない場合が多い。

それに対してCocktail AudioのCA-X40は、ディスプレイとリモコンだけでほとんど全ての機能にアクセスすることができ、本当の意味で「PCレス」の操作を実現している。CDリッピングや楽曲のメタデータ管理も、本体で完結して行える(強いて言うなら、ハイレゾ音源の購入はPCなどで行う必要がある)。

ネットオーディオを実践しようと思えば、多かれ少なかれどこかのタイミングでPCを使う必要性が出てくる。しかし、誰もがPCの扱いに習熟しているというわけではない。CDのリッピングでも音源の管理でも、なるべくPCを使いたくないという需要は根強い。そんな現実を踏まえたうえで、可能な限り本機単体で簡単に使える製品というCA-X40のコンセプトは高く評価できる。そして本機のサウンドにも、製品コンセプトに通じるものを感じた。

今回は本機の紹介に加え、主として「プレーヤー」としての側面に触れた。次回はPCとの連携を含めた、「サーバー」としての側面を取り上げ、もう一歩踏み込んだ使いこなしをレビューしていきたい。


特別企画 協力:ゴールドムンドジャパン

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