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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第159回】パナソニックお洒落ヘッドホンの新旧“ 神7!”を対決させてみた

公開日 2016/06/29 10:00 高橋 敦
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▼RP-HD7

まずは「新・神7」であるRP-HD7(実売目安2万6000円)。

「RP-HDxx」は2014年秋の「RP-HD10」、2015年秋の「RP-HD5」と展開されてきた、パナソニックの最新シリーズ。おそらく同社のリファレンス、スタンダードとして今後の製品開発の礎となる、そういった役割も持たされているであろう重要なシリーズだ。

RP-HD7

カラバリはホワイトとピンク

…と思っていたところに登場したRP-HD7がこういったデザインだったものだから驚いた。しかしこのモデルは技術音質面はシリーズの先行モデルを礎としており、そういう意味ではこの型番も当然だ。あえて言えば、それこそ「h.ear on(MDR-100A)」のように、「愛称(RP-HD7)」のような方式でもよかったと思う。

柔らかな色合いと形を肌理の細かくしっとりとした仕上げに。金属部分の輝きもアクセント

ハウジングから頭頂部へのヘッドバンドのこのカーブ(絞り込み)で頭からヘッドバンドがガニ股に浮いて見える無様さを回避

さておき、まずは技術面をさくっと復習。最大のトピックは「超多層フィルム(Multi Layer Film)振動板」だ。名前の通りに合成樹脂系の素材を何層も重ねてある素材だが、その「何層も」というのが「数百層」だというからすごい。

例えば楽器に木材を使う場合でも、単板よりも合板の方が強度は高く、鳴り具合をコントロールしやすいという。楽器に場合は、狙う音次第でどちらがよいというものではないが、ヘッドホンの振動板としては、素材の積層によって得られる「高剛性」「不要な響きを減衰させやすい」というのは、なるほど利点ばかりと思える。同社の説明によれば「不要な残響を残さず、高い応答性、広帯域・高解像度再生を実現」だそうだ。

なおこのMLF振動板は「RP-HD10」には採用され「RP-HD5」ではオミットされている要素。しかしパナソニックとしては「5と7は上位下位ではなく別路線」とのことだ。実はその振動板の他は、製品サイト等で技術面は特にはアピールされていない。技術的に工夫をしていないということではなくて、技術的なアピールが受ける、そこをほしがるユーザー層は狙っていないということだろう。

ではどこをアピールしているのかというと「こだわりの装着感」と「上質なデザイン」だ。「こだわりの装着感」というのには、実際装着してみたら一瞬で納得させられた。「あたまの形に添う」というヘッドバンドのフォルム、優しく固定する必要最小限の側圧、イヤーパッドの肌触り。それらのトータルで実に快適だ。

ブランド名やモデル名などはヘッドバンドの裏にうっすらと刻印するのみ。左側には左右判別用と思われる小さな突起

しっとりなめらかイヤーパッドの肌触りはたしかによい!装着時は見えないメッシュ部分にフラワーパワーを投入

シリーズの他のモデルは「HSアジャスト機構(ヘッドバンド水平スライド調整)」で装着ポジションを細かく調整が可能だが、このモデルではそれはオミット。デザインとの兼ね合いという部分も大きいだろうが結果的に、普通にヘッドバンドの長さだけ合わせればOKという使い勝手のよさを得ている。

なお製品版パッケージには「しっとりなめらかノーマルタイプ」の他、「ふんわりあたたかスエードタイプ」のイヤーパッドも付属して交換可能とのこと。好みや季節に合わせて使い分けてほしいとのことだ。なお使い勝手の面で不便なところとしては、折りたたみ機構がないこと。

ケーブルは3.5mm端子で着脱式。1ボタンリモコン&マイク付き

プレーヤーにつなぐ側のプラグはスマホケースなどにも干渉しないように段差付き

「上質なデザイン」については、まあデザインの話であるので好みは分かれるだろうし、カラバリ含めて基本的には女性を意識したものと思われるので、男性ユーザーだとぴんとこない方も多いのではと思う。しかし好みはさておき実物を確認してみてもらえば、その方向性での完成度の高さには異論はないだろう。

次ページ続いて、ロングセラーのRP-HTX7をピックアップ!

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