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岩井 喬氏・野村ケンジ氏・高橋 敦氏がレビュー

サエクのPC-Triple C採用イヤホンリケーブル「SHC-220」の音質を評論家 3名が分析

公開日 2016/06/09 10:46 岩井 喬/野村ケンジ/高橋 敦
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高橋 敦
組み合わせたイヤホンの持ち味を損ねずに
魅力を“ちょい足し”できる理想的なリケーブル



高橋敦氏
先行して発売されていた「SHC-120」シリーズとは、PC-Triple C導体を始め共通する部分が多く、「SHC-220」シリーズはその上位版と考えてよいだろう。上位版ならではの部分としては特に、単線を核として高周波が流れる外周部には極細線を用いる構造の採用が大きいようだ。

サエクのイヤホン向けリケーブル製品全体の長所としては、ケーブルのしなやかさと絡みにくさを挙げておきたい。左右を平行に並べた「左右独立ツイストペアケーブル」は音質面から採用されているものであるが、結果として使い勝手にも貢献している。また3.5mmモデルのプラグ部分が比較的小型であることも、イヤホンプラグの場所が悪い(持ち手と干渉する)プレイヤーで使う場合には特に嬉しい。

今回はその使い勝手使い心地の良さに着目して、装着感が僕にぴったりなSHURE「SE535」との“普段使い”を意識した組み合わせを試してみた。SE535は今となっては古株なモデルでもあり、イマドキのハイエンドイヤホンのような精細感などは弱い。しかし逆に音の鋭さや角が強すぎたり情報量が多すぎたりで聴き疲れることもなく、しかし甘すぎると感じさせることもない。結果的に「最新ハイエンドとの使い分けがしやすい穏やかな音調のイヤホン」というポジションに収まっている。そういう視点で見直してみようという意図もあっての起用だ。

SHURE「SE535」との組み合わせ

SE535とSHC-220の組み合わせだが、「最新ハイエンドとの使い分けがしやすい穏やかな音調」を大きくは変えることなく、しかし背景が静かになり、細かな音の見え方がよくなる。相対性理論「夏至」の冒頭はスネアドラムスの連打なのだが、そこのバズ成分(共鳴弦の響きなど)や抜けがすっと綺麗に届いてきて、スネアドラムらしい暴れだ。このあたりは導体やその構造に加えて、銅箔シールドも少からずの貢献をしてくれていそうだ。そしてそれでいて当たりの強さを出しすぎないという、リラックス重視の普段使いでは美点となるイヤホンの特徴はしっかり生かされている。

この組み合わせにおいては、「組み合わせたイヤホンの持ち味を損ねずに魅力を“ちょい足し”する」という、リケーブルとして理想的な結果を得られた。またこの「SHC-220」も「SHC-120」もリケーブル製品としては比較的手頃な価格であるので、「普段使いをもっとよい音にもっと快適に」という視点からの導入にも適するのではないだろうか。

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