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<山本敦のAV進化論 第88回>

“高音質”新放送サービス「i-dio」プレ開始から1ヶ月 − その使い心地ってどうなの?

公開日 2016/03/31 16:21 山本 敦
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3月の開始時点では320kbpsの高音質チャンネル「TS ONE」をはじめ、クラシック/ロック/ジャズそれぞれのカテゴリーごとに名曲・名演奏を集めた3つの専門チャンネルが揃う「i-dio Music Selection」に、車のドライバー向けに音楽・天気予報・ドライブ情報を提供する「Amanek Channel」、ショートムービーやアニメ、レトロゲームの実況中継などオリジナルの映像を放送する「i-dio Creators Channel」が並ぶ。

プレ放送の段階で揃った各チャンネル

各チャンネルを選ぶと、画面の下には番組表のほか、現在の放送内容の詳細を表示する「NOW ON AIR」のメニューがある。番組表はまだプレ放送の段階だからか、かなりざっくりとした番組紹介になっている。流れている楽曲のタイトルが知りたくなって「NOW ON AIR」をタップしてみても、まだ放送の詳しい内容がここに表示されることもない。

TS ONEのチャンネルを選択したページ。画面の下側に番組表、NOW ON AIRのメニューが並ぶ

番組表を選択したところ。番組詳細情報はまだざっくりとしている

TS ONEは公式サイトが立ち上がっているので、オンエア楽曲リストがないか探してみたが、どうやらオンラインにもまだないようだ。TS ONEの場合、番組によってはDJが流れた楽曲のタイトルとアーティストを曲の終わりに紹介してくれるが、これを聞き逃してしまうと後から調べることが難しくなってしまう。ぜひ公式サイトを活用した補完も含めて、急ぎ追加して欲しい機能だ。

iPhoneの場合は画面の左上のアイコンをタップ、Androidの場合は画面左を中央に向かってフリックするとメニューリストが表示される。データキャストが用意されているまだあまり多くはないようだ。

Android版アプリの画面。トップに電界強度を示すアンテナのようなアイコンが表示される

スマホはWi-Fiをi-dioのチューナーにダイレクト接続した状態でも、LTE通信でインターネットにつなぐこともできるが、Webサイトのブラウジングを始めるとi-dioの放送にノイズが乗るので、同時に使うのはやや厳しかった。

クリエイターズ・チャンネルの映像番組は、なぜかiPhone 5s/iOS 9.3の画面にはオーバーフローしてしまい正しく表示されなかった

iPhoneをBluetoothスピーカーにつないでTS ONEで放送されている楽曲を試聴した。音質は確かに既存のラジオ放送やIPサイマルラジオサービス「radiko.jp」の音質と比べてみても、クオリティの高さは明らかだ。320kbpsでも十分にその違いが実感できる。控えめなDJの上品な番組進行と、洋楽・邦楽を上手に織り交ぜた選曲の雰囲気も非常に心地よい。だからぜひ重ねて放送楽曲の紹介リストと、できればモバイルアプリでの視聴スタイルを活かして、楽曲配信ストアに飛んで気に入った曲を購入できるリンクもつくってほしい。

まだプレ放送の段階なので、今後に向けた課題も色々とありそうだが、音質の良さを体験すると今後の成長をぜひ応援したくなる。もちろん来年から始まる予定の96kHzでの放送も待ち遠しい。

インターネットを介したIPサイマル放送(平たく言えばradiko.jpと同じ形態)も今年の5月からスタートする予定。ネット回線を使った配信であるため通信料がかかるという面はあるが、Wi-Fiチューナー不要、つまりスマホ単体でもi-dioを聴取できるようになるメリットはなかなか大きいと言えるだろう。

今後長期間での課題としては、チューナー内蔵機器をどれだけ増やせるかが挙げられる。「i-dioに興味がなかった人も気が付いたら視聴できる環境が手元にあった」という環境を整備していかないと、i-dioの認知度はなかなか高まってこないと思う。i-dioのインフラ整備を担当するハード事業者である(株)VIPとしては、今後スマートフォンやCATV用セットトップボックス、カーエンタテインメントシステムなど様々なアプリケーションへの展開にも力を入れていく計画も示している。i-dioのチューナーを内蔵するBluetoothスピーカーが出てくれば普及も進みそうだ。

また筆者としては仕事中にPCでインターネットラジオや音楽配信サービスを利用して音楽を聴く機会が多いので、その同列にi-dioを並べて使い分けられたら便利だろうと期待している。Wi-Fiチューナーとアプリの組み合わせによるサービス提供のスタイルはPC環境にも適しているのではないだろうか。

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