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<山本敦のAV進化論 第88回>

“高音質”新放送サービス「i-dio」プレ開始から1ヶ月 − その使い心地ってどうなの?

2016/03/31 山本 敦
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■ハイレゾ級の高音質化も予定している新放送サービス「i-dio」

V-Lowマルチメディア放送「i-dio」のプレ放送が東京・大阪・福岡で開始されてから、間もなく1ヶ月が経つ。i-dioは2011年の地上アナログテレビ放送の停波に伴い、空き枠となった「VHF-Low帯(99MHz〜108MHz)」の周波数帯域の活用を目的にスタートした、新たなコンテンツサービスだ。

AAC形式で320kbpsの高音質を特徴とするコンテンツサービス「i-dio」のプレ放送がスタート。音質をチェックしてみた

基本的な仕組みとしては、インターネット通信によって流せる音声・映像などの様々なデータを、放送波を使って広範に提供する「IPDC(IPデータキャスト)」の技術が活用されている。これにより、例えばスマホやタブレットなどモバイル端末やカーエンターテインメントシステムなどで楽しむ際の「携帯性・移動性」が高く、かつ、不特定多数のユーザーに向けて同時に情報が送れる「放送の一斉同報性」も備えた点など、コミュニケーションプラットフォームとして独自の特徴を持ったサービスとして注目されている。

3月1日からのプレ放送開始に合わせて5万名に無料配布されたWi-Fiチューナー

当サイトの視点からi-dioの特徴を切るならば、その「高音質な音声サービス」にフォーカスするべきだろう。i-dioのプラットフォームにコンテンツを提供するTOKYO SMARTCASTでは、音楽プログラムを中心とした高音質オリジナルチャンネル「TS ONE」を開局。開局当初はAAC/320kbpsのクオリティで始まる放送を、2017年にはサンプリング周波数96kHzのハイレゾに迫る高音質にグレードアップを予定している。

例えばスマホでLTEネットワーク経由で高音質な音楽配信のストリーミングを受信すると、あっという間に大量のデータを消費して速度制限にひっかかってしまうが、i-dioは放送波で受信して聴くサービスなのでその心配がなくなりそうだ。

また同社は「DTS Headphone:X」の技術を組み合わせたサラウンドコンテンツの製作にも意欲的だ。その他、i-dio全般の仕組みや本放送に向けたロードマップについては過去に本連載でも取り上げているので、関連記事をあわせてご覧いただきたい。

筆者もこの“高音質なデジタルメディア”としてのi-dioに期待を寄せている一人だ。住まいも都内にあるため、3月のプレ放送の開始とともに、先行モニター5万名に無償配布されたWi-Fiチューナーを入手して放送の視聴を試したが、最初は放送が受信できなかったり、電波が途切れたりして思うように放送が楽しめなかった。手元にある機器のトラブルだろうかと思いながら3月の終わりを迎えた頃、ようやく電波の状態が安定してきたようで、まだ幾分か不安定ながらも番組をリスニングできるようになってきた。この辺りで一区切り付けて、今回はi-dio Wi-Fiチューナーで番組を視聴したインプレッションを簡単に報告しておきたい。

■受信感度はまだ不安定。今後の改善に期待

まずはじめにi-dioを楽しむために必要な機器から確認しておこう。放送を受信するためには専用のチューナーが必要だ。チューナーを本体に内蔵している「i-dio Phone」も発売されているが、恐らく多くの方はいま手元で使っているスマホやタブレットでi-dioを聴く手段を選ぶだろう。そのため、今回のプレ放送開始とともにi-dio対応のWi-Fiチューナーが製品化された。

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