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ゼンハイザー「MOMENTUM Wireless」レビュー。BT/NC“全部入り”のプレミアムヘッドホン

公開日 2016/02/05 08:42 山本 敦
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男性ボーカリスト、ギル・スコット・ヘロンの楽曲『A Prayer For Everybody/To Be Free』は、スロウテンポなソウルバラード。伴奏のローズピアノの甘いハーモニーが波のように分厚く押し寄せてくる。ボーカルとの分離感も非常によく、しっとりとした声質の魅力が余すところなく引き出される。ベースラインは力強くタイトで出足も鋭い。

ローズピアノのクリスタルのように煌めく高域が厚手の低域にマスクされて濁ることもない。鍵盤を抑える指先のタッチまでくっきりと視覚化されるような感覚だ。ねっとりとセクシーなテナーサックスのソロも、余韻が広がりすぎずに立体的な音像をピンポイントに描く。取り分けメロディラインをフレッシュに再現する傾向が強いヘッドホンと言えるのではないだろうか。

ボビー・ウーマックの楽曲『Across 110th Street』では、しゃがれ声のダンディなボーカリストの声質が見事に蘇る。エレキギターの高域のロングトーンはクリアで華やか。肉付きのいいベースラインが軽快な演奏の足下をしっかり支える。パーカッションやドラムスはレスポンスが正確で切れ味も鋭い。気づかぬうちにスピード感あふれるグルーブに飲まれてしまう。

ボビー・ウーマック『Across 110th Street』

複雑に音を重ねてエフェクトをかけたアメリカン・ポップスを聴いても、アレンジャーが描きたかったであろうサウンドスケープが明瞭に浮かび上がってきて面白い。ケイティ・ペリーの『Firework』では、サラウンド音の移動感がスムーズで、緻密な音の一粒までクリアにきこえる。楽曲を構成する様々な楽器のパートはレイヤーが明瞭に描き分けられ、それぞれのパートが生き生きとした音を奏でる。

ケイティ・ペリー『Firework』

空間の広がりも、縦横方向ともに制限が感じられない。ボリュームを上げても低域が破綻することなく、しなやかなビートを効かせる。ボーカルの声はエッジがまろやかでクリーミー。女性ボーカルにとてもよくフィットするヘッドホンだ。バイタリティ溢れるアーティストの存在がものすごく近くに迫ってきた。

■「MOMENTUM」と比較してみる

通常の「MOMENTUM」も用意して、ふたつを並べて聴き比べてみた。はじめに静かな環境でリスニングした際には中高域の解像感や抜け味の良さでは、ケーブル接続の通常モデルの方にやや分があるように感じられたが、場所を騒音の多い街中に移して比較してみると、「MOMENTUM Wireless」のチューニングがアウトドア再生で完璧なバランスを備えていることがはっきりと理解できた。

有線接続の「MOMENTUM」とも比較

各帯域の音のつながりがスムーズで、ボーカルやメロディラインを中心とした帯域の、メリハリを効かせたサウンドが実に心地良い。中低域のダイナミックな力強さと、高域の音色にも明瞭な実在感がある。どの音にもフォーカスが定まっている、視界が広くクリアな音場感だ。筋肉質でしなやかなリズムの弾力性と軽やかさも本機の持ち味と言えそうだ。

しかもケーブルをつないで聴いてみると、通常の「MOMENTUM」と同じ、緻密な解像感とクリアな抜け味を持ったサウンドも聴ける。一台でゼンハイザーのプレミアムシリーズ「MOMENTUM」の世界観をフルに満喫できるフラグシップモデルだ。

(山本 敦)

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