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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第134回】人気ハイレゾアプリ4種の“音の個性”とは? あまり使われてなさげな音質向上機能を比較してみた

公開日 2015/10/02 12:24 高橋 敦
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■「アップサンプリング」を比較

では「アップサンプリング再生」機能で音質に変化があるのか、あるならばどの程度の変化なのか、アプリごとに変化の傾向は違うのかをチェックしてみよう。

なおこれらのアプリによるアップサンプリングは純粋にアップサンプリング、例えばCDフォーマットの44.1kHz/16bitの音源を再生時に176.4kHz/24bitや192kHz/24bitにコンバートする機能だ。それに際して「圧縮音源やCDフォーマットに含まれる情報から在るべき超高域(20kHz超の成分)を推測して補間」みたいなことはしない。

この「純粋なアップサンプリング」で音が変化する…かもしれない理由については、正直なところ僕も理解しきれていない。一説にはサンプリング周波数を打ち直す(リサンプリングする)ことでジッター等を抑制できるとか。今回は「とりあえず聴き比べてみる」という姿勢で臨ませてほしい。

またアップサンプリングの「整数倍」設定(例えば44.1kHz系音源をアップサンプリングする際に176.4kHz等の整数倍にするか192kHz等の48kHz系にするかの選択)は、DACの一部に48kHz系の入力にしか対応していないモデルもあったりするので、そういう相性問題への対処を考慮してのものとのことだ。

▼Onkyo「HF Player」

アップサンプリング後の最大値は192kHz。44.1kHzから192kHzへのアップサンプリングを中心にチェックした。

設定はシンプル。「アップサンプリング」のオンオフと「48kHzモード」のオンオフ(オフの場合は整数倍)

アップサンプリング再生中。写真は「整数倍」のサンプルとしてその設定にしてみたので出力表示は44.1kHzからの整数倍「176.4kHz PCM」。実際の試聴は最大値となる「192kHz」で行った

…うん、微妙に違うかもしれない。

花澤香菜さんの声はそのほぐれを微妙によくして、一方でハイハットシンバルの明るさやスネアドラムのバズ感も微妙に高まる気がする。それらの音色が同じ方向ではなく別の方向に変化するのは、それぞれの再現性が高まったからとも受け取れるだろう。

しかし「微妙に」の範疇であり、僕レベルだとこれを安定して聴き分けられる自信はない。もっともそんなあからさまに激変しちゃったらそっちの方が問題なので、これくらいが妥当な印象だ。

最初にこれを試した都合上、以下はこれを基準に、これとの違いということで述べていく。

▼Radius「NePLAYER」

アップサンプリング後の最大値は384kHzまで確認(HA-2の最大スペックがそこなので、それを越えるところは確認できず)。倍数(アップサンプリング後のフォーマット)は指定できず、たぶん「組み合わせるDACの最大値」とかになるのだと思う。

こちらもシンプルに「アップサンプリング」と「整数倍」のオンオフで設定

上段の今回は「Other」と表示されているところがDACの状態表示。以降の画面写真は整数倍にしない設定。こちらは音源が44.1kHzに対して出力は384kHz

…!? これはHF Playerよりも違いが大きい!

オンにすると音場全体が少し明るくなるが、不快に強い明るさではなくふわっと心地よい明るさだ。各パートに注目したときにわかりやすかったのはやはり花澤香菜さんの声。「さかれそう・さかれそう・さかれそう・さけびだしそう」とサ行のアクセントを生かした歌詞の部分で、その刺さり具合がよりシャープにかつやさしくなる印象だ。忠実度という面からどうなのかは判断しにくいが、僕にとってはより好ましい声にしてくれるので嬉しい。

HF Playerと比較した場合の「違いの大小の違い」が、アプリごとの処理の違いによるものなのか、それとも192kHzと384kHzの違いによるものなのかは、以降のアプリでの確認も含めて考えていこう…。

次ページ続いて「iAudioGate」「KaiserTone」のアップサンプリング

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