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【特別企画】RMEユーザー視点からレポート

山之内正がRME「Babyface Pro」を聴く − ハイレゾ先駆者が最新世代で遂げた進化とは?

公開日 2015/09/02 10:50 山之内 正
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ニュートラルな音調はそのままに、表現にダイナミックさも加わった

Babyface Proの再生音は、これまでのRME製USBオーディオインターフェースと共通するニュートラルな音調をベースにしながらも、表現にダイナミックさが加わり、従来機よりも起伏の豊かなサウンドに進化した。MacBookAirとの組み合わせで聴いた本機の音は、音楽のアグレッシブな面や躍動感を積極的に引き出し、リズム楽器の音形がくっきり浮かび上がる描写力もそなわる。

今回の記事では山之内氏が、長年RMEのオーディオインターフェースを使ってきた視点から、最新モデル「Babyface Pro」の音質や使い勝手を検証していく

たとえば、大編成オーケストラが色彩豊かなサウンドを繰り出すリムスキー・コルサコフの管弦楽曲を聴くと、大太鼓やティンパニが空気を押し出すリアルな感触がリズムを支え、その動きにリンクして木管楽器や弦楽器が精密に動き回る様子が自然に浮かび上がってくる。

ひとことで言えば、スコアに書き込まれていた動的な要素がクリアに見えるサウンドなのだが、音の輪郭を縁取りしたり、低音を強調するといったアプローチをとらずに、その明瞭さを引き出すところが、いかにもRMEらしい。

山之内氏の試聴室でBabyface Proの音質を検証した。パソコンはMac Book Airを組み合わせ、専用ドライバーを用いた環境を中心に音質を確かめた

ヴォーカルのウォームで繊細なタッチにも、新世代のRME製品の特徴を聴き取ることができた。レベッカ・ピジョンやジェーン・モンハイトの声は豊かな潤いを保つ一方で発音がクリアで、低い音域がくぐもることがない。Fireface UCXでは低音から高音まで抜けの良いヴォーカルに特徴があったが、Babyface Proは音域ごとに歌い手の表情や声の特徴をきめ細かく描き分ける表現に成長しているのだ。

なお、そうしたニュアンスの豊かさを引き出すには、Macを使う場合でもRMEが提供する専用ドライバーで駆動することをお薦めする。CC(クラス・コンプライアンプ)モードに切り替えてのMac OSの標準ドライバーによる再生では、表情の振幅が若干浅くなるように感じられた。

◇◇◇


Babyfaceよりもひと回り大きくなったとはいえ、デスクトップでの取回しの良さは相変わらずで、むしろXLR入力やユーザーインターフェースの見直しで操作性は一歩前進した。音調の微妙な変化もオーディオ機器として好ましい方向で、BabyfaceやUCXと使い分ける楽しみもある。手持ちのオーディオシステムに組み込む用途はもちろんだが、マルチチャンネル再生やホールでの録音など、本来の機動性を生かした用途でのパフォーマンスにも期待がふくらむ。

(山之内正)

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