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【特別企画】通常モデルと徹底比較

“フルHD”ブルーレイ再生の到達点。OPPO「BDP-105DJP」日本限定モデルの画質/音質を検証

2015/08/27 大橋伸太郎
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HDMI出力でもアナログに勝る音質向上を確認

次にHDMI出力のクオリティがどう変わったか確認してみよう。まず音声のみのBDメディア、BDミュージックのハイレゾ音声から。『魅惑のコンサートグランド ファツィオーリF278』(カメラータ)のPCM192kHz/24bit音声を試聴した。

BDP-105DJL(上)とBDP-105DJP(下)

新旧比較ではアナログ出力に勝る大きな収穫が得られた。BDP-105DJPLはピアノ高音トリルの粒立ちが洗われたようで純度を増した。音場表現の躍進は目覚ましく、後方への深い奥行きにピアノの発声する音が自然に重なり合う。前世代は奥行きが足りず水平方向に広がるので描写が平板だ。声部がいくつも重なっていく部分で音がバラバラになりがちだったが、BDP-105DJPLはS/Nが向上し音場の奥行きが生まれその中で音が立体的に重なり合う。だから一台のピアノから音が出ている一体感がある。強い入力でも歪みや突っ張りが少なくしなやかに響く。

HDMIのサラウンド音質の向上も大きい。具体的には弱音の描き方に進境が伺えた。昨今の定番映画BD『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』の冒頭の舞台、N.Y.ガスライトカフェの暗騒音のSEは前世代機でも逐一聞こえるが、BDP-105DJPLでは存在感が一段と明瞭でガラス、床の響き等、SEの質感の生々しさが増している。トリオで歌うフォーク名曲「500マイル」も男声二人と女声の分離と伸びが目覚ましく寄り添う三人の距離まで描かれる。帯域が広がっているのは明白でキャリー・マリガン役の声が倍音を伴ってきれいに上方へ抜けていく。

フランス語セリフ収録(ドルビーTrueHDアドバンスド96kアップサンプリング)の秀逸なポランスキー新作映画『毛皮のヴィーナス』。客のいない虚ろな劇場での慌ただしい仏語のやりとりの響きから一転、舞台でのセリフ合わせでマゾッホの小説の主人公の霊が舞い降りたかのように、無名の女優の声音に生命感が生まれる変化を絶妙の手際で捉えまさに〈映画の華〉。バックに流れる音楽もスクリーンに張り付かず、試聴室の再生音場内に繊細に漂い出す。意外性のドラマをその場で目撃しているかのようだ。

■画質面ではハイコントラストで力強い映像が一層の進化を果たした

BDP-105DJPがBDのプレイバックリファレンスとして信頼を得たのは、映像の力強い表現が大きい。力強いコントラスト表現とディテール表出力の両立、巧みに飽和を避けつつ惜しみなく彩度を出して来る積極的なカラー表現、鮮度感と生気に溢れたアグレッシブさが魅力。ここまで音を聴いてきてリファレンス志向を強めているBDP-105DJPL、OPPOらしい積極性が大人しい方向へ変わっているのではないかと若干心配だったが杞憂だった。

画質チェックには、ソニーのプロジェクター「VPL-VW1100ES」を使用

サラウンド/BD再生のリファレンスに用いたMarantz「SR7009」

映像はコントラストことに白ピークの伸びが顕著で持ち前のハイコントラストで力強い映像が一層進境を果たした。『インサイド…』冒頭の主人公のアップのスキントーンが明るくかつ透明感を高めている。S/Nが向上しオスカー・アイザックの髭や膚の肌理の解像感が上がっている。意外だったのは色乗りがよく生気に満ちていることだ。解像度アップに合わせて彩度を巧みに向上させている。リファレンスに使用したソニーのプロジェクター「VPL-VW1100ES」がストイックなモニター調なので、前世代機BDP-105DJPではやや蒼白に感じられたキャリー・マリガンのアップがBDP-105DJPLでは若い白人女性の膚の内側から滲み出る優しい血の温かみに満ちている。



BDP-105DJPLは繊細さと力強さそしてしなやかさを身につけた印象だ。持ち前の映像の積極性、大胆さを失わずコントラストを始め一回りスケールを増した。本機で色々な映画を再見したくなった。OPPO BDP-105 JAPAN LIMITEDは、フルHDのBDを「しゃぶり尽くす」大いなる伴侶といえよう。

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