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ダイナミック型ドライバーサウンドの真骨頂

【レビュー】エレコムのデュアルドライバー搭載イヤホンはJ-POPやアニソンにもベストマッチ

公開日 2015/08/10 11:00 折原 一也
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ライブ感とヌケの良さを出したダイナミック型ドライバーサウンドの真骨頂

デュアルドライバー搭載イヤホン「EHP-CA2D3510」

まず、宇多田ヒカルの「Automatic」を聴いてみると、イントロから従来あまり意識していなかったシンバルの刻みと、ゴリっとした鈍い質感を持つ重低音のビート、そして曲全体からライブ感溢れる響きが同時に現れ、デュアルドライバー搭載とSound amplification chamber設計の持つ空間の大きさをいかんなく発揮している。響き志向のサウンドといっても、空間の広がりが大きい故にボーカルが埋もれることなく、まさにダイナミック型らしい気持ちの良さがある。

宇多田ヒカル『First Love』(「Automatic」収録)

より最近のサウンドで、三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBEの「R.Y.U.S.E.I」を聴くと、男性ボーカルの声の響きといい、このアゲアゲのサウンドにダイナミックに溢れ出るようなライブ感、量的に適度に保ちつつも鈍く沸き上がるような低音の刻むパワー感までがベストマッチする。

アニソンは、藍井エイルの「IGNITE」を聴いても、その疾走感あるサウンドを聴いた時の気持ち良さは相当なモノ。エネルギッシュなボーカルを耳につかないヌケの良さで出しつつライブ感あるサウンドを生み出し、空気の振動をその余韻で伝えるようなベース、そして頭全体に伝わる包囲感のある高密度サウンドで押し切る。

藍井エイル「IGNITE」

BAドライバー搭載のイヤホンでは、まずこうは鳴らせない。J-POPやアニソンのような楽曲を、ちょっとボリューム大きめでノリ良く聴くならEHP-CA2D3510/EHP-CS2D3510のサウンドは大いにアリだ。

よりクラシカルな音源で、カラヤン指揮の『ヴィヴァルディ:「四季」 「春」 第一楽章:アレグロ』を聴くと、これがなかなかの美音で弦楽器の音も粒立ちよく印象的に引き出す。特に高域のキャラクターは弦の一つ一つの音を聴き分けるような解像志向ではないのだが、太めの線でメロディを描くような描写志向と、それが持ち前の響きと空間スケールともハマるのだ。

ジャズから、SHANTIの「Killing Me Softly with His Song」を聴いてもその美音の志向が生き、アコースティックギターの響きも余韻を響かせ、適度にアタックを利かせたボーカルが印象的に浮き立つ。



エレコムのイヤホンラインナップの中ではミドルクラスにあたるEHP-CA2D3510/EHP-CS2D3510だが、ライブ感溢れるサウンドと高域までの美しい鳴りと響き、J-POPやアニソンといった現代的な楽曲へのマッチングと、ハイレゾ志向のハイエンドとはひと味違った味付けで作り上げたモデルといえる。技術的なアプローチの面白さはもちろん、今、スマートフォンで聴かれている楽曲のサウンドにハマるようにまとめ上げた、確かなセンスを感じさせるイヤホンだ。

(折原 一也)

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