HOME > レビュー > 今なお最高の銘機・AKG「K3003」と注目ハイレゾDAPを組合せレビュー

K3003は各DAPの個性をどう引き出してくれるのか?

今なお最高の銘機・AKG「K3003」と注目ハイレゾDAPを組合せレビュー

公開日 2015/06/08 10:00 高橋 敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

Astell&Kern「AK120II」との組合せ

Astell&Kern「AK120II」

では最初にAstell&Kern「AK120II」から。シリーズに圧倒的ハイエンド「AK240」が存在するので二番手的な印象もあるが、実際にはこちらはこちらでまた異なった個性も持つ。

K3003の持ち味のひとつは高域側の薄刃でシャープな描写だと思うのだが、その点を特に際立たせてくれるのがこの組み合わせだ。きつすぎず心地よい鋭さで、同じく心地よい硬質さを備えた低域とのバランスもよい。キャラクターとしては大人クール、ちょいS、ツン…デレないといった印象。

このプレーヤーを他のイヤホンと組み合わせてもその傾向に寄りがちなので、そこはAK120IIの個性でもあるようだ。K3003とAK120IIの持ち味が重なりつつも過剰になっていないというのがこの組み合わせのポイントと思える。

薄刃というのがわかりやすいのはやはりシンバル。特にハイハットシンバルのシュパッとしたキレが光り、それが刻むリズムの抑揚などニュアンス表現も豊かだ。ギターのカッティングも厚みを出しすぎず、しかし薄っぺらでもなく、やはりキレがよい。ロックにせよジャズにせよエレクトロにせよ、それらによって細かく刻まれるリズムの明瞭さは特に見事だ。

ベースはスラップの速いアタックへの追従がよく、音の弾けっぷりが爽快。そのアタックのすっきり感もあって中低域の芯の強さ、先ほど述べた心地よい硬質さもここで強く発揮される。プログレッシブメタル的な速く複雑なバスドラムフットワークもアタックが明瞭で、その複雑さがもたらす特別なドライブ感がよく伝わって来る。

高域の描写の鋭さに低音楽器の明瞭さとなれば全体としての解像感や情報量といった要素も、もちろん見事なものだ。エレクトロポップやメタルの音数や複雑さも余裕で捌いてくれる。

なお肝心のボーカルも最初に述べた「大人クール、ちょいS、ツン…デレない」というような印象で良好。

次ページSONY「NW-ZX2」との組合せ

前へ 1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE