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音質や機能向上、4Kテレビ&ゲームとの相性まで

アップデートで使い勝手がさらに向上。ECLIPSE「TD-M1」“現在の実力”を検証

公開日 2015/02/04 11:41 高橋敦/折原一也
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■アップデートで使い勝手をさらに強化

TD-M1の特徴とはその“正確な音”であり、さらにはその技術背景なのだが、冒頭に述べたように様々なシーンで活躍する多機能機を備えることもやはり魅力だ。そしてその使い勝手は、12月に実施されたアップデートでさらに向上した。


ECLIPSE TD Remote for Android」

DACフィルターのオン/オフやオートスタンバイモードの切り替えも可能
機能向上のひとつめはAndroidアプリ「ECLIPSE TD Remote for Android」の登場だ。既存のiOSアプリと同等の機能、つまり電源のオンオフに始まる基本的なリモコン機能やオーバーサンプリングフィルターのオン/オフといった設定変更等にもちろん対応する。加えてiOS環境でのAirPlayにあたる、Android機器内の音楽ライブラリをTD-M1にワイヤレス送信して再生する機能を搭載。言うなれば「AndoridでもAirPlay(的なこと)ができる」というわけだ。従来はiPhoneユーザーのみに向けて提供されていた機能や使い勝手が、Androidユーザーにも提供されるようになったのである。

機能向上のもうひとつはTD-M1本体のファームウェア・アップデートによるもので、具体的にはオートパワーオン&オートスタンバイ周りの強化だ。後者の「スタンバイ」はいわゆる「スリープ」と考えてほしい。これによる使い勝手、活用シーンの拡大は見逃せない。


アナログ入力のオートパワーオンに対応したことで、テレビスピーカーとしてTD-M1を活用する際の利便性はさらに向上した
オートパワーオンは、従来はAirPlayとUSB Type-A端子からの入力のみに連動して本体が自動起動していた。それが今回のアップデートにより、すべての入力で自動起動が可能となった。具体的には、PCとのUSB-DAC接続に用いるUSBのType-B端子、アナログ入力用の3.5mmステレオミニ端子もオートパワーオンに対応した。これと対になり入力がなくなってからの経過時間によって本機を自動的にスタンバイ状態にするのがオートスタンバイ機能。従来では「OFF/30/60分」の3段階というざっくりとした設定だったが、今回は「OFF/1/3/10/30/60分」の6段階となった。

オートパワーオン/オフの機能のおかげで、PCやテレビといった機器と組み合わせた際にも、TD-M1の電源をいちいちオン/オフする手間がなくなる。より幅広い範囲でより便利に使えるアイテムに進化したと言えるだろう。

■スピーカー再生の第一歩としても適役


TD-M1の視聴を行う高橋敦氏
このように音も使い勝手も高いレベルにあり、様々な場面で多くの方を満足させるであろうTD-M1。しかしそこで僕がTD-M1を特におすすめしたいユーザー層をあえて挙げるなら、ヘッドホンからオーディオを始めて、そしてある程度のヘッドホンシステムを完成させて、「次はスピーカーかな」と興味を持ち始めた方だ。

当然、ヘッドホンとスピーカーのサウンドは別物である。しかし、ハイエンドヘッドホンの音は、ある意味で生半可なスピーカーシステムより高い満足を得られてしまうものである。ヘッドホンは音量を気にすることなく、その性能を存分に発揮させることは、スピーカーよりかんたんだ。インパルス応答という考え方をここでも導入するならば、ドライバーがスピーカーとは比べものにならないほどの小さいヘッドホンは慣性の影響も小さく、そこにも優位性を見いだせるだろう。


高橋敦氏と、今回ECLIPSEのスピーカーについてプレゼンを行っていただいた富士通テン株式会社 TD事業室長 小脇宏氏
それはさておき、ハイエンドヘッドホンのユーザーは生半可なスピーカーシステムを導入しても「スピーカーなんてこんなものか…」という落胆に終わってしまう可能性も低くはないと僕には思えるのだ。しかし、TD-M1は生半可ではない。ハイエンドヘッドホンにも劣らない明瞭で精密感のある音像描写に加えて、たとえハイエンドであってもヘッドホンでは到達できないスピーカーならではの空間描写を兼ね備えている。しかも、デスクトップに設置できるサイズだ。

さらにその設置性の高さや接続性の幅広さを活かせば、本格システムをお持ちの方ならサブシステムとして、テレビ音声の強化役として、その活躍の幅は広い。独自の思想を土台にした孤高のスピーカーであるが、実は使い勝手における柔軟性も高いのである。TD-M1は、オーディオファンからヘッドホンリスナーまで、より多くの方に注目してほしいモデルだ。

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