<山本敦のAV進化論>第22回

見えてきた「リモート視聴」の課題 ー 他社製機器とアプリで接続できない理由とは?

山本 敦

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2014年08月27日

「NexTV-Fの視聴要件に含まれているのは、親子機間のペアリング方法や、台数制限などレコーダーと接続できたうえでのアプリケーションの動作を制限するためのルールであって、暗号化の強度がAES128程度ということ以外、特に技術仕様の詳細は取り決められていません。DTCP+ベースではない独自暗号化も許容されているほどです。NAT越えの技術仕様や配信メディアフォーマットについては、ここでも触れられていません」(三阪氏)。

つまり、ソニーとパナソニック、そしてDLPAの「リモート視聴」に対応する製品に採用されているNAT越えの技術アプローチやコンテンツ送信のフォーマットは、それぞれが独自に作り込んだものであり、土台が異なっているが故に、各方式間に互換性がないのだ。

たとえばDLPAのリモートアクセスガイドライン2.0に対応するデジオンの「DiXiM Digital TV for iOS」アプリを使い、ソニーのレコーダーに録画した番組をリモート視聴することは現時点でできないのだが、それは単に作っているメーカーが違うからというだけでなく、両者がベースにしている技術仕様が根本的に異なっていることに起因している。

「DLPAとして、各社への相互接続の働きかけができていないことは、課題として受け止めています。現在のリモート視聴は、技術仕様としてあまりにも違うものがベースになっているので、各社の方式を直接接続できる仕様に一本化するのは困難というのが現状。例えばNAT越えの技術だけでなく、DTCP+ではサーバーとプレーヤーをペアリングする必要があるという決まりがありますが、どのような技術を用いてペアリングを行うかという点についても実装依存になっています。メーカーどうしでNAT越えやペアリングを含めた技術全体のシステムを完全に開示し合うことがなければ、相互接続は難しい」と三阪氏は説明を加える。

DLPAのリモートアクセスガイドライン2.0に対応する製品には、バッファローのNAS"リンクステーション”「LS410DX」シリーズ、I-Oデータの「HVL-A」シリーズなどがある。ところがNAS単体の場合、新ガイドラインの2.0になっても、1.0の段階とできることは変わらない。あくまで先に言及した通り、DLPA方式に対応するレコーダーと組み合わせ、同一アプリでNASにつないで、アーカイブを横断してリモート視聴が楽しめるようになった時にメリットが出てくる。新ガイドラインの範囲で"今できること”と、DLPAが目指している所との間にはまだ開きがあるが、「将来はどのメーカー製品の組み合わせでもリモート視聴ができるようにすることが技術の目標」であると、三阪氏らは口を揃える。


■レコーダーメーカーが他社製品に対応することが難しい理由もある

一方ではまた、ソニーやパナソニックなどレコーダーのメーカー側から、他社のアプリや製品に対応させることが難しい現状もある。レコーダー機器の場合はリモート視聴の機能を乗せる際、該当のレコーダーが接続できる子機となるアプリやハードについて、全ての組み合わせをNexTV-Fに届け出る必要があるからだ。

そうなるとDLPAとしては、メンバー企業がアプリなどの製品を開発したところで、レコーダーのメーカーが対応製品として届け出を行ってくれない限り接続できないことになる。技術的にはつながるのだが、接続ができてしまうと届け出る決まりになっているので、レコーダーのメーカーとしては同社指定の専用アプリだけがつながるという設定を組み込み、未登録のアプリが接続できないような制限を加えることになってしまうのだ。


■転送フォーマットを共通化できなかった背景にあるもの

例えばデジオンの「DiXiM Digital TV for iOS」などプレーヤーアプリそのものは、ホームネットワークでのコンテンツ視聴の部分では様々なメーカーのレコーダーと互換性が取れているのにも関わらず、リモート視聴の部分ではこれができていない。この理由について三阪氏に訊ねたところ、次のような答えが返ってきた。

差別化競争がリモート視聴の普及を拒んでいる側面も

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