【特別企画】

フラグシップの系譜に連なる新ヘッドホン・TDK Life on Record「ST560s」レビュー

山本 敦
2014年08月05日
フラグシップの系譜に連なる新ヘッドホンが登場
実売5,000円台で高品位サウンドを実現


TDK Life on Recordブランドから久しぶりにヘッドホンの新製品群が発売される(関連ニュース)。5ラインナップのうち、ワイヤードの上位モデルに位置づけられるのが「ST560s」だ。

「ST560s」¥OPEN(予想実売価格・税抜5,500円前後)

大型のイヤーパッドを持つインパクトのあるルックスに目を奪われがちだが、その音づくりは米国のイメーション本社でTDK Life on Recordブランドのヘッドホン開発担当チームが丁寧にチューニングした「シグネチャーサウンド」を冠する高音質モデルだ。ブランドのHiFiヘッドホンのステータスを一気に押し上げたヘッドホン「TH-ST800」(2011年発売)に代表される“プレミアムシリーズ”の音づくりを継承。どんなジャンルの音楽にも余計な色づけをしない「忠実な音」を再現することが、フラグシップの系譜に連なる本機の使命だ。

密閉型ハウジングの中には、本機のためにサウンドをチューニングした40mm口径ドライバーを搭載。高磁力ネオジウムマグネットによりクリアな中高域を再現しながら、リアルな重低音とのバランスを最適化した。


同シリーズの「WR780」と同じく肉厚なイヤーパッドを採用。随所にブルー(ホワイトモデルの場合はブラック)をあしらい、デザインのアクセントにしている。

こちらもヘッドバンドは無段階で調整できるタイプだ。
大柄なイヤーパッドはルックスの個性を高めるためだけのものではなく、快適なリスニングもサポートしてくれる。柔軟性に富んだヘッドバンドとともに、柔らかく頭を包み込む優しい装着感を実現。長時間リスニングの負担を大幅に軽減してくれる。ブラックを基調としたモデルにはブルーのアクセントを配色。ホワイトモデルも全体にシックな色調に整えて、女性ユーザーのファッションコーディネートにも一役買う上品なルックスに仕上げた。


ケーブルは着脱が可能。付属ケーブルは、スマホ操作にも対応したリモコンマイク付きだ。

折りたたんで持ち運ぶこともできる。
スマートフォンで楽しむ際には、長さ1.2mのケーブルのインラインに設けたマイク付コントローラーを使いこなしたい。音楽の再生コントロールやハンズフリー通話が手元で操作できる。形状は絡みにくく取り回しの良いフラットケーブルとした点も特徴。歩きながら使ってみたところ、煩わしいケーブルのタッチノイズは全くと言いって良いほど気にならなかった。着脱対応なので、3.5mmステレオミニ端子のケーブルと交換ができる。本体が折り畳めるので、音楽を聴かない時にはソフトケースなどに収納してからバッグに入れてコンパクトに持ち歩ける。


大胆なルックスとは裏腹に、繊細で真面目な音づくり。
外出先でも家でも活躍してくれそうなモデル


それでは本機の音質を確かめてみよう。はじめにiPhone 5sでの試聴インプレッションから。いずれもCDをリッピングした44.1kHz/16bitのALACファイルを聴いている。

映画「サタデー・ナイト・フィーバー」のサウンドトラックからビージーズ『How Deep Is Your Love』では、冒頭から力強いエレクトリックピアノのハイトーンが心地良く染みてくる。解像感が高く、楽曲の細かなアレンジが細部まで見渡せる。ボーカルは自然な声質を再現するとともに、明瞭な滑舌でシャープな印象が残る。

ケーブルは着脱式なので、断線した場合もケーブルだけ取り替えてまた使うことができる。

ケーブルを外して持ち歩けば、鞄のなかでケーブルが絡まることなどもなく快適。

続いてPerfumeのアルバム「GAME」から『Baby Crusing Love』を聴く。クセがなくスムーズなボーカルの歌声が響く。シンセサイザーによるプログラミングのサウンドはアタックの切れ味が鋭くきまる。低域のリズムは太くなり過ぎることなく、彫りが深く足取りが軽やか。ワイドで臨場感溢れる演奏が、Perfumeのメンバーたちが躍動するリアルなイメージが脳内で膨らんでいく。

続いてAstell&KernのAK100でハイレゾのサウンドを確認した。はじめにビル・エヴァンス トリオのアルバム「Waltz For Debby」から『Milestones』(192kHz/24bit FLAC)を聴く。ピアノの鍵盤が弾かれた瞬間に音が立ち上がり、透明な余韻を残しながら空間に消えていく様を克明に再現する。ハイトーンのサスティーンはクリアで滲みがない。ハイハットやシンバルの音色は粒建ちが良く、ステージ上で煌びやかな粒子が空気の間に溶け込んでいく様が目に浮かんでくる。ベースの低域は少しあっさりとした印象ではあるものの、フットワークの鮮やかなグルーヴが高揚感を掻き立ててくれる。

山崎まさよしのアルバム「LIVE SEED FOLKS Special in 葛飾」から『僕はここにいる』(192kHz/24bit FLAC)では、曲の前半に展開するアコースティックギターのフィンガーピッキングを、弦の振動や指の細やかな動きまでしっかりとトレースする。サビからはふくよかなギターのハコ鳴りが味わえるコード演奏に、バックバンドのストリングスと一体になった深みのあるハーモニーを聴かせる。伸びやかで活き活きとしたボーカルは、ナチュラルな声質の抑揚表現が忠実に再現される。演奏後の会場に鳴り響く観客の拍手の臨場感にも息を呑んだ。

大胆なルックスとは裏腹に、繊細で真面目な音づくりのヘッドホン。様々なジャンルの音楽とのバランスも計算されていて、安定したパフォーマンスを発揮してくれる。長時間のリスニングにも負担の少ない軽やかな装着感も特筆できる。ポータブルだけでなく、自宅でのリスニングにも活躍してくれそうなTDK Life on Recordの新たなスタンダードだ。

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