【特別企画】好敵手の多い価格帯に投入された実力派モデル

“音”で勝負できる新モデル登場 − TDK Life on Recordの同軸ドライバー搭載カナル「IE800」/アンプ内蔵ヘッドホン「ST750」

折原一也
2012年10月25日
オーディオファンにとって、「TDK」というブランドはカセットテープの名門として印象深いことだろう。テープのほか、ビデオテープ、記録型CD、DVD、BDも製造し、AVメーカーとして長い実績を誇っている同ブランド。2007年にコンシューマー製品の販売事業がイメーションに譲渡され「TDK Life on Record」として再出発してからは、オーディオ製品にも参入。USB端子搭載のベルトドライブ式アナログターンテーブル「SP-XA2002」や、ラジカセを彷彿とさせる個性派デザインのiPod/iPhone対応2.1chステレオアクティブスピーカー“Boombox”「SP-XA6803」、イコライザーとアンプを内蔵したヘッドホン「TH-ST800」など、これまでのオーディオコンポーネントの枠組みを超えた製品を世に送り出してきた。新しい音楽シーンにフィットする製品企画に定評があるブランドと言えるだろう。

そんな「TDK Life on Record」が2012年の秋冬に発売するヘッドホンが、インナーイヤー型の「IE800」とオーバーヘッド型の「ST750」だ。


2基の同軸ドライバー搭載でワイドレンジな再生を実現する「IE800」

インナーイヤー型の「IE800」は、片側のハウジングに2基ずつのダイナミック型ドライバーを搭載した“デュアル・ダイナミック”方式を採用した点が大きな特徴。主に中低域を担当する直径8mmのダイナミック型ドライバーと、主に高域を担当する直径5.8mmのチタン振動板ドライバーを同軸上にマウントさせることで、減衰を最小限に抑え、伸びのある高音域を実現する。

IE800

2つのユニットを同軸上にマウントさせている


ハウジングの後ろ側にはブランドロゴを配している

イヤホンのノズル部
iPhone 5に接続して試聴すると、高解像志向のサウンドで、高域まで煌びやかに伸びたワイドレンジな音楽再生が実感できる。脳内に音像が明瞭に定位するのは同軸ドライバーのメリットと言えるだろう。特に女性ボーカルは音の存在感のみならず、吐息まで鳴らし分けるほどの再現性を持つ。低音はしっかりと締まりある上質なサウンドかつパンチを効かせたタイトなタイプ。中域との分離も明瞭と、高解像度志向の音作りで徹底している。

ケーブルは絡みにくいフラットケーブル

プラグは3.5mmステレオミニジャック

ダイナミックレンンジの広さ故にハイレゾのサウンドとは特に相性が良く、192kHz/24bitの音源ではイヤホンを装着していること自体を忘れてしまうようなダイレクトなサウンドを体感できた。低反発ウレタンによるイヤーピースの遮音性も音質上好ましい作りと言えるだろう。


アンプ内蔵で中域にパワーを与えるオーバーヘッド型「ST750」

オーバーヘッド型の「ST750」は、本体にアンプを内蔵し中高域を補強する特徴的なヘッドホン。密閉型ダイナミックタイプで、40mmのフルレンジドライバーを採用。内蔵アンプは単4形電池2本で動作する。アンプ回路により、外部機器からの低出力インピーダンス信号を制御し、ダイナミックレンジが広くバランスのとれたクリアな音再生を可能にするほか、左右チャンネル電力差により発生する低域歪みも軽減するという。ゴールドのメタルパーツとレザー調素材をあしらったデザインも目を引く。

ST750

アンプは単四電池2本で駆動


アンプのON/OFFはスイッチで切り替え可能。OFFにした状態でも音楽再生は可能だ

プラグ部にはブランドロゴが記されている
アンプはON/OFFが切り替えられ、OFFの状態でもアンプをスルーして音楽を聴くことができるが、iPhone 5に接続し試聴してみると真骨頂はやはりアンプON時のサウンドにあった。中域のドライブ力で圧倒的な違いを発揮する。まずボーカルが浮かび上がり、楽器のアタック感が向上し、リズミカルでキレ味良く鳴らす。

特にマッチしたのはアコースティックギターとジャズで、質感たっぷりな中域の厚みは、個々の楽器を見渡す再現性と、空間の広がりを両立させる。低域はパンチを効かせたタイプで音楽として心地良い。なお、アンプOFFの状態でもボリュームを上げることで十分なパワーを確保できる作りとなっているので安心していい。

イヤーパッドとヘッドパッドは形状記憶フォームとなっており、長時間のリスニングで疲れないことにメリットがある。

イヤーパッドやヘッドパッドには形状記憶フォームを使用

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好敵手の多い価格帯に投入された2モデルだが、「TDK Life on Record」ブランドの製品らしく、IE800は同軸デュアルドライバーによるレンジ感、ST750はアンプ内蔵によるパワフルな中域再生と独自機構の採用による“音”で勝負できる製品だ。他機種のサウンドでは飽き足りないユーザーに推奨したい。



折原一也
埼玉県出身。コンピューター系出版社編集職を経た後、フリーライターとして雑誌・ムック等に寄稿し、現在はデジタル家電をはじめとするAVに活動フィールドを移す。PCテクノロジーをベースとしたデジタル機器に精通し、AV/PCを問わず実用性を追求しながら両者を使い分ける実践派。

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