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Daft Punk/ ジミヘン/ 宇多田ヒカルなどを一気聴き

3000円でコンプライ付き!TDK Life on Recordの重低音イヤホン「CLEF-X」で名盤を聴く

公開日 2014/05/09 11:00 高橋 敦
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より多くの方にフィットする豊富なラインナップで好評を博しているTDK Life on Record。今回紹介する“CLEF-X”「TH-XEC300」も2,830円(税抜)と手頃な価格のイヤホン新製品。重低音再生をコンセプトにした「CLEF-X」シリーズの新モデルだ。

“CLEF-X”「TH-XEC300」

カラーはブラック/レッド/ブルー/ゴールドをラインナップ

ドライバーは大口径の部類に入る13.5mmで、新開発の「Xtreme Premium Driver」。重低音はもちろん、解像度も向上させた。


その効果は計測値にも表れている。本機の再生周波数帯域は10Hzから20kHz。平均的な人の可聴帯域下限である20Hzの下まで伸びており、その上の可聴帯域下限付近(20Hzからその少し上)あたりの再現性に余裕があると期待できる。

それを収める筐体には、コーティングされた高比重樹脂によるオーナメントと金属リングを装備。制振効果で音をよりクリアにする狙いだ。

筐体には、コーティングされた高比重樹脂によるオーナメントと金属リングを備え、制振効果を高めている。

ヘッドホンコードの分岐上部分もシールド線が2本独立したパラレルライン・アッパーコードを採用し、信号伝送能力を高めたとのこと。

イヤーピースは、一般的な形状と素材のソフトシリコンイヤーピースに加えて、遮音性と装着感を向上させるサードパーティ製品として定番である、コンプライ社の低反発フォームイヤーピースも、なんとこの価格にして標準付属。そちらは1サイズ(M)のみの付属だが、それが耳に合うようであれば前述のような大きな効果を得られる。

通常のシリコンイヤーチップに加え、なんと売価約3,000円にしてコンプライのイヤーチップが付属する。

まずは最大のポイントである「低音の再現性」をチェックするのに適切な曲で、その点を中心に確認してみよう。

Daft Punk「Get Lucky」


Daft Punk「Get Lucky」
フランス出身のエレクトロニックミュージックデュオ Daft Punkは、ディスコやファンクを取り入れたサウンドが魅力。「Get Lucky」はファレル・ウィリアムスをボーカルに、ナイル・ロジャースをギターに迎え、70年代風のどこか懐かしいグルーヴ感に満ちたポップチューン。第56回グラミー賞 最優秀レコード賞受賞作。


先日のグラミー受賞パフォーマンスで世界中から絶賛されたDaft Punk「Get Lucky」だ。名手が集結して生み出す生のグルーヴ、それを支えるディープなベースに特に注目。

率直に言って、感心させられた。低価格帯で低音重視の製品となると、ベースやバスドラムの太さや厚みを強調する帯域をブーストしたような、不自然な重低音の場合も多い。しかしこのモデルはどこかの帯域を強調するのではなく、より低い帯域までを自然なバランスで伸ばしている印象だ。ベースが過剰に膨らむことはなく、安定している。感触はソフトだがそれでいて音は明確でスタッカートも決まっており、ぐいっとした推進力もある。まさにグルーヴィだ。

感触のソフトさは他の帯域、他の楽器も共通だ。であるので全体の印象も、グルーヴィではあるが、ダンス!ダンス!ダンス!ではなく、少しメロウでスウィート。それはこのモデルの個性と言えるだろう。


Jimi Hendrix「Voodoo Child (Slight Return)」


Jimi Hendrix「Voodoo Child (Slight Return)」
“ギターの神様”ことジミヘンの、ロック史上に燦然と輝く名盤「Erictric Ladyland」に収録。前後左右縦横無尽に飛び回るギターのサウンドは、周りの風景が溶けていくようなサイケなトリップ感アリ。


続いては時代を時代をさかのぼってJimi Hendrix「Voodoo Child (Slight Return)」。ロック黄金期のサウンドとの相性はどうだろうか?

この曲は、ギターの音はエッジが強烈だが、しかし全体を見るとエッジを曖昧にして定位を流動的にして、全ての音がぐにゃりと溶け合うような混沌とした様子が特徴だ。このイヤホンは音を分離させすぎずむしろなじませることで、その後者の感触を実によく伝えてくれる。まさにサイケデリックな雰囲気を味わいたい方には特にフィットするだろう。


宇多田ヒカル「First Love」


宇多田ヒカル「First Love」
J-POP史上最高のセールスを記録した、宇多田ヒカルの1stアルバムにして不朽の名盤。


最後に宇多田ヒカル「First Love」。同曲収録のアルバムは先日に15周年記念盤とハイレゾ配信が登場して改めて話題を呼んだ(ハイレゾ版の全曲レビューはこちら)。女性ボーカルのバラードの代表として聴いてみよう。

これは特によい組み合わせだ。当時の彼女の歌声は近年よりもシャープな成分の方が目立っていた。高域を下手に出してしまうイヤホンだとそれが耳障りにもなりがちだ。しかしこのモデルのソフトタッチさは、それを十分にほぐしてくれる。

またこのときからすでに、彼女の歌声には豊かに響く低音も込められている。このモデルはその低音もぐっと引き出してくれるので、歌の深みも光る。


実売3,000円ながら“自然に深く響く低音”を聴かせてくれる

一通り確認してみて本機の最大の特長と感じるのは、重低音を売りにしているが、その方向性が安易な低音強調ではないことだ。「どどーん!重低音ですよ!大迫力でしょ?」ではなく、「これが本当の低音ですよ。自然に深く響くでしょ?」といった感じと言えばよいだろうか。この価格帯でそういった低音を聴かせてくれるイヤホンは貴重だ。例えばイヤホン選びのファーストステップとしてまずこれを体感してみるのは、なかなか良い選択になるだろう。




”CLEF-X” TH-XEC300 Product Data

・型式 :ダイナミック型
・プラグ :3.5mmステレオミニプラグ (L型プラグ)
・ドライバー :φ13.5mm
・再生周波数帯域 :10-20,000Hz
・音圧感度 :101dB/mW
・入力インピーダンス :16Ω
・コード :長さ1.1m(Y型)
・付属品 :ComplyTMフォームチップ(M)、シリコン製イヤーピース(S/M/L)

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