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【特別企画】岩井喬が本社&製造現場を取材

注目の新鋭ケーブルブランド「AVINITY」のドイツ本社で確認した驚くべき製品開発力

公開日 2014/08/01 11:00 岩井喬
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■スピーカーケーブル製造における徹底した品質管理

デンケンドルフにあるKLASING社の工場では、AVINITYのスピーカーケーブルの製造過程を取材することができた。工場では、裸の銅線に被覆を被せる作業、巨大なドラム状の製造機を使って反物を織り上げるかのようにいくつもの芯線を引きのばし、ツイストして撚り合わせる工程、さらには被覆への印字、出荷用リールへ巻き取る一連の作業などを見ることができた。

KLASINGの工場におけるAVINITYのスピーカーケーブルの製造現場

様々な種類の線材や絶縁材が工場内にはストックされている


製造されたケーブルを巨大な出荷用リールに巻き取っていく

なお、基本的にAVINITYのスピーカーケーブルに使う導体はハイパフォーマンスOFCが中心で、上位モデルには銀コートを施したものを用いている。AVINITYとKLASINGが全面的に協力することで、最良な電気的スペックを得られるよう、導体構造を含めて線材径や撚り合わせのスタイルを検討しているのだという。

絶縁材となる被覆は様々な色、素材のペレットが用意され、指示された配合でミックスされたあと、独自の機材で溶かし、銅線へ均一に被せる。大型ドラムを用いたツイスト工程はAVINITYの上位スピーカーケーブル“MAGIC TWISTED”「AY-SP-MT」の製造では欠かせないものだ。

大型ドラムを使って、いくつもの芯線を引き延ばし、ツイストして撚り合わせていく

製造工程の詳細は請負元との契約もあり、企業秘密とされている部分も多かったが、KLASINGのセールスマネージャー、Johann Hettele氏は「我々の工場で製造されたケーブルは製造中のラインで絶縁チェックも行います。加えて、Hamaへ納入する直前にも導通・絶縁チェックを含めた製品検査をもう一度行い、そのまま市場へ出荷しても問題ない状態で引き渡します。また環境保護の観点から、絶縁破壊チェック後に破棄するケーブル類は素材ごとにリサイクルするよう努めています」と製品の品質に自信をのぞかせる。

■モンハイムの田園風景の中に建てられたHama本社の巨大オフィス

製造ラインツアーの後、いよいよAVINITYの母体であるHama本社があるモンハイムへ向かった。モンハイムはデンケンドルフからは40〜50km離れた場所で、ミュンヘンからは車で1時間半くらいの位置にある、人口5000人余りの小さな街だ。実はモンハイムの人口の大半がHama本社やHama関連の職に就いているのだという。「まさにモンハイムはHamaタウンなんだ。街中で見かける人はほとんど見知ったHama社員なんだよ」と、取材をアテンドしてくれたAVINITYのプロダクトマネージャー、Carsten M. Brocker氏は誇らしげだ。

田園風景の中央に、Hama社の巨大なオフィスは位置している

モンハイムの中心部は中世から存在する歴史ある街並みで、とても趣がある。Hamaの前身であるHamaPhotがこの街に移転した当初の建物は、街の中心部から徒歩で数分の場所に現在でも大事に残されており、まだ実際にオフィスとして使われているそうだ。閑静な住宅地を抜け、街の周囲まで来ると、あたりは広大な田畑や豊かな自然が広がるが、Hamaの巨大な本社もそうした平面な耕作地の中に建てられていた。

とにかく巨大なHamaの本社オフィス。モンハイムの住人の多くが、このHama社で働いているのだという

HamaPhotがこの街に移転した当初の建物。現在でも大切に保存されており、実際にオフィスとして使われている

Hama本社は4階建のオフィスビルと広大な敷地を生かした製品倉庫・流通拠点となっており、パッケージ用包材の成型組み立て、梱包、さらにはプロモーション用の巨大なポスターをも自前で用意できる印刷部門まで本社機構のなかに設けている。各セクションをHamaのエリアマネージャーであるMicheal Nepf氏が案内してくれたが、2時間かけて要所要所見学させてもらってもまだ全貌が掴めないくらいの、途方もない規模の大きさであった。

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