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セミオープン型のサウンドの魅力や使い勝手をレビュー

【編集部レビュー】フィリップスの新ヘッドホン“Fidelio”「L2」を一週間使ってみた

公開日 2014/07/02 13:03 ファイル・ウェブ編集部 小澤貴信
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■まずはiPhoneと組み合わせて音質をチェック

まずは、オーディオファンではない方の標準的な環境を考えて、iPhoneに保存した256kbpsのAACを試聴してみた。

まずはiPhoneと組合わせて試聴

最初に言ってしまうと、記者はFidelioのヘッドホンL1、イヤホンS1/S2に採用されたセミオープン型モデルに共通する、音の抜けがよく、適度な広がり感があるサウンドはかなり好みだ。解像感というよりは、声や楽器の質感に耳を傾けてしまうタイプの音作りだと感じている。

実際にL2を聴いてみても、やはりその抜けの良さや広がり感に感心する。アコースティックギターの倍音やスネアドラムの余韻は心地良く、音場が耳から少し離れたところで自然に広がる。そしてL2ならではの印象として感じたのは、タイト過ぎずにしっかりと沈む低音と、各楽器の暖かみのある音色だ。一方で、エレキギターやシンバルはシャープで切れ味のある音で聴かせてくれる。

音楽ジャンルでいうと、普段よく聴くエレキギター主体のロックは、低音と抜けの良さが爽快。アコースティック主体の弾き語りやボーカルものはL2と相性抜群だ。そして、ベースの太さ、音抜けの良さからくるリズムのキレという点で、ダンスミュージックやヒップホップともとても相性がよかった。

■ハイレゾ音源のリスニングと相性が良い

セミオープン型であるL2の本領が発揮されると感じたのはハイレゾ音源だ。ハイレゾ音源ならではの広がり感や、音の消え入り際の繊細さ、低域の解像感がL2だととても良く味わえるのである。これは、セミオープン型のイヤホン、S2やS1でハイレゾを聴いた際の印象とも合致する。決して高解像度指向のサウンドというわけではないのだが、L2はハイレゾ音源の魅力をとても良く再現してくれる。

USB-DAC内蔵ヘッドホンアンプと組合わせて、ハイレゾ再生も確認した

今回はhibino/iBassoのUSB-DAC内蔵ヘッドホンアンプ「MICRO PRECIDION DH1」を組合わせて、「L2」のハイレゾ再生能力をチェックしてみた。Damon Albarn「Everyday Robots」は、生楽器と打ち込みが混在するサウンドを、分離良く、かつ音色豊かに再生してくれる。そして各音の消え入り際がとても自然だ。アナログ盤が好セールスを記録しているJack White「Three Women」は、ドラムをはじめ、各楽器の音が生々しく演奏の空気感が伝わってくる。Bob Dyran「You're Big Girl」はアコギの音が弦の唸りまで聞こえてくるほどリアルだ。

Damon Albarn『Everyday Robots』(44.1kHz/24bit)

Jack White『Lazaretto』(44.1kHz/24bit)

ハイレゾ対応というと、先日発表された日本オーディオ協会のハイレゾ対応機器が40kHz以上という指標を掲げている。それに対して、L2のスペック上の周波数帯域の上限は25kHzだ。しかし、記者の個人的な感想としては、L2はハイレゾ音源のニュアンスをとても良く伝えてくれる。

試しにノラ・ジョーンズ『Come Away With Me』の「Elevate」をFLAC 192kHz/24bitで聴いてから、これをAAC 256kbpsまでダウンコンバートしたものを聴くと、その差は歴然としている。ハイレゾ音源では、ボーカルの繊細なニュアンスまでが伝わってくるのが、256kbpsではどこか平板になってしまう。L2はハイレゾの良さをしっかりと描き分けてれるヘッドホンだと思う。

Bob Dyran『Blood On The Tracks』(96kHz/24bit)

Norah Jones『Come Away With Me』(192kHz/24bit)

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