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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第90回】「リケーブル」徹底解説! 基礎知識から選び方、聴き比べまで濃密レポート

公開日 2014/06/30 12:53 高橋敦
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■製品選びのポイント:端子(プラグ)の種類

ここまで音質においても使い勝手や耐久性においてもポイントとしてあげた「端子(プラグ)」だが、端子についてはもっと重要な「そもそも」のポイントがある。それは端子の種類(形状)だ。

再生システムに接続する側はポータブル系なら3.5mmステレオ、据え置き系なら6.35mmステレオが一般的。どちらも標準化されている規格で大枠としては、イヤホンやポータブルヘッドホン向けのケーブルなら3.5mm、据え置き大型ヘッドホンなら6.35mmといった感じだ。

3.5mmと6.35mm。お使いのシステムに合わせて選べばOK

厄介なのはイヤホンやヘッドホンに接続する側だ。規格が統一されておらず、イヤホン&ヘッドホンのメーカーごと製品ごとに端子の種類が異なる。なのでそこを確認し忘れてリケーブル製品を購入すると、「あれ…自分のイヤホンに接続できない」ということになってしまうかもしれない。

ということなのでリケーブルを行う際には、自分のイヤホン&ヘッドホンのケーブルの端子の種類を確認して、それに適合するリケーブル製品の中からの選択ということになる。主な種類を紹介しておこう。

▼MMCX(イヤホン&ヘッドホン)

シュアのイヤホン&ヘッドホンを筆頭に、最近のウェストンやオンキヨー、UEのUE900/900sなど多くのメーカーの製品に採用されている規格。リケーブル製品も選択肢が多い。

MMCX(イヤホン&ヘッドホン)

特徴としては、後述の2ピン端子はコンセントのように2点で固定されるが、MMCXは同軸2接点なので回転方向には固定されず、イヤホン端子等のようにくるくると回る。端子周りに無理な力がかからないことなどはその利点だ。一方で装着感については、くるくる回るから装着しやすいという方もいれば、逆に装着しにくいという方もいる。

なおソニーの「XBA-H」シリーズのリケーブル対応モデルの端子は、MMCXをベースに周囲にスリットを設けることで回転しないように細工してあるといった感じのもの。MMCXリケーブル製品は装着できるものあるが、完全な互換性があるわけでもない。ソニーとしてはこれを「MMCX」とは呼んでおらず、独自端子という扱いだ。

▼カスタム系2ピン(イヤホン)

2ピンにも実はいろいろと種類があるのだが、リケーブルの話題で2ピンと言えば主には、JH Audioを筆頭にしたカスタムイヤーモニターで多く採用されている形の端子のこと。ウェストンはこちらのタイプの採用例も多い。端子自体の利点等はMMCXのところで説明したことの、ちょうど逆と考えてもらえればOK。こちらも採用例が少なくないので、リケーブル製品の選択肢もなかなか十分だ。

カスタム系2ピン(イヤホン)

▼AKG用ミニXLR(ヘッドホン)

AKGのStudioシリーズヘッドホン(K240やK270等)は比較的早くからケーブル交換に対応しており、それ用のリケーブル製品の選択肢もある。装着の確実さ、それでいて付け外しのしやすさ、どちらにも優れている端子だ。ただし片出し3ピン(左右合わせて3ピン)なので、後述のバランス接続に対応できないことが弱点。なおAKGヘッドホンの中でもK812はこれとは異なる端子を採用しているので注意。

AKG用ミニXLR(ヘッドホン)

▼その他個別モデル各シリーズ用

利用できる製品が多い端子となると前述の3種類だが、採用例は少なくともそのモデルやシリーズの人気が高く、リケーブルの需要が見込まれていれば、それ向けのリケーブル製品が用意されている例も多い。

例えばイヤホンならゼンハイザーのIE8/80用や、UEのUE Triple FI10用に、FitEar用。ヘッドホンならゼンハイザーHD 800/700用とHD 650用のリケーブル製品は比較的充実している。

他、リケーブル端子側が3.5mmや2.5mmのステレオ端子という例もちょいちょいあり、それ用のリケーブル製品もある。ただし先ほどのソニーのMMCXベースの独自端子のように、独自の工夫を凝らしてある例も多いので注意。またオーディオテクニカのIMシリーズは独自形状の端子で、現在のところサードパーティ製品はないが、自社でリケーブルを用意している。

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