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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第90回】「リケーブル」徹底解説! 基礎知識から選び方、聴き比べまで濃密レポート

2014/06/30 高橋敦
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▼高純度銀(純銀)

さて「高純度銀」の方は、こちらは単純に「銀はそもそも銅よりも抵抗値が低くて電気信号の損失が少ない」という強みがある。ただしもちろん、貴金属である銀は銅よりも高価な素材だ。そしてこちらも、高純度になればなるほどその原料&生産コストが価格に反映される。

またオーディオに限らず電気を伝送するためのケーブルといえば銅が普通で、我々が聴き慣れているのは銅線の音だ。オーディオメーカーも多くの製品で、それを基準に製品の音を調整していると思われる。

そのためかその銅から銀へのリケーブルは音の変化が特に大きいと感じられる場合が多い。傾向としては例えば、「高域のきらびやかさ」が銅から銅へのリケーブルでは例を見ないほどに強まる様子を想像してもらいたい。銅の中でのニュアンスのちがいとは異なり、明らかに変わる。

その点は「音が変わりすぎる」と感じる方もいるだろうし、「音を明確に変化させられてうれしい」と感じる方もいるだろう。銀線ならではの音が好みに合致する後者の方にとっては、他では得られないほどのメリットがあるのが銀線だ。なお、銀を使いながらも導体の太さや構造等で全体のバランスを整え、銀っぽさを強く出しすぎないようにしている製品もある。

こちらも後ほどさらに紹介するが、銀線の代表Re:Cable SR3

例えば「銀コート銅(または銀メッキ銅)」は、銅導体の表面を銀でコーティングすることで、価格面も含めて銅の良さは生かしたまま特に銀のよさも取り入れようという導体。電気信号には「表皮効果」というものがあり、より高い周波数=より高域の信号ほど導体の表面近くを流れる。そこで銅の表面を銀で覆うことによって高域において銀の特性を生かす狙いと思われる。銀の量は最小限で済むのでコスト的にも無理が少ない。また銀と銅の「合金」を採用する製品もある。

銀コート銅な製品としては例えばBeat Audio Silver Sonic MKVなど

他に面白いのはBeat Audio「Vermilion」が採用した、高純度の銅にあえて「ミネラル成分」を混ぜてあるという導体。ミネラル成分ってなんだよ?という謎っぷりはさておき、純度の追求とは異なるアプローチもあるということだ。

▼導体素材の他のポイント

音質面への影響が強くまたいちばんわかりやすいポイントは導体の素材だが、もちろん音質に関わるポイントは他にいくつもある。

例えば多くの場合に導体は、柔軟性を確保するために、細い線を何本も縒り合わせて作られている。どんな太さの線を何本縒り合わせてあるのかといったところも音質に影響する。導体全体の太さも重要だ。基本的にはある程度は太い方が伝送性能としては有利なのだが、しかしあまり太いと取り回しが悪化する。

なお数は少ないが、縒り線ではなく単線のケーブルも存在。こちらはもう完全に取り回し等よりも音質を重視している(一概に単線ならば音が良いというわけではない)。また導体を覆う絶縁材やシールドといった部分の素材や素材も、ノイズ混入の抑制等といった要素に関わるので要チェック。

イヤホン&ヘッドホン、そしてプレーヤーにケーブルをつなぐ端子(プラグ)も、音質への影響は少なくない。材質はもちろん、工作精度が高い端子は接触がより確実になることでの音質向上を見込める。

またなかには、信号線(導体)と端子を接合するハンダにまでこだわっている製品もある。ハンダについては種類よりもハンダ付けの腕前の方が影響は大きいだろうが、腕前が同等ならハンダの違いも生きてくるだろう。

他には導体や端子に「クライオ処理」を施している製品もある。クライオ処理とは金属の組成を超低温で整えることで特性を変化させるというもの。それによって電気信号がよりスムーズに流れるということのようだ。ちなみに最近ではギブソンがギターの一部モデルにクライオ処理したフレットを使っていたりもする。

次ページ製品選びのポイント:「使い勝手」

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