<連続レポート>3名のオーディオ評論家がDCD-SX1のサウンドに迫る

デノン「DCD-SX1」に貝山知弘が感じた“由緒正しき血統” とは?

貝山知弘

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2014年02月10日
3名のオーディオ評論家が、独自の視点からデノンのフラグシップSACDプレーヤー「DCD-SX1」にフォーカスしてレビューを行う本企画。オーディオ評論家・貝山知弘は、デノンのディスクプレーヤーの歴史を俯瞰しながら、DCD-SX1の持つ由緒正しき血統に裏打ちされたサウンドを紐解いていった。

DENON「DCD-SX1」¥550,000(税抜)

■デノンのディスクプレーヤーの由緒正しき血統を引き継いだ旗艦モデル

デノンの新フラグシップモデルに触れた時、由緒正しい優れた血の流れを感じるのは私だけだろうか? 

昨年秋に登場したCD/SACDプレーヤーのフラグシップモデル「DCD-SX1」に触れ、そのサウンドを聴いた時、私の脳裏に浮かんだのは、1993年に登場したセパレートタイプCDプレーヤー「DP-S1」(トランスポート)と「DA-S1」(DAコンバーター)のコンビであった。当時このモデルに初めて接し、トランスポートの堅牢な構造と、機能的で美しいトップローディングのラウンド・フォルムを見た時、私は瞬時にこの製品の虜となっていた。

貝山知弘氏

トップドアを開いてCDをセットし、その上にディスクと同サイズで重量級のスタビライザーを乗せるというアナログディスク再生なみの操作も、レコードを聴く儀式として私の好むところだった。シャーシフレームとメカベースに砂型鋳物を採用した上で、メカベースはオイルダンパーとスプリングで振動を抑圧した完璧な構造も当時わが意を得た重要なポイントであった。本機とD/Aコンバーター「DA-S1」とのコンビから得られるサウンドは、当時のCDプレーヤーの水準をはるかに越えていた。それはスケールの大きさと力強さを持ちながら細部の緻密な表現も可能で、自然で流麗な表現ができる大人のサウンドであった。

デノンの往年の銘機「DP-S1」(トランスポート)と「DA-S1」(D/Aコンバーター)

2008年に登場したフラグシップSACDプレーヤー「DCD-SX」

それから数年、SACDの登場は各社に新しいデジタルプレーヤーの開発を促した。2008年に登場した「DCD-SX」はCDとSACDの再生ができるフラグシッフモデルだったが、「音源の製作者の意図を忠実に再現するため、繊細さと力強さを両立させる」という設計思想は前記セパレート型プレーヤーと変わっていなかった。見るからに頑丈な前作を巨砲を据えた戦艦に例えるならば、DCD-SXは速射砲を搭載した高速巡洋戦艦と言えるだろう。

DCD-SXにおいては、メカは「DP-S1」のトップローディング方式からトレイローディング方式に変わったが、贅を尽くした堅牢な構造はきちんと継承されていた。鋳鉄のメカベースを低重心で配置した3層のダイレクトメカニカルグラウンドシャーシの強度は前作と変わらず高く維持され、フローティングを止め振動を直にグランドに流す構造の制振性の高さは従来のモデルを上回ると言ってよかった。切削をSCカットに変えた水晶を採用したマスタークロックの精度と安定性は、これまでにないものだったと言える。デノン独自のALPHAプロセッシングは初となる32ビットタイプを採用してさらなる最適化を図り、より自然で原音に忠実な音質に結び付けていた。

このDCD-SXで培われた技術やノウハウを、引き継ぎつつさらに磨き上げ、さらに最新のデジタル・テクノロジーを導入することで実現したのが、2013年秋に登場した最新のフラグシップ機「DCD-SX1」なのである。

55万円という価格が信じがたい集大成的な仕様

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