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【特別企画】バッファローのNASを徹底検証

バッファローのDSD対応NAS「LS421D」はなぜ“オーディオ用”なのか!?

2013/12/16 野村ケンジ
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■“箱から出してすぐに使える”をNASとして実現した

また、オーディオ用である以上、買ってきたら箱から出してすぐに使えるということも重要だ。オーディオ用途としての基本的な設定は事前に最適化されており、ユーザーが設定を変更する必要はない。NASの設定はそれなりにパソコンのスキルが必要なのにも関わらず、更新時間を変更したりDLNA機能をオンにするなど、オーディオ用に使うために設定が必要なモデルが多かったことを考えると、こうした配慮は嬉しいかぎりだ。

さらに、「LS421D」はオーディオ用ネットワークプレーヤーがきちんと認識するかどうかを各個体ごとに視認した上で出荷を行っているというから驚きだ。また、RAIDやミラーリングもあらかじめ設定されているので、バックアップという点でも安心だ。荒木氏は「こうした配慮もNASというオーディオファンにわかりづらい製品の敷居を下げるために重要なこと」と述べてくれた。

買ってきて箱から出したらすぐに楽しめる。オーディオ機器として当然のことだからこそ、「LS421D」ではそれを実現させたのだという

■余裕ある高速 CPU、大容量メモリと制振対策の効果

使いやすさと安定性という点でオーディオ用途に必要は要素を満たしている「LS421D」だが、それでは音質という点では他のNASに比べてどのようなポテンシャルを持っているのだろうか。

実際に「LS421D」のサウンドを確認してみた。前述の「LS-WV/R1J」と比較しながら、DSD音源に加え、各種のハイレゾPCM音源やCDリッピング音源を再生した。ネットワーク再生機器には、DSDをネットワーク経由でネイティブ再生できるパイオニアの「SC-LX87」を用いた。

DSDのネットワーク再生(ネイティブ)に対応したパイオニア「SC-LX87」

試聴では音質に定評のあるバッファロー製のハブ「BSL-WS-G2108M」とルーター「WZR-1750DHP」、そしてLANケーブル「BSLS7NU」を用いた

「LS-WV/R1J」との比較を待たずして、オーディオ用機「LS421D」は音質的な優位性を感じることができた。S/N感、ダイナミックレンジともに優れており、特にダイナミックレンジに関しては、ネットワークプレーヤーをひとつ上級のモデルに変更したかのような、歴然とした差が現れてくる。

試聴にはアキュフェーズのセパレートアンプとエラックのフロア型スピーカー「FS249」を用いた

「今回のLS421Dはハード的にPC用のハイエンドモデル+αではありますが、メーカー向け試作機による店舗での試聴会の後で、量産基板にコンデンサーを追加するなど、ギリギリまで改善を続けました」とは荒木氏の言葉だ。このような改善の積み重ねが、音質の良さにも通じているのだろう。

また、最後に荒木氏は「ネットワーク再生時におけるNASの役割とは、正確なタイミングで正しいデータを安定して送り続けることにあります。こうした考え方を基準として、先日開催された『オーディオ・ホームシアター展 2013』で展示させていただいた電源ユニットや、ディスクドライブなども含めて、オーディオ再生に関連した様々な取り組みを続けていく予定です」とも語ってくれた。今後のバッファローのオーディオ関連機器の製品展開も非常に楽しみである。

野村ケンジ氏はネットワークオーディオにおける音質の変化要因について、荒木氏に様々な質問を投げていた

“NASは安定動作していればそれで充分”と考えていた筆者だが、この音を聴いたあとでは「LS421D」が、がぜん欲しくなる。ミラーリングなどによる安心感やDSD対応という将来性に加え、パソコンの知識がなくても手軽に利用できる使いやすさ、そしてオーディオ用途としての高い安定性を誇っているのだ。大いに魅力的な製品だと断言しよう。

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