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【特別企画】こだわりの「m」マーク搭載機にフラッグシップ登場

マクセルの“Wハイブリッド”イヤホン「MXH-DBA900」の魅力に迫る

2013/12/05 野村ケンジ
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■「見事なステージングと自然なサウンド」

さて、肝心のサウンドはいかがなものだろう。新品の状態では、やや大人しめの音色傾向だったため、100時間ほどエージングしてから再試聴したところ、自然な音色でありながら、活き活きとしたサウンドが聴けるようになった。


なかでも広がり感の良さと音のリアルさが秀逸。定位がしっかりしているうえ、左右、奥行きともにしっかりとした広がりをもつため、ホールなどに音が広がっていくさまが手に取るように感じられる。ヘッドホンならではの頭内定位があるためそのままイコールではないものの、まるで直近で良質な小型スピーカーを聴いているかのような、見事なステージングが広がってくれる。

これだけでも充分に価値があると思えるが、加えて音質的なリアルさもなかなかに魅力的。帯域バランスが絶妙なだけでなく、音色的なカラーレーションが抑えられているため、楽器を目の前で演奏してくれているかのようなリアルさが感じられる。

イヤーピースを外したところ

たとえばクラシックを聴くと、弦楽器はボーイングの音に加えボディの響きもしっかり感じられるし、打楽器は直接音だけでなくあたりの空気の震える様まで感じられる。いっぽうで、ジャズとの相性もなかなかによい。女性ヴォーカルは低域の倍音がしっかりと乗った印象度の高い歌声を聴かせてくれるし、豊満で響きの良い低域によって、ベースも心地よいリズムを聴かせてくれる。

打ち込み系の音楽もそつなくこなしてくれるが、真骨頂はやはりアコースティック系。特にホール演奏やライブなどは、得意とする空間表現が最大に発揮されるので、そういったコンテンツをメインに聴く人にとってはベストな選択肢となるはずだ。

さて、「MXH-DBA700」との音色的な違いが気になっている人も少なからずいることだろう。実際、両者のサウンドキャラクターはかなり異なっている。豊満な低域と自然な音色傾向の「MXH-DBA900」に対して、「MXH-DBA700」はキレの良さでリズミカルな演奏を聴かせるタイプ。ヴォーカルやメイン楽器の明瞭さについては「MXH-DBA700」も悪くはないが、いかんせん基礎体力の高さが異なっているというイメージで、「MXH-DBA900」の方が音色がとても自然だし、ダイレクト感も高い。そして何よりも、音の広がり感が圧倒的に異なっている。

音色に関しては好みの範疇なので、人によってどちらがベストかは異なってくるが、こと表現の豊かさ、音の自然さについては「MXH-DBA900」に大きなアドバンテージがあるのも事実。そう、なんと「MXH-DBA900」はハイブリッド構成であることを、BAドライバを使っていることを意識させないほど、ナチュラルなサウンドキャラクターを持ち合わせているのだ。

このように「MXH-DBA900」は、マクセルの音質に対する徹底追求ぶりによって結実した、フラッグシップという肩書きにふさわしい完成度の高い製品となっている。是非とも皆さんにも、このイヤホンがもたらしてくれる見事なステージングと自然なサウンドを、存分に楽しんで欲しい。

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