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30年にわたるディスクプレーヤーの歴史の集大成

【レビュー】デノンの新フラグシップSACDプレーヤー「DCD-SX1」を山之内正が聴く

公開日 2013/08/22 13:37 山之内 正
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心臓部のDACは、192kHz/32bitの電流出力タイプを新開発のI/V変換回路と組み合わせ、差動出力を実現するために各チャンネルに1個ずつ搭載。もちろん、DAC以降のアナログ回路は完全バランス構成を採用し、ノイズ低減に万全を期している。

DCD-SX1の背面端子部

電源部や筐体にも目を向けてみよう。振動対策の徹底はデノンのフラグシッププレーヤー共通のこだわりで、本機もその例外ではない。電源トランスはデジタル、アナログ用に独立させた2個のトランスを砂型鋳物ベース上に対抗配置し、漏洩磁束を相互に打ち消す工夫を凝らしている。そのほか、鋳物製フット、銅メッキシャーシ、銅プレートで振動モードをチューニングした3mm厚のトッププレートなど、きめ細かい音質対策は枚挙にいとまがない。

■ディスク再生の最高峰を手中にしたDCD-SX1

まずはディスクの再生音に注目しよう。リサ・バティアシュヴィリが独奏を弾くブラームスのヴァイオリン協奏曲から期待通りの重厚な響きを引き出し、オーケストラと独奏を柔らかいプレゼンスが包み込む。その密度の高い空気のなか、独奏ヴァイオリンは芯のある充実した音色を聴かせ、小さい音まで響きが痩せない良さがある。高音が硬くならず、必要以上にエッジを立てた音を出さないのはAdvanced AL32 プロセッシングの効果だろう。

CD登場から30年を経て、ディスクプレーヤーがどれほど高い頂に到達したのか、試聴を通して確認できたと言える

新開発されたドライブメカは本機のパフォーマンスの根幹といえる。その技術、物量の投入は驚くべきもの

ボーカルとベースのデュオはそれぞれの音像が鮮明な輪郭で定位し、どちらも音の純度が非常に高い。声がかすれたりベースのアタックが緩むことがないので、ボーカルの表情が生々しく伝わり、ベースが動きのあるリズムを刻む。本機の音は演奏に本来そなわる生き生きとした部分をありのままに伝えるところがある。

SACDはアンドルー・デイヴィス指揮ベルゲンフィルが演奏したベルリオーズ《ローマの謝肉祭》を聴いた。この曲の聴きどころの一つはコーラングレの美しい音色で、その柔らかい響きが弦楽器と溶け合う様子はこの録音でも独特の表情をたたえている。

高音が硬くならず、必要以上にエッジを立てた音を出さないのはAdvanced AL32 プロセッシングの効果だろう

本機が引き出すコーラングレの潤いのある音色としなやかな弦の響きは演奏の特徴を忠実に再現しており、オケの特色を見事に再現していると感じた。シャンドスレーベルならではの深い奥行き感など、空間再現の深さにも感心させられた。

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