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USBスティックタイプならでは手軽さが魅力

【レビュー】オーディオテクニカのUSBヘッドホンアンプ「AT-HA30USB」を試す

公開日 2013/08/20 12:13 レポート/山本 敦
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ポータビリティの高さを実感してみた

筆者はふだん仕事でMacBook Airを持ち歩くことが多い。とても軽いノートPCなので、なるべくそのポータビリティを損わずに、ハイレゾ再生を外出先でも楽しめる手段を兼ねてから模索していたが、「AT-HA30USB」のとの組み合わせはまさにベストマッチだと思う。USBバスパワー駆動に対応しているので、PCにヘッドホンと本機の3ピースだけ携えればよい、手軽が魅力的だ。


PC側での唯一の懸念材料は、特にUltrabookの類はポータビリティが高い反面、内蔵ストレージが小さいので、ファイルサイズの大きいハイレゾ音源の保存庫としては心許ないこと。このあたりは大容量のポータブルUSB-HDDやスティック型USBメモリーを併用しながらうまく乗り切りたいところだ。

今回は本機のテスト期間中に筆者の事務所を訪れたクリエイティブコーディネーターの友人、洪さんにも「AT-HA30USB」を体験してもらった。

洪さんはふだん音楽は電車での移動時間中などに、iPhoneを使って聴くことが多いという。愛用しているイヤホンはiPhone 5に付属している「EarPods」で、音声通話にも使えることが重宝しているそうだ。

オーディオテクニカのブランドは、音楽関係の仕事に携わっている洪さんの従兄弟がヘッドホンやイヤホンを使っているので、よく知っていたそうだが、「AT-HA30USB」のようなヘッドホンアンプがあることは今回初めて知ったという。ヘッドホンアンプの役割や、本機の使い方について簡単に説明を聞いてもらった後、さっそくハイレゾ再生を体験してもらった。


洪さんに聴いてもらった楽曲はノラ・ジョーンズ「Come Away with Me」から『Don't know why』と、ビル・エヴァンス「Waltz for Debby」から『Waltz for Debby (take2)』。同じ楽曲を96kHz/24bitのハイレゾ音源と、CDからALAC形式でリッピングした音源とで聴き比べた。

それぞれの楽曲について、洪さんの印象は「女性ボーカルの声がよりきめ細かくて、耳あたりが自然に馴染んで心地良かったです。ハイレゾの演奏の方が全体にいっそうの余裕が感じられました。ジャズの曲は楽器の位置が見えてきて、広がりや立体感がハッキリと感じられました。こうして聴き比べてしまうと、CDの方が不思議とのっぺりとした音のように聴こえました」とのこと。


今回試聴するまでハイレゾのことは全く知らなかったという洪さん。「最近ではCDを買うことが少なくなってしまったけれど、こうして手軽に良い音で聴ける環境があるなら、もう一度音楽を本格的に楽しみたい気持ちになった」ことが、最も印象深い体験だったという。


USBスティックタイプであることの使いやすさを実感

スマートフォンやタブレット、iPod、ウォークマンなどポータブルオーディオプレーヤーが普及したことで、音楽を手軽に聴ける環境は整った。一方でこうしたモバイル機器の多くがマルチアプリケーションや高速通信に対応していることから、音楽を聴くこと以外にも色んなエンターテインメントに使われることも多い。VODやゲームなど、魅力的なモバイルコンテンツが充実してくれば、音楽を中心に楽しむユーザーも徐々に少なくなってしまうだろう。ならばこれからのモバイルオーディオは、ハイレゾ再生をはじめより“良い音”で音楽が楽しめるクオリティアップの方向性を示しながら、その魅力をより強くアピールしていくことが必要になるだろう。

今回テストした「AT-HA30USB」は、ポータブルオーディオとしての手軽さと、ハイレゾ再生の魅力を両立させた点で魅力の高い製品であることが実感できた。ノートPCとお気に入りのヘッドホンさえあれば、USBポートに差してどこでもすぐにハイレゾ再生が楽しめる手軽さは、いまだ高価なハイレゾ対応ポータブルプレーヤーに対して、最大96/24対応ながら独自の大きな魅力であると言えるだろう。

USBスティックタイプのハイレゾ対応ヘッドホンアンプはまだ製品数も少ないが、今後ハイレゾ音源の普及が進めば、その手軽さが一般の音楽ファン層にも注目を浴びて、ハイレゾ・リスニングスタイルのひとつのメインストリームになる可能性も秘めていると思う。

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