JVCの4Kカメラ「JY-HMQ30」レビュー − レンズ交換がもたらす映像表現の幅

取材・執筆/会田 肇
2013年08月13日
かねてより登場が期待されていたレンズ交換式4Kビデオカメラ・JY-HMQ30がJVCよりついに登場した。JVCは昨年4K/60p撮影に対応したビデオカメラ・GY-HMQ10を発売して話題を呼んだが、ニコンFマウントを採用するこの機種の登場は、より映像表現に幅を持たせたいと願うユーザーにとって垂涎の一台になることは間違いないだろう。ただ、価格は驚きの170万円! 直販サイトであるビクターダイレクトでの限定販売とは言え、HMQ10の倍以上の価格にはちょっとビックリ。でも、その映像を見て納得。その価格差を超える美しい映像に目を見張ってしまったのだ。

ニコンFマウント用レンズ(14mm f/2.8D ED)を組み合わせたJY-HMQ30

本機は一見するとHMQ10をレンズ交換式にしただけと思われがちだが、実はそうではない。カメラとしては光学系が異なるまったくの別モノで、有効画素数829万画素、1.25型の大型CMOSセンサーを搭載している。加えて「重量級のレンズを取り付けても耐えられる構造も作り出すため、マウント付近の大幅な剛性アップも図っている(JVCケンウッド・大浦氏)」という。また、最近は絞り機構を搭載しないレンズが増えているため、機械式の絞りリングも合わせて搭載されるなど、この部分に限ればまるでHMQ10とは構造が異なっていると言ってイイだろう。

HMQ10ではAF/MFの切り替えだった部分は、フォーカスアシストのスイッチに変更されている

1.25型大型CMOSセンサーを搭載。HMQ10で採用された裏面照射型ではない

なかでも大型センサーの採用は、被写界深度を浅くする効果もあり、簡単にボケ効果が作り出せる。それだけにフォーカスがシビアになってくるが、本機には色分けしてフォーカスの山を見つけるマルチカラーの新型フォーカスアシスト機能を搭載。これによって、マニュアルフォーカスが前提の本機でも、想像以上に楽にフォーカス合わせが出来るようになっていた。ちなみにセンサーサイズはマイクロフォーサーズより少し小さめとなり、レンズ装着時の実際の焦点距離は2.3倍になる。記録部はHMQ10と基本的に変わりはないが、センサーサイズが大型化したことによる発熱が増え、記録部分には新たに冷却用スリットが設けられている。

フォーカスアシストでは青、赤、緑の3色でフォーカスの山が識別できるマルチカラー型となった

本体上部に新設された放熱用スリットはファンも内蔵。この真下にCMOSセンサーはある


記録を4枚のSDカードに行うのはHMQ10と同じ。4分割することでHDでのビットレートで対応した

モニターはHMQ10と共通の3.5型LCD、92万画素で、タッチパネル機能も搭載する
ニコンレンズを通して捉えた映像は鮮明そのもの。ワイド側に引いた映像でも細部が克明に映し出されている。焦点距離の関係であまり広い映像を捉えられないのが残念だが、逆に望遠側には有利となる。ボケの美しさも際立ち、それがつい撮影意欲につながってくるのだ。ただ、本体にあるズームキーは2倍デジタルズームとして使うのみで、ズーミングするとフォーカスもずれてくる。そのため、ズーミングしながらの撮影は基本的に不可。この辺りはズームレンズを自前で持っているHMQ10とは性格を異にする(詳細はhttp://www.phileweb.com/review/article/201205/09/493.htmlを参照)。

170万円という価格は明らかに一般向けではない。業務用としても、フォーマットすら統一されていない現状では少々手を出しにくいという事情もあるだろう。とはいえ、レンズ交換がもたらす映像表現の幅は、4K撮影での魅力をさらに高めることにもつながる。課題も多い中、勇気を持ってその第一歩を踏み出したJVCに賛辞を贈りたい。

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