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【特別企画】リビングシアターにも応用できる施工例が登場

“音のDAIKEN”のトータルソリューションに見る「音や映像が活きる部屋」構築のポイント

公開日 2013/06/14 12:04
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専用室は特別な存在ではない

12畳ほどの地下室の工事は2日間で終了。前述のように天井を「オトテン」に変え、「オトピタ」を壁に4枚設置することによって部屋の響きを改善した。「以前はAVアンプの音場補正機能を利用しても音がビンビン響き渡ってしまっていたのですが、それが抑えられました」と、中島さんもその効果を大きく実感できたと語る。

迷光対策としてスクリーン周辺にはブラックの壁紙を貼っている。それにあわせて、天井部も一部に黒いオトテンを導入した

ここで注目したいのが、工事が主に天井の張り替えのみで終了している点。もちろんケースバイケースではあるが、壁なども含めた大規模な工事でなくても部屋の響きが改善できるという点は、今回のような専用室だけでなく、リビングでシアターを楽しんでいるユーザーにとっても大変興味深いポイントといえる。

リノベーション前(左)とリノベーション後(右)の比較。天井を全面的に貼り替え、DAIKENの音響天井材オトテンを導入。全体の響きへの対策だけでなく、迷光対策のためにも部屋の前後で色を変えた

こうした点について大建工業の竹森氏は「専用室でのシアターであろうとリビングでのシアターであろうと『部屋』であることに変わりはありません」とコメント。「一般的に『響きのよい部屋の追求=専用室』と考えがちですが、それだけではありません。現にリビング等でシアターを楽しまれるケースがあるわけで、0か100(専用室)ではないと思います」と言葉を続ける。

同じくリノベーション前(左)とリノベーション後(右)の様子。壁面には調音のため性能の異なるオトピタ左右に貼り込む。貼る位置によって音が変わるので、いろいろと試したいみたいとのこと

リビングは家族と共有するスペースという性質上、専用室に比べると当然制約は多い。だが、まず天井を変えたり、今回のケースのようにさらに「オトピタ」のようなアイテムを利用するだけでも、専用室にはかなわないにしても、リビングでのシアターであっても対策は可能だ。また、新築時にゼロからは言うまでもないが、リフォームやリノベーションの際に音響対策を行えるということも改めて覚えておきたい。専用室を新築で作るだけが「音や映像が活きる部屋」構築の全てではないのだ。

重要なのは“ものさし”

そして、こうした部屋の音響対策を行う際に重要なのが“ものさし”だ。“いい音”とは好みによって千差万別であり、満足度の高い部屋を作り上げるには、自分の中でしっかりした“ものさし”を持っておく必要がある。

その“ものさし”を確立するために活用できるのが、これまでにも紹介しているように「いい音・いい部屋体感ツアー」。中島さんも「以前は音響について知識がありませんでしたから、AVアンプで調整しても正しいかどうかよく分からないというのが正直なところでした。いま思うと響きすぎていたんですね(笑)」と語り、ツアーへの参加が有意義なものであったとコメント。

「そういうこともあって、体感ツアーに参加したわけですが、実際に音の響きの善し悪しを体感することができてよかったですね。ツアーの中で、自分の手を叩いてオトテンの効果を確認するコーナーがありましたが、その体験が天井の貼り替えにつながっています」と続ける。

こうしてツアーへの参加をきっかけに“ものさし”を確立した中島さん。ひとまず完成したシアタールームに対しても、その後の響きの調整に余念がない。「(天井を変えてベースをしっかり整えたことで)一番気になっていた部屋全体の響きはだいぶ抑えられましたが、まだまだ調整はできると思います」と語る。

そして「いまは『オトピタ01』と『オトピタ02』をそれぞれ2枚ずつ壁に貼っているだけですが、貼る場所によっても音が大きく変わってくるので、もっといろいろやれるのかなと感じています」とコメント。「各種調音材を試してみようと思います」と続ける。“ものさし”をしっかり持てたからこそ、こうして次々と部屋の響きに対してアイディアを巡らすことができているのだろう。

壁面にはオトピタを使用。中島さんの好みの音、部屋の特性にあわせ異なる性能のオトピタを使用

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