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クアッドドライバーの実力を検証

【レビュー】Ultimate Earsの新フラグシップイヤホン「UE900」を聴く

2013/04/03 ファイル・ウェブ編集部:小澤貴信
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■イヤーチップによるフィット感と音質の変化を検証

イヤーチップによる装着感の違い、音の違いも確認した。ソフトイヤーチップはサイズが多いこともあり、フィット感は良好だ。COMPLY製イヤーチップは、低反発ポリウレタンのイヤーチップとしてはやや反発の圧力が少ないように感じるが、装着感は良い。

イヤーピースはソフトタイプを5サイズ、COMPLY低反発ウレタンタイプを3サイズ同梱する

ここまではソフトイヤーチップで試聴していたが、COMPLYチップに変更すると、ベースの傾向が明らかに変化する。ベースラインがより粘り強くなり、全体の音の厚みも増す。スネアの特徴的なアタックも、より実在感がある。音の一つ一つの密度が高まり、タイトになった印象だ。

一方で、音場の広がりはソフトイヤーチップが勝ると感じた。ベースは輪郭がややぼやけるが、本機を最初に試聴したときに感じた開放的な音場の魅力は、ソフトイヤーチップのときにより高まる。また、UE900ならではの質感も、ソフトイヤーチップの方が楽しめるだろう。

■同価格帯のライバルとなるシュア「SE535」と聴き比べる

最後に、同価格帯でライバルになるであろうシュアのSE535と聴き比べた。なお、イヤーピースは記者個人の好みと両機の持ち味を考慮して、UE900はソフトイヤーチップ、SE535は低反発ウレタン製チップを用いた。

「UE900」とシュア「SE535」を比較試聴を敢行した

まずは前述のハイレゾのノラ・ジョーンズ。UE900はこの音源の録音の良さを存分に引き出してくれる。ピアノやアコギのやわらかく自然な響きはやはり特筆すべき魅力。ベースはしっかりと沈みつつ、各帯域とのバランスもとれている。心地のよい音だ。

対してSE535は、解像感の高さとボーカルの抜けの良さで勝る。だがUE900に比べると、どこかカサついた印象。アタック音の切れや分離の良さでSE535に分があるが、音場の広がりや各楽器の立体的な音の重なりについては、UE900がより豊かな表現を手中にしている。良質なスピーカーで聴いたときのような感覚が楽しめるのは、UE900だと感じた。

次にニルヴァーナのハイレゾ音源で比較してみた。曲は「Litium」を選び、まずはUE900で試聴。出だしのコーラスギターは音色に艶があり、サビに突入する際のディトーションギターの爆発は量感で押し出す。ライドシンバルの響きも美しい。

イヤホンをSE535に代えると、ボーカルとギターの抜けがやはりよい。サビのディストーションギターの粒立ちも納得ものだ。いわゆるギターロックのイメージで聴かせてくれるのは中域の再現性に優れるSE535だが、UE900の方では、Aメロとサビの静と動のコントラストがより明確になる。

次ページ圧倒的な質感描写と音場再現

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