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音質をさらにブラッシュアップ

HRTのUSB-DAC「Music Streamer II+」をテスト ー 先行発売モデルと比較試聴

2011/12/16 レビュー/高橋 敦
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サエクコマースが取り扱うHRTは、米・南カリフォルニアに拠点を置く新鋭ブランド。その中核製品が、USB-DAC「Music Streamer」シリーズだ。今回は上位機「Music Streamer II+」を中心に、「Music Streamer II」との比較も交えて紹介していこう。


USB-DAC「Music Streamer II+」
まず大きな特徴は、ペンケースほどのコンパクトさと、USB入力とアナログ出力のみを用意したというシンプルな仕様。必然的に電源はUSBバスパワーだ。PCからのノイズの影響は、独自回路で電源を再生成することで回避している。一方で、限られたスペースの中にサンプリング周波数を示すLEDを用意してあるのは嬉しい。ユーザーは一目でそれを確認できる。USB伝送はアシンクロナス(非同期)方式。PC側ではなく本機側のクロックを基準に伝送を制御し、音質を損なうジッターを抑制する。


本体フロント側にUSB端子を搭載

背面側にオーディオ出力端子を備える
「Music Streamer II+」の優位は単純に音質だ。より高性能なDACチップを採用するとともに、専用回路を用いてさらにハイクオリティなDA変換を行う。


先行発売の「Music Streamer II」(写真左)との比較試聴も行った
まずジャズを聴くと、ウッドベースはゴツゴツとした感触と胴の空気感がバランス良く合わさり、自然な迫力を備えている。タムやバスドラムもアタックが速く収まりも素直で、キレが良い。高域の描き込みにも耳を奪われる。ピアノの右手の弱音は消え際まで美しい。シンバルには金属質のザラつきが適度に残され、手触りが生々しい。

ポップスのエレクトリックベースも、密度が高く骨太な強い芯を持つ、良質な音色だ。低域の制動はやはり確かで、スタッカートはスパッと決まる。女性ボーカルの柔らかなささくれも適度に活かして、声の表情、感触を強めている。まとめると、不要な肉付けがなく反応良好な低音と、質感を良く引き出す高音が持ち味だ。


本体の長辺の寸法はやや“II+”の方が長い

横幅、厚みのサイズは変わらない
Music Streamer IIも基本的な傾向はII+と共通しており、音作りの一貫性を感じさせる。その上で、比べると音色には少しの粗さがあり、スネアドラムやシンバルのエッジ、ボーカルの鋭さをやや強め、ポップスに含まれるロックの感触をより引き出す印象。

機能を絞り込んで純度を高めた成果であろう、両モデルともC/Pは素晴らしく高い。シンプルで高音質なUSB-DACを求める方にはぜひ注目してほしい。

【SPEC】●周波数特性(20Hz/20KHz):0dB/-0.4dB ●ノイズフロアー(DC->30kHz):4μV ●S/N比(DC->30kHz):115dB ●サンプリング周波数/量子化ビット数:96kHz/24bit ●外形寸法:142.5W×58.5H×22.3Dmm


【問い合わせ先】
サエクコマース
TEL/03-3588-8481

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