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『ブラック・スワン』の難シーンをプラズマ“Wooo”はどう再現したか

公開日 2011/11/30 16:18 大橋伸太郎
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■プラズマテレビに難しいシーンが多い本作


プラズマテレビ“Wooo” 「P50-XP07」
さてBD化された『ブラック・スワン』を日立のプラズマテレビP50-XP07で見てみようというのが本記事の主旨だ。しかし、筆者には一抹の不安が隠せなかった。

視聴に入る前に筆者仕事場のメインディスプレイである、日立Wooo P50-XP07についてプロフィールを紹介しておこう。黒表現と階調表現を高めたダイナミックブラックパネルを採用。ダイナミックコントラスト500万対1はプラズマ方式としても、液晶方式まで含めたすべてのテレビでも最高水準にある。

パネルのポテンシャルを引き出すべく、映像エンジンに新高画質回路“PictureMaster3"を搭載したこともトピック。「アドバンスドダイナミックコントラスト2」「3次元デジタルカラーマネージメント2」「アドバンスド3次元ノイズリダクション」の3本柱で構成される。

「アドバンスドダイナミックコントラスト2」は個々の映像(フレーム単位)でのヒストグラム(明るさの分布)の検出精度を従来の2倍に細密化、輝度信号と色信号をきめ細かくコントロールし自然な階調、特に暗部でなめらかなグラデーション表現を実現する。従来の3次元デジタルカラーマネージメントでは、明度、彩度による調整だったのに対し、"3次元デジタルカラーマネージメント2"では新たに特定4色(R,G,B,肌色)の色相補正機能を加えてコントロール、より緻密な色彩表現が可能になった。映像の色情報を常時分析し、プラズマ方式の利点を活かした微妙かつ豊かな色彩の変化を描き出す。

さて『ブラック・スワン』の視聴に臨み私が「一抹の不安」を覚えたというのは、本作が従来ならプラズマ方式が最も苦手とするタイプの映像であるからだ。プラズマ方式の場合、サブフィールド画像を何枚も足し算することで階調を作り出す。各サブフィールドでは画素ごとにON/OFFを行うが有限なビット数の中で階調を描くため、明るさの帳尻合わせのようなことを行う。これを誤差拡散法という。

この帳尻合わせが映像の暗部にモヤモヤしたノイズとして現れるのがディザノイズ(誤差拡散ノイズ)である。『ブラック・スワン』の前半は暗い都会の夜のシーンやバレエカンパニーの夜の稽古場のシーンが続く。こうした暗いシーンでプラズマテレビの場合、誤差拡散ノイズの妨害が避けられない。つまりプラズマテレビにとっては試金石のような映像である。

それと『ブラック・スワン』は全編フィルムグレイン(フィルムノイズ)が見られるが、これはデジタルカメラで撮影後、ポストプロダクションの後処理でデジタル的に足し込まれたことが粒子の大きさと質感から一目瞭然である。プラズマテレビの場合、こうしたノイズの粒子の表出についても先の誤差拡散法を使うため、ノイズ成分が暴れて粒子が大きくなったりザラザラした映像になりやすい。

というわけでいくつか不安を抱いてBDを再生したのだったが、それは杞憂であった。

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