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注目の“HDハイブリッドカメラ”が登場

瞬間のシャッターチャンスを撮り逃さないカメラ ー ビクター「GC-PX1」を徹底レビュー

公開日 2011/03/02 10:42 レビュー/川村容一
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ビクターから1080/60p動画と高精細静止画を1台で撮影可能な“HDハイブリッドカメラ”「GC-PX1」が発売された。注目を浴びる本機を今回カメラマンの川村容一氏が連続レポートする。1回目となる今回は本機が備える多彩な機能の紹介を中心に、川村氏による実機のハンドリングテストを報告しよう。

ビデオとスチル、カメラの「2台持ち」はもういらない


“HDハイブリッドカメラ”「GC-PX1」
春は何かとカメラが活躍するイベントが盛りだくさんだが、それぞれの記録はムービーも、スチルも高画質に残しておきたい。でも、1度きりのシャッターチャンスに、ムービーとカメラを構えて挑むのは難しい。ビクターの「GC-PX1」は、ムービーとスチルの撮影性能がハイレベルに融合したハイブリッドカメラだ。

撮影スタイルは操作ボタンの配置などデジタルスチルカメラの使い勝手をベースにしており、アルミの質感を活かしたシルバーの美しい外観も魅力だ。レンズ部を強調したダイナミックなデザインが特徴的である。ビクターのビデオカメラ“Everio”の開発によって誕生した技術が随所に活かされており、最新のハイスピードプロセッサー「FALCONBRID」は本機にも搭載されている。

動画と静止画、両方の高速信号処理をワンチップで実現したビクター独自の映像エンジン「FALCONBRID」を搭載する


瞬間のシャッターチャンスを確実、かつ高画質につかまえる

静止画も動画も瞬間を確実に捉えられるかが、カメラの基本性能を測るうえで重要な要素だと思う。本機の場合、動画の最高画質モード「UHR」では36Mbps・1080/60pのフルHD動画が撮影できるが、記録した動画から1920×1080画素の高精細な静止画を切りだすこともできる。切り出した画像はブレが少なく、写真として十分に高いクオリティが備わっている。動きの速い被写体など動画で撮影しておいて、後から動画を再生しながらベストショットを静止画で切り出すという使い方にも向いているだろう。

動画・静止画の記録は本体内蔵メモリー、またはSDカードに行える。内蔵メモリーは32GBと大容量なので、1,000万画素の静止画なら最大約8,600枚も記録できる。これは他のデジタルカメラにはないアドバンテージだ。

画質の要となるレンズは光学10倍ズーム対応で、逆光下での撮影でもコントラストが高く、画面周辺もシャープに撮れる。1,062万画素の高感度B.S.I.(裏面照射型)CMOSセンサーを搭載しているので、暗い場所でもクリアに写すことできる。


光学10倍ズーム対応のコニカミノルタHDレンズを搭載
瞬間を「切り撮る・逃がさない・まるごと記録する」という使い勝手を初めて実現したカメラだと感じた。動画では、本体内蔵32GBのメモリーに300コマ/秒というハイスピード撮影が連続2時間も撮れるので、動きの速いシーンでも決定的瞬間を逃がさず記録できる。高速連写の機能については、静止画モードでは約1,000万画素で約30枚/秒(1回の撮影で最大103枚)、動画モードでは約570万画素で最高60枚/秒(1回の撮影で最大144枚)の高速連写が可能だ。いままで捉えることのできなかったイメージが、本機は「FALCONBRID」の力により容易に撮影できるのだ。


ハイスピード撮影ボタン(左)と連写ボタン(右)を本体トップに配置
基本的な動画撮影のクオリティは、GZ-HM990をはじめとした2011年の“Everio”最新モデル譲りである。誇張感のない自然な色調で、白から黒までの豊富なグラデーションが得られる。AFはスムーズに合焦し、AEも周囲の明るさの変化をスマートに追随している。手ぶれ補正は光学式アクティブモードも搭載しているので、ゆったりとしたブレにも対応してくれる。歩きながらの動画撮影でも安定感が非常に高かった。

3インチの背面液晶モニターはタッチパネル対応。レンズズームはタッチ操作でも行える

モニターは180度チルト対応


ホールド感の高い本体グリップ

グリップ部を開けると中にはバッテリーが収納されている


レンズ部トップにビデオライトが取り付けられるジョイントを設けている

視認性の高いバッテリー残量モニター

安定感の高いハンドリング/想像力を刺激する多彩な撮影機能

ハンドリングの感触はビデオカメラではなく、むしろデジタルカメラに近い。3型のタッチ液晶モニターは上方に180度スイングするので、ローアングルの撮影でも構図の確認が容易だ。グリップが大きいので安定して構えることができるのも好ましい。フォーカスと露出補正が、レンズ鏡筒にあるスイッチとダイヤルで直観的に操作できる使い心地が良い。録画ボタンは独立して本体の背面にあるので、静止画撮影と間違うことはない。もちろん撮影中のズーミングも速度可変でスムーズにおこなえる。各種設定は液晶画面で行うが、GUIはわかりやすくシンプル。タッチ操作もレスポンスがよく快適であった。


円筒状のレンズ部側面に、本体電源、動画/静止画切り替え、モードチェンジダイアルなどボタン類を配置している

ボディ側面にHDMI端子などを装備する
撮影モードを「インテリジェントオート」にしておけば、さまざまなシーンがカメラまかせできれいに撮れるので、被写体に集中して撮影できる。顔認識機能はEverioで好評のスマイルメーターやスマイルショットもあり、撮りたい人物を捉えるために、タッチ追尾や顔追尾、色追尾など便利な機能もフル装備している。

高速連写時はシャッターボタンを半押ししていれば、レリーズ直前の0.5秒間を含めた“遡り記録”ができる。これで決定的瞬間が写っている確率がより高まることになる。タイムラプス撮影もできるので、雲の動きの変化や、花の開花など、ゆったりと変化していく被写体を追いかけた映像を短い時間で再生すると、いままでみたことの無かった映像が楽しめる。また300fpsで最長2時間のハイスピード撮影ができる機能も搭載している。

GC-PX1は子供の運動会や友人とのイベントといった従来ビデオカメラが活躍したシーンだけでなく、スポーツや動物などの動きの速い被写体を高画質に、かつ手軽に撮影したいという用途にもベストなカメラである。どのような被写体に出会っても、すぐ撮影に臨むことができ、しかも安定して高画質な動画・静止画が撮ることができるだろう。

今回はカメラのハンドリング、機能紹介を中心にお伝えした。次回は本機で撮影した動画・静止画のクオリティを中心にレポートしたい。

<第2回レポートはこちら

【SPEC】●撮像素子:1/2.3型 1062万画素 裏面照射型CMOSセンサー ●レンズ:F2.8〜F4.5/ f=6.7〜67.0mm ●ズーム:動画撮影時 光学10倍、ダイナミックズーム 15/16倍 デジタルズーム 64倍、静止画撮影時 光学10倍 ●最低照度:4ルクス(シャッタースピード:1/30) ●液晶画面:3型ワイド、23万画素タッチパネル ●静止画記録方式:JPEG ●動画記録方式:MPEG-4 AVC/H.264 ●記録メディア:内蔵メモリー 32GB、SDXC/SDHC/SDメモリーカード、Eye-Fi ●消費電力:4.2W ●外形寸法:131W×67H×122Dmm ●質量:約515g(撮影時) ●問い合わせ先:日本ビクター(株)お客様ご相談センター TEL/0120-2828-17

◆プロフィール 川村容一
写真家。広告代理店写真部、編集プロダクション写真部を経て独立。デジタルカメラでの取材ものから大判フィルムを使った商品撮影が主な仕事。モノクロの処理は自宅暗室で行っている。JPS展実行委員会など事業の運営に参加する。写真添削講座講師も務める。25年以上経験の現場のプロ。社団法人日本写真家協会会員。

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