新CMOSセンサー「Exmor R」搭載

“一眼画質”は伊達じゃない − ソニー新“Cyber-shot”「DSC-WX1」驚異の実力

Phile-web編集部・風間雄介

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2009年10月28日
デジカメを買い替えようと思い、新製品の情報を調べ始めた。室内撮影の画質に不満があったからだ。

自宅は日当たりが良くない上に、照明はすべて白熱灯を使っている。かなり暗いので、高感度域でノイズが盛大に発生するカメラでは、フラッシュを焚かないとまともに撮影ができない。フラッシュを焚くと今度は、顔はビカビカに光っているのに背景が暗いという残念な結果になることが多い。親バカと言われるかもしれないが、特に子供の顔を撮ったときなど、「全然見た目通りに撮れてない!」と嘆くことも多かった。

自然な写真を撮りたいのであれば、フラッシュはなるべく使わずにすませたいが、つい最近まで、デジタル一眼など大きめの撮像素子を備えたカメラでなければ無理だろうと諦めていた。最近のデジタル一眼は撮像素子の改善が著しく、ISO感度を上げてもノイズがあまり目立たない。これは編集部の備品を自宅に持ち帰って試した際にも実感できたことで、手持ち/フラッシュ発光禁止でも、かなり見た目に近い写真を撮ることができた。

これはデジタル一眼を買うしかないかな…と考えていたところ、妻から物言いがついた。「あまり大きいカメラは持ちたくない」と言うのだ。子供と一緒に出かけると“どうしても必要なもの”でバッグが膨れあがる。ただでさえ重くてかさばるのに、これ以上大きいモノを持ち歩くのは勘弁、という気持ちは理解できる。

だったら、マイクロフォーサーズ+パンケーキレンズという組み合わせはどうだろう。これなら、ふつうのデジタル一眼レフカメラと比べればかなり小さい。画質もこれまでのカメラとは比較にならないほど良いはずだ。レンズを交換しなければ光学ズームが利用できないこと、価格がやや高めなことに目をつむれば、この選択肢はいまでも“アリ”だと思っている。

では、コンパクトデジカメに良い選択肢はないのだろうか。いくら感度が高くなったといっても、サイズの制約があるコンデジのセンサーでは、一眼並みの低照度画質を実現することは難しいはず…、そう考えていたのだが、今回、ソニー“Cyber-shot”「DSC-WX1」を使ってみて、その認識が誤りだったことがわかった。

●話題のCMOSセンサー“Exmor R”を搭載

DSC-WX1は、ソニーが9月に発売したばかりの新モデル。最大の特徴は、撮像素子に裏面照射型構造のCMOSセンサー“Exmor R”を搭載したことだ。

DSC-WX1

レンズを収納したところ

Exmor Rは、受光部と配線層を反転させることで、感度を従来比の2倍に高めている。最初に同社のビデオカメラ『HDR-XR500V』『HDR-XR520V』に搭載したところ、その低照度での画質の高さが大きな話題となった。この話題のセンサーが、今回初めてデジカメに搭載されたのだ。有効画素数についても約1,020万なので、よほど大きく引き伸ばすのでなければ十分すぎるくらいだ。

画質処理エンジンには「BIONZ」を搭載。後で述べるように、本機の画質には、本エンジンの高速処理も大きく貢献している。

レンズはソニーオリジナルの「Gレンズ」。ワイド端でF2.4という明るいレンズで、光学5倍ズームも備え、35ミリ換算で24mmと広い画角も実現している。もちろん光学式手ブレ補正も備えている。

外観を眺めてみよう。全体のデザインはごくオーソドックスな印象で、凹凸が少なくシンプル。高級感の演出には気を配ったと見え、レンズがある前面は表面処理が凝っており、Gレンズの「G」マークが大きめに配置されているのも、モノ好きの所有欲をそそる。

背面のディスプレイは2.7型と、最近のモデルとしては大型とは言えず、解像度も約23万ドットと標準的。このあたりは全体のサイズやコストとのバランスの中で、あえて力を入れるところではないと判断したのだろう。個人的には、液晶ディスプレイのさらなる大型化や高解像度化、高画質化がさほど重要とは思えない。むしろ最近のモデルは液晶ディスプレイが綺麗すぎて、いざ取り込んでみたらガッカリ、というケースも珍しくない。本機はディスプレイの明るさを「標準」「明るい」の2段階で変えられるが、PCのディスプレイやプリンターとの画質マッチングを図るため、明るさや色味をもっと細かく調整できたら、なお良かったと思う。

液晶画面は2.7型、約23万ドット

ディスプレイの横にはモードダイヤルやカーソルなどの各種ボタンが並ぶ。この配置が、図らずもこれまで使っていたCOOLPIX S500とほぼ同じだったため、初めからまったく違和感なく操作が行えた。上部には電源ボタンやシャッターボタンを配置。シャッターボタンの横には連写ボタンを独立して備えており、使いやすさに気を配っている。ボタンの押下感はあまり深くなく、やや安っぽい印象だ。

上部右には独立した連写ボタンを備える

光学5倍ズームモデルながら奥行きも短く抑えられている

手に持ってみると適度な重量感があり、その点は好ましいのだが、真四角のボディなのでグリップはしづらく、あまり手に馴染むという感覚はない。このあたりは慣れの問題かもしれないが、もう少し大きくなっても良いので、しっかりとしたグリップ部を備えたモデルもラインナップに加えてほしいものだ。

●暗い室内でもブレずに綺麗な写真が撮れる

さて、いよいよ撮影だ。まずは「おまかせオート」で、無造作に室内を撮影してみる。すると、あまりの室内の暗さにカメラが夜景と勘違いしたのか、「おまかせシーン認識」が働き、自動的に2枚撮りが行われた。1枚はオートで撮った画像、もう1枚はシーン認識による設定を加えた画像だ。あとから見比べて印象の良い方を選べるのは心強い。この自動2枚撮りは、被写体の動きが速い場合などにも行われる。

驚かされたのはその画質。見た目よりも明るく映るのだ。しかも、拡大してもほとんどノイズが気にならない。最新のデジタル一眼カメラでも同じシチュエーションで撮ったことがあるが、それに勝るとも劣らない画質を実現している。

続いて家の外に出て、夜景(というにはあまりに貧弱だが)を撮ってみた。ここでも2枚撮りが働いた。オート撮影のものは見た目に近く、もう1枚の感度を上げたものではかなり明るく映る。なお、本機はBIONZの高速処理機能を利用した「手持ち夜景モード」も備えている。高速連写した6枚の画像を重ね合わせて1枚の画像を生成するもので、暗所撮影時に発生するノイズを約1/2に低減することが可能。連写は電子式シャッターではなくメカニカルシャッター方式なので、シャッターを押し下げると、パタタタタ…とかすかな、小気味よいシャッター音が聞こえてくる。

実際の写真を見てみると、ここでもその画質の高さに唸らされた。撮影したのは深夜なので、肉眼で見たらほとんど真っ暗なのだが、感度を自動的に上げて撮った写真は実に鮮明で、暗部の階調もしっかりと描き出している。まるで日が沈む直前のような雰囲気だ。ノイズについても先ほどの室内写真と同様によく抑え込まれており、気になるレベルではない。

通常のオートモードで撮影した画像(サーバ負荷の都合上、SVGAにリサイズしてあります。以下同)

おまかせシーン認識が働き感度を上げた画像

「人物ブレ軽減モード」の驚くべき威力とは

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