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“オール新潟”の実力やいかに − Formyselfのアンプ/スピーカーを試す

公開日 2009/03/04 12:06 Phile-web編集部・風間雄介
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次に本機をMacに接続し、USB端子からデジタル出力した音を聴いてみる。この場合は、C-Media製のデジタルアンプで増幅が行われる。音が出た瞬間、先ほどの印象が一変した。低域のパワー感は物足りず、これはアナログアンプと同様だが、中高域のヌケが格段に良くなり、解像感も向上する。特にボーカルの表現力は高い水準にある。同社にこのことを伝えたら「スピーカーに吸音材を使っていないので、中域から高域までをダイレクトに再現できる」と説明してくれた。ただし、しばらく聴き込んでいくと、高域が逆に出過ぎ、耳障りに感じる部分もあった。このあたりは、ふだん試聴するソースのジャンルによって好みが分かれるところだろう。

スピーカー端子は金メッキで、バナナプラグにも対応する

個人的には、アナログアンプを取り払い、デジタルアンプだけを搭載した機種の登場を期待したい。PC用オーディオシステムと割り切ればそれで十分だし、コストも大幅に下げることができるだろう。

なお同社では、本機をニアフィールド用システムとして訴求している。今回は本機から1〜2mほど離れたところで試聴を行ったのだが、定位が良すぎるのか、スイートスポットがかなり狭い点は気になった。スポットにハマればビシッと定位が決まって心地よいが、頭を少し動かすと適切な音像が得られなくなる。“音楽と対峙する”ような聴き方ならこれでも良いが、ニアフィールドリスニングは、パソコンで仕事をするなど、何か作業をしながら、というシチュエーションも多いはず。もう少しスイートスポットを広げれば、安心してゆったりと音楽を楽しめる製品になるはずだ。

スイートスポットは狭めだ

■作り手の思想に共鳴できるか

ブランド名が「Formyself」というだけあり、今回試聴したアンプとスピーカーは、かなり個性的な製品だった。万人に勧められる製品ではないが、その個性は、作り手の思想が音に直接反映した結果、と言うこともできる。

スピーカーとアンプをセットで購入した場合、価格は約5万円。USB端子を搭載したオーディオアンプは少ないので直接比較はしづらいが、この金額を出せば、有名ブランドのプリメインアンプとスピーカーも購入できる。USB-DACを加えても、低価格のものなら予算内に収まるかもしれない。当たり障りのない「良い音」を求めているのならこちらを選ぶべきだ。

Formyself製品に対する評価は、このブランドの思想、音作りに共鳴できるかどうか、またハンドメイドの国産品である点をどこまで考慮するかで、大きく変わってくるだろう。

アンプのデザインや仕上げのクオリティはハイレベルだし、音については、特にUSB入力での、中域から高域の解像感の高さは特筆できる。何より、一地方都市のショップが、様々なメーカーの協力を受けながら自身の理想を追求し、実際に製品を作り上げたその情熱には敬意を表したい。同社では今後も製品の開発を継続するとのこと。ぜひ今後もパンチの効いた製品を世に送り出して欲しい。

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