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「JVCケンウッドストア」でも今年発売を予定

JVCケンウッド、日産自動車、フォーアールエナジー共同開発のポータブル電源を9/1より正式発売

公開日 2023/08/31 14:30 編集部 : 伴 修二郎
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JVCケンウッド、日産自動車、フォーアールエナジーは、3社で共同開発した電気自動車「日産リーフ」の再生バッテリーを利用したポータブル電源「ポータブルバッテリー from LEAF」を、9月1日より日産自動車の全国販売店にて発売する。価格は170,500円(税込)。なお、JVCケンウッドでも本年中に公式オンラインストア「JVCケンウッドストア」を皮切りに発売を予定している。

「ポータブルバッテリー from LEAF」

JVCケンウッド、日産自動車、フォーアールエナジーの3社は、昨年4月に電気自動車「日産リーフ」の再生バッテリーを利用したポータブル電源の共同開発を発表。併せて、試作品およびバッテリーモジュールを公開していたが、この度正式発売が決定した。

本製品は、これまでにグローバルで累計65万台以上を販売する電気自動車「日産リーフ」で使用されていたバッテリーを再利用して開発。リーフの車載バッテリーは使用後でも高い残存性能と安全を備えており、再利用においても安心して使用できる仕様だとしており、中古バッテリーを再利用することで製造時のCO2発生を抑制し、持続可能な脱炭素社会の実現に貢献するとアピールしている。

「日産リーフ」で使用されていたバッテリーを再利用して開発

主な特徴として、暑さや寒さに強いため、-20℃〜60℃の環境下において車内での使用や保管が可能。自己放電が少なく長期保管でき、災害時等の非常時用電源としても活用できるほか、約2,000回の繰り返し充電が可能なため長期間にわたり使用できる。

今回の共同開発・販売にあたり、日産は製品の企画立案と、自動車開発で培った車載環境での使用を実現するためのノウハウを提供。JVCケンウッドは、カーナビゲーションやドライブレコーダーなどの車載機器やポータブル電源の開発で培った技術と知見を活かし、安全性に加えて、使用済みバッテリーの再利用に最適化した設計のもと、製品化を実現し、生産を行う。フォーアールエナジーは、リーフのバッテリーを二次利用するための開発を行い、ポータブル電源に最適化されたバッテリーの供給を行っている。

主な仕様は、AC100Vを2口、USB Type-C端子を2口(5V DC 3A、5V/9V/15V/20V/ DC 3A)、Type-A端子(5V DC 1.5A)を2口、DC12Vシガーソケット端子を装備。充電池タイプはリチウムイオン充電池(マンガン系)、充電池容量は633Wh。入力は12〜25V DC 100W。充電時間はACアダプター使用時で約9.5時間、シガーアダプター使用時で約14時間。外形寸法は370W×205H×282Dmm、本体質量は14.4kg。

前面部のイメージ

■開発3社合同によるメディア向け発表会を開催



本日、日産自動車グローバル本社にて、「ポータブルバッテリー from LEAF」発売に関してのメディア向け発表会が開催された。まず冒頭に、日産自動車 コンバージョン&アクセサリー企画部 部長の若林 哲氏が登壇し、本製品の開発に至った背景や昨今のポータブル電源市場についてのプレゼンテーションが行われた。

日産自動車 コンバージョン&アクセサリー企画部 部長の若林 哲氏

日産自動車は、かねてから世界に先駆けて電気自動車の開発に注力しており、2010年に世界初の量産型の電気自動車として「日産リーフ」を発売。若林氏は「発売から十数年が経過して初代リーフは車としての生涯を終えようとしているなか、車の心臓部であるバッテリーの性能はまだまだ担保している」として、「このバッテリーを何らかの形で再利用できないかと検討を重ねた結果、その1つの提案が今回のポータブル電源」だと述べる。

再生バッテリーを利用したポータブル電源である点を強調

自動車以外の業界においては、近年災害時やアウトドア、スマートフォンの充電の手段としてポータブル電源の需要が高まっているとして、「ポータブル電源の世界需要は2020年ですでに約100億米ドルに到達。さらに今後も10%以上の成長が見込まれ、2030年には約270億米ドルにまで達するとされるなど大変有望な市場」と、今後のさらなる市場拡大をアピールした。

ポータブル電源市場の拡大見込みをアピール

今回発表したポータブル電源については、「電気自動車由来であるという安心安全が一番の強みである」と説明。車載が可能なことでレジャーからビジネスまで様々シーンで活用できる点や、自己放電が少ないことで長期保存が行えるなど、非常用バッテリーとしても活用できる点を紹介。

「アウトドアユースを目的としたポータブル電源が多いなか、本製品では車載仕様であることで激しい温度の環境への対応や、長期間の保存によって防災倉庫に備蓄もできる」と強調し、ターゲット層は一般ユーザーだけでなく、自治体や企業に対しても車載できるバッテリーとして展開していきたいと展望を述べた。

続いて、JVCケンウッド 専務執行役員の野村昌雄氏が登壇し、同社視点でのポータブル電源開発の詳細や工程について解説が行われた。

JVCケンウッド 専務執行役員の野村昌雄氏

「JVCケンウッドはこれまで、一般的なコンシューマ向けのポータブルバッテリーを、過去累積で約10万台ほど出荷してきた」「このような実績や製品を販売・生産してきた経験や知見を評価いただき、今回日産自動車の方から本製品の開発についてお声がけいただいた」と、共同開発に至った経緯について語る。

JVCケンウッドとしても、今回のようなリサイクル用のバッテリーの開発は初めての取り組みだったとして、「このプロジェクトを成功させることで、サステナブルな世界への貢献も行えるということから、ぜひとも本プロジェクトの開発に参加させていただきたいと考えた」と力を込めた。

開発にあたり重要視したポイントについて、「今回のポータブル電源のバッテリーは、車載対応の仕様となったのが大きなポイント。リーフ専用バッテリーの特徴である優れた温度特性などバッテリー性能に合わせた設計を、弊社のほうで取り組ませていただいた」と語る。

また、素材には取り扱いが難しいリチウムイオンを使用しているため、内部構造や回路においてバッテリーの重大な問題が発生することがないよう、安全第一な仕様を心がけて設計したとする。

さらに、本製品は全て「Made in JAPAN」である点もアピール。バッテリーは日本国内のフォーアールエナジーから提供され、開発はJVCケンウッドの長岡工場にて全工程を行っている。

JVCケンウッドの長岡工場にて開発

デザイン面では、JVCケンウッドの子会社である「JVCケンウッド・デザイン」にて、イチからデザインコンセプトを設計。安心安全な仕様を考慮して、今回バッテリーは本体底の部分に配置した。これにより、安定性を重視した低重心と堅牢性を担保するデザインを実現したという。

ほか、持ち運びやすさや車載への積み下ろしやすさ、誤操作の防止などユーザービリティに配慮。車からの出し入れを想定し、耐久性のある傷が付きにくい表面処理も施している。ほかにも、縦横どちらの方向でも乗せられる設計や、収納式のハンドル装備など、利便性を追求した点もアピールした。

収納式のハンドルなど利便性も追求

続いて、フォーアールエナジー 社長の堀江 裕氏が登壇。本製品で採用された日産リーフ再生バッテリーの詳細や、その供給面についてのプレゼンテーションが行われた。

フォーアールエナジー 社長の堀江 裕氏

日産リーフのバッテリー・パックは従来、電気自動車の座席の下、フロント・シートからリア・シートのあたりにレイアウトされているもの。このバッテリー・パックには、バッテリーを構成する「バッテリー・モジュール」が48個内蔵されており、今回のポータブル電源ではこのモジュールが1台につき2つ搭載されている。

バッテリーパックには48個のバッテリーモジュールが内蔵

日産リーフのバッテリーを再利用したポイントを3つ挙げ、その1つめとして「電池再利用の価値」について言及。電池製造時のCO2の発生を抑制することで、「持続可能な低炭素社会への実現に貢献したい」と意気込む。

2つめには、今回の再生バッテリー自体の性能として、車載電池による暑さや寒さなど温度に対する耐久性や、繰り返し充電にも強い点を挙げる。加えて、同社はバッテリー回収時の性能を全数測定しているため、劣化性能についても確認済である点を強調した。

3つめには、本来再生バッテリーが備える安全性や信頼性、耐久性の高さをアピール。さらに、世界初となるバッテリーリユースに関する国際認証「UL1974」を取得している整備工場を利用することで、安全な再利用プロセスが保証されているという。

バッテリー供給の流れについても解説。まず全国の日産自動車販売店、および自動車廃車処理業者からバッテリーを回収し、工場内スペースで保管。充放電装置を使用してバッテリーごとに性能測定を行い、劣化状態を把握した後に分解する。

バッテリー供給の流れ(一部)

分解したモジュールは検品後、種類や状態ごとにラベリングされた後に専用保管棚で管理。出荷検査規格を満たしたモジュールを選定・検品した後に輸送専用BOXに格納され、適宜出荷される流れとなっている。

最後に堀江氏は、「同社としてはこれまで様々な商品を販売してきた知見を活かし、初めて量産型のB to C商品の開発に取り組むことができた」と力を込めた。

そのほか発表会会場では、「ポータブルバッテリー from LEAF」の実機や、搭載されるバッテリー・モジュールのデモ機を展示。ハイパワーモードを使用して、高出力家電を駆動させるデモ展示なども行われていた。

デモ機を使用して家電製品を駆動させるデモ展示も

ハイパワーモードではAC×2の合計900Wで駆動

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