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事業者が抱える課題を解決

大手三社が連携、キャッシュレス決済にワンストップ対応する次世代プラットフォーム「stera」発表

2019/10/02 PHILE WEB ビジネス編集部・竹内純
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■次世代決済プラットフォームの舵を取る

三井住友カードは、GMOペイメントゲートウェイ(GMO-PG)、ビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)と共同で、本年2月より進めてきた事業者向け次世代決済プラットフォームの企画・開発の内容が具現化。「stera」の名称で本格的な営業をスタートすると発表した。

左より、GMOペイメントゲートウェイ(株)代表取締役社長・相浦一成氏、三井住友カード(株)代表取締役社長・大西幸彦氏、ビザ・ワールドワイド・ジャパン(株)取締役営業本部長・外山正志氏

キャッシュレス決済がより身近になる一方、現在のキャッシュレス決済システムには、「決済手段ごとにインフラが異なるため、レジ周りには多くの端末が並び、操作もそれぞれ覚えなければならない」「リアル店舗とネット店舗の決済データが統合できない」「決済システムにより運営事業者が異なるため安全性が不安」「高機能の端末なのに決済以外の機能が増やせない」などの課題が指摘されていた。

発表された事業者向け次世代決済プラットフォーム「stera」は、店舗の決済端末やECサイトから、決済データを処理する決済センター、各事業者に届けるネットワークまで、キャッシュレス決済において事業者が必要とする機能を一気通貫でカバー。これら直面する課題を解消する。

steraは端末からセンター、ネットワークまでの総合決済プラットフォームとなる

三井住友カード・大西幸彦社長は、消費増税に伴いキャッシュレス化の動きが一段と加速するが、「決済手段は非常に多様で複雑なのが実情。ストレスなくご利用いただく環境を整え、安全で低コストの仕組みを提供していかなければならない」と訴えた。サービス名称「stera」は、Steer(舵を取る)+era(時代)を組み合わせた造語で、次世代の舵を取る思いが込められている。

steraの主な特長は4つ。1つ目は「さまざまな決済へのワンストップ対応」。三井住友カードとGMO-PGが決済センター機能を共同で構築し、クレジットカード、電子マネー、QRコード等のあらゆる決済手段に対応する。さらに、日本ではこれまで、リアル決済とネット決済とで運営事業者が分かれ、別システムとして扱われていたが、steraでは両者の決済センター機能を一体で運営。これにより、リアルとネットの双方で店舗を運営する事業者には、オムニチャネルに対応したソリューションの提供が可能となる。

多様化する決済手段に対応するため、店舗向けには一台でクレジットカード、電子マネー、QRコード等に対応するオールインワンの新端末「stera terminal」、ネット店舗向けにはマルチ決済システムを提供する。「パナソニック製の新しい端末は、恐らく業界で初めて、デザイン・企画段階から開発に携わった。シンプルなオペレーション、付属品や接続コードも不要、アプリベースで機能も追加できる」と“日本初のスマートターミナル”をアピールした。

1台ですべての決済手段に対応するデュアルスクリーンの「stera terminal」。店舗様側には、7インチのタッチスクリーンを搭載。下部にはオートカッター付きプリンターを装備

「stera terminal」の利用者側には、カメラ、4インチタッチスクリーン、非接触決済アンテナ、ICカードリーダー、デュアルヘッド磁気リーダーを備える。多言語表示や電子サイン、PIN入力にも対応する

2つ目は「オムニチャネル化への対応」。これまで分断されていたリアル店舗とネット店舗の決済データを統合することで、1つのダッシュボードで統合されたデータの閲覧、ダウンロードが可能となる。売上金管理等の事務作業を一本化、決済事業者各社からの送付明細との個別突合せ作業が不要となるなど業務効率を飛躍的に改善。また、マーケティングにおいても、リアルとECを統合した顧客購買活動のより高度な分析が可能となる。

3つ目は「世界水準のセキュリティと安定運営」。全世界200以上の国と地域に毎秒6万5,000件超の取引を安定処理するVisaのグローバルネットワークを活用。さらに、年間680億件超以上のビックデータから導き出されるVisaの不正検知ロジックと三井住友カードが50年以上培ってきたセキュリティのノウハウにより、日本特有の複雑な決済マーケットに対応した、世界水準のセキュリティを提供する。

4つ目は「新しい高付加価値サービスの提供」。新端末「stera terminal」はAndroid OSを採用する。そのため、決済機能のみならず、さまざまな業務や顧客サービスを、アプリケーションをダウンロードすることで実現できる。端末上で利用できるアプリを取り揃えたアプリマーケットプレイス「stera market」を開設。新端末でPOSレジ機能まで担うことができる「POSアプリ」、免税申請の電子化に対応する「免税アプリ」などが予定され、今後、ラインナップを順次拡大していく。

複雑な決済システムによる非効率を解消する事業者向け次世代決済プラットフォーム「stera」。GMO-PG・相浦一成社長は「日本のキャッシュレス決済は、セキュリティのレベルも低く、大変遅れている。リプレイス需要が大きな追い風になる」と指摘する。「キャッシュレス比率がこれからどんどん上がってくる。5年間で30万台の新規設置を計画している」と目標を掲げた大西社長。「過当競争の中、付加価値を創造することで、ビジネスの収益性を上げていかなければならない。steraがインフラとして機能できれば、さらに色々なビジネスへ波及していく」と今後の展開へ意気込みを示した。

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