HOME > ニュース > あの“ラスカル”がASMRコラボ、なぜ? その理由とガチのこだわりを聞いた

「ZOWA」で無料公開

あの“ラスカル”がASMRコラボ、なぜ? その理由とガチのこだわりを聞いた

公開日 2020/08/26 16:09 編集部:押野 由宇
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
日本アニメーションのアニメ『あらいぐまラスカル』のキャラクター、「ラスカル」のASMR動画が公開された。

ラスカルとASMRのコラボが実現 © NIPPON ANIMATION CO., LTD.

何を言ってるのかわからねーと思うが、それはそうだろう。ラスカルとASMRのコラボは意外すぎる。ラスカルといえば、日本国内にアライグマのかわいらしいイメージをひろめた超有名アニメのキャラクターだ。そのASMR動画となると、スターリング少年となって自分の周りを駆け回るラスカルと戯れる動画だろうか?

違う。ASMR好きのための動画サービス『ZOWA』で公開されたラスカルASMR動画は、環境音と炭酸水というASMRとして人気の音を題材にした2本だ。ラスカルのたてる音などではなく、ラスカルの耳にするASMR音を視聴者も聞く、というイメージになっている。

具体的には、「夏の日の木陰で耳にする風と木々のさざめき、セミの声。日本の夏を代表する音の一コマ」が体験できる『ASMR@ラスカル_夏編』。そして「炭酸水をグラスに注いだ際の、細かな泡が浮かんではじける音がひとときの涼感を誘います」と説明される『ASMR@ラスカル_炭酸編』である。

夏編と炭酸編の2本が無料公開された © NIPPON ANIMATION CO., LTD.

視聴してみた感想としては、カワイイ。ものすごい癒やし効果がある。夏編では郷愁の念に駆られ、炭酸編ではリラックスしつつ少し涼し気な気分で過ごすことができた。ASMR動画としては申し分ない出来栄えと言える。しかし、なぜラスカル? 製作元であるエイシスに聞いてみた。

Q なぜラスカルを題材に?

A. ラスカルは誰もが知る日本を代表する国民的キャラクターですが、誕生から40年以上が経過している今もLINEスタンプの販売や、様々な作品とのコラボレーションを通して若年層に向けて積極的な展開を行っているとてもアクティブなキャラクターでもあります。ASMRは若い世代を中心に人気がある音声ジャンルです。国民的キャラクターにも関わらず、若年層に向けても常に新しい展開を行っているラスカルと弊社の配信サービスZOWAと非常に相性が高いと考え、コラボの提案をさせて頂きました。また、ラスカルというキャラクターを介することで日頃より身近に自然の音を感じていただける、ASMRコンテンツとして優秀な下地を備えていた点もコラボを提案させて頂いた理由の一つです。

Q. スターリング少年視点の疑似体験でラスカルの声を聞きながら過ごす、ではなくラスカルを取り巻く音をピックアップした理由は?

A. ラスカルと共に過ごすという視点よりも、ラスカルをメインとした視点の方が様々な音やシチュエーションの展開が可能になると考えました。コラボ作品の数は今のところ少ないですが、今後、お客様からの反応を見て、好評を博すようであれば新しいASMRのラスカルを追加で作成していきたいと考えています。ASMRとして少しチャレンジな点としては、音を通してラスカルの新しい魅力をお届けできたら…ということで本編のシチュエーションにこだわっていないところです。わたしたちとしては、ラスカルを取り巻く素敵な音をもっと聞いてもらいたいと考えています。今回の動画をご覧くださった方は、ZOWAのコミュニティーなどを通して感想を聞かせていただけるとうれしいです。

・・・と、いうことだ。記者も「ラスカルとASMR?」と思わず気になってしまったので、試みとしては成功と言えるのではないか。しかも、音声作品のためにスタジオまで作ってしまったエイシスのやること、収録についてのこだわりもすごい。このあたりも詳しく聞いた。

夏編で入る、そよ風・蝉の声はフィールドレコーディングされたもの。マイクにはSENNHEISER「MKH416」、レコーダーにはZOOM「F6」「H1n」が使用された。収録場所は上野公園・光が丘公園・飯能(天覧山付近)で、候補地を何箇所か回ったものの、季節柄どこもセミがたくさん鳴いているなかで、今回の企画コンセプトに沿う音がどんなものなのかが課題となったという。それはそうだろう、ラスカルASMRに合うセミの鳴き声は見当もつかない。

ZOOM「F6」

最終的には上野公園と光が丘公園で収録した素材がミックスされたほか、スタジオで保有している環境音もうっすら混ぜてチューニングされている。また普通に収録したものをそのまま使用するとセミの声の存在感が強く、大部分を占めることになるため、編集による風の音とセミの声のバランス調整にはひときわ気を使って仕上げたとのことだ。山の方に収録に行った際は機材を持って坂を登るハードな取材になったらしいのに、そこの音は採用しなかったあたりに本気度合いが感じられる。

炭酸編の収録の様子

炭酸編にはマイクに3dio「FreeSpace」、レコーダーにZOOM「F6」・TASCAM「DR-40」を使用。スタジオはエイシスのDLsiteスタジオとなる。

TASCAM「DR-40」

複数のマイクを立てて音の質感を聴き比べ、よく聞こえそうと思うものをいくつかチョイスして調整したそうだが、炭酸の泡の弾ける音は非常に微細、繊細なため、そのレベルにあわせて設定した機材は、ブース内にいる人物の呼吸の音なども拾ってしまう。そのため、グラスに炭酸水を注いで音がいくらか落ち着くまで息を止めて待機し、一連の音の中で編集がしやすいタイミングを見計らってブースから出て、さらにしばらく録音、という段取りで収録が行われるなど、細心の注意が払われている。

さらに、実は使用機材も厳選されている。夏編では、据え置きで使用しているZOOM「H3-VR」の採用を見送っている。これはセミやほかの虫の音も入ってしまい、編集で多少は軽減させることはできるものの、なるべく素の音を使用したかったことが理由だ。また炭酸編では、当初RODE「NT55」とFreeSpaceを採用する予定だったが、レコーダーを設置した場所がよかったのか、NT55と比べてわずかながら差が出ていたため、今回はDR-40の音声が採用されたという。

正面にあるのが3dio「FreeSpace」通称“白耳”、左右に1本ずつ配置しているのがRODE「NT55」、画面奥で隠れる位置にあるのがTASCAM「DR-40」

そしてオススメの聞き方を尋ねたところ、「今回の作品は尺がそこまで長くないので気軽に聴いていただけたら嬉しいです。ヘッドホンやイヤホンだけではなくスピーカーなどでも聴き比べると新たな発見があるかもしれないので楽しんで聴いていただきたいです」と答えてくれた。

ZOWAは、iOS向けアプリやWEBブラウザを通して誰でも無料でASMR動画を視聴できるサービスだ。 アクセスすればすぐに再生できるので、一度体験してみて損はない。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック