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ビートルマニアの大橋伸太郎がレポート

最高の音質で蘇った ザ・ビートルズ の新デジタルリマスター盤を聴いた!

2009/08/25 大橋伸太郎
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試聴会は7月上旬、東京・恵比寿のマランツ・ショールームで行われた。ステレオ・リマスターは全14タイトルで、分売とミニドキュメンタリーを収めたDVD付ボックスセットの両方を発売、一方モノ音源を集大成した『The Beatles in Mono』(ボックスセットのみ。分売なし)が初回限定発売される。この日は、EMIからプロジェクト・コーディネーターのアラン・ローズ氏、アビイ・ロード・スタジオからレコーディング・エンジニアのガイ・マッセイ氏がゲストとして登場した。

プロジェクト・コーディネーターのアラン・ローズ氏

レコーディング・エンジニアのガイ・マッセイ氏

詳しいキャリアは省略するが、ローズ氏は『イエロー・サブマリン・ソングトラックス』の5.1ch/ステレオリミックスや『レット・イット・ビー…ネイキッド』を担当したプロデューサー。マッセイ氏は、上記タイトルのミックス等を担当したスタジオ・エンジニアである。登壇したローズ氏は、今回の企画についてこう語った。

「今回のリマスターの目的は、‘60年代にスタジオに鳴り響いたビートルズの原音に迫ることだった。4年を費やして6人のチームが三つのグループで仕事をしてきた。なぜ6人かというと、ミスがあった場合に一人が責任を負わず、常にチェックしあうようにという配慮からだ」。

次に、実際の新CD全集の音作りに関して、ローズ氏は以下のように説明した。

「ノイズを取り除いて音場の見通しを改善することが第一だった。ただし、リンゴの激しいドラミングで椅子が軋む音など、生々しいドキュメントはそのまま残したよ。プロジェクトがスタートして最初の2週間はアナログからデジタルへ転換する機材選びだった。それからアルバム一枚一枚時間をかけて作業を進めた。どのノイズを取り除いていくか、ガイが逐一判断した。トランスファーと修正に2〜3週間かけてマスタリングし、その上でEQが掛かり過ぎていないかなどを検証。修正すべき点を直して再マスタリング、さらにもう一度チェック、そういう風に作業を進めていったよ」。

「リミッターの使用は必要最小限に止めた。‘87年版CDに比較してボリュームレベルが大きくなっているのに気が付くだろう。こうした作業を全てのアルバムで進め、最終的なOKをもらってアップルに渡したわけだ」。

当日の試聴会で聴いた新リマスターサウンドは、従来の‘87年版ビートルズCDの特徴であった高域のやや荒れたとげとげしさ(LPのなめらかにロールオフする高域に比べCDの迫真性を生み、それがビートルズのCDの定評を生んでいたわけだが)がきれいにノイズシェープされ、バックグラウンドS/Nの向上によって、楽器の分離感の優れた非常に立体的でクリアなサウンドに生まれ変わっている。要するにきれいで聴きやすいのである。

当日の試聴にはB&Wの「802D」が使用された

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