<CES>サムスン、「AI体験をより身近かつ信頼あるものに」。130型マイクロRGB LED液晶テレビ実機展示も
「CES 2026」が1月6日に米ラスベガスで開幕する。現地では本開催の前々日となる4日にサムスン電子のプレス向け記者会見が開かれ、独自のAIアシスタント「Vision AI Companion」を搭載するスマートテレビや、Bixby対応の生活家電の新製品などが発表された。ブースでは130型のマイクロRGB LED液晶テレビも公開している。
幅広い家電で「統一されたAI体験」提供。AIをより身近に
サムスン電子は例年、CESが開催される本会場のラスベガス・コンベンションセンター(LVCC)に大規模なブースを構えてきたが、今年はほぼ同じスケールのブースを、LVCCに近接するラグジュアリーホテルのWynn(ウィン)に設けて、プライベートショウ形式の展示を行っている。
LVCCの会場キャパシティの制約を受けることなく、ホテルの客室等を活用した商談も幅広く行えるプライベートショウのメリットを活かした格好だ。展示エリアもLVCCのブースより大きくなった印象を受ける。
一方で、LVCCの会場を歩きながらサムスン電子のブースにふらりと立ち寄ることができなくなるため、CESの来場者が同社のイノベーションに触れられる機会は限定される。
筆者は4日に行われたプレスカンファレンスイベントの「The First Look」と、翌日のプレス向けブースツアーの両方に参加した。
プレスカンファレンスのステージには、サムスン電子のモバイル・家電事業を統括するCEO兼デバイスエクスペリエンスディビジョンのプレジデントである盧 泰文(TM Roh)氏が登壇した。
2026年の展示のテーマは「AI Everywhere for Everyone」。
盧氏は壇上で「AI体験をユーザーがより身近に感じながら、信頼を寄せられるものにする」とコメント。
年間約5億台にものぼる膨大なデバイスの出荷規模を背景に、今後もあらゆる製品カテゴリーと、対応するサービスにAIを組み込むことで、「統一されたAI体験」を多くのユーザーに提供することを新たな目標に置く。
現在、日本市場にも展開されている “Galaxyシリーズ” のモバイルデバイスのほか、韓国内のみならず欧米でも注力するスマートテレビやスマート機能を搭載する生活家電にも、サムスンは独自のAIアシスタント機能とSmartThingsを中心とする家電どうしのネットワーク連携機能を拡大している。
それぞれのカテゴリごとに開発プラットフォームが異なるため、これまではAI体験が広がるペースもスローに感じられた。2026年はサムスンのデバイスどうしによるAI体験を「ひとつにまとめ上げることが課題」と、盧氏はスピーチの中で言及した。
独自方式のマイクロRGB LEDテレビ展開拡充。130型は年内発売へ
今年のサムスンのブースは招待制により来場者を限定するかたちで公開されることになりそうだ。5日にはプレス向けのブースツアーが行われた。
最も目を引く新製品はやはり130型のマイクロRGB LED液晶テレビ “R95Hシリーズ” だ。パネルの解像度は4K。本機の詳細は既報の通り。

<CES>サムスン、世界初を謳う130型マイクロRGB LEDテレビを発表
2026/01/05
マイクロLEDパネルの基本構造は同社が昨年に発売した115型の “R95Hシリーズ” と同じ。基幹のバックライトユニットには大きさ100μm未満の赤・緑・青(RGB)マイクロLEDを用い、それぞれが独立して発光する仕組みを採用。高精度な光制御と優れた色再現性を特徴とする。
なお、サムスンのマイクロRGB LED技術は、一般的にイメージされる、RGBのサブピクセル自体が発光する方式とは異なり、前述のようにマイクロサイズのRGB LEDをバックライトに用いるもの。液晶テレビの一種である。
サムスン電子では同じテクノロジーを採用するマイクロRGB LEDを、2026年内に実用的な100型以下のラインナップに拡大する計画を既に発表している。
薄型大画面テレビの市場が成熟した環境の中で、画質のアドバンテージに加えて、バランスよくコストメリットも打ち出すことが普及に向けた課題になりそうだ。
130型のモデルはおおよその発売時期以外、価格や商品として発売される地域について具体的なアナウンスはなかった。
映像の制御は独自開発のエンジン「マイクロRGB AI Engine Pro」により行う。4K AIアップスケーリングやAIモーションエンハンサーProなど映像処理を司る。後述するサムスン独自のテレビ向けAIアシスタント「Vision AI Companion」が搭載される。
ブースではメタル素材の “タイムレスフレーム” スタンドに設置した実機と、壁掛けタイプの2種類が披露された。
映像のチューニングは展示会場向けの仕様だったことから、筆者はとにかく明るく華やかな印象を受けた。ディティールの先鋭感にも富んでいる。グーグルと開発を進めてきた立体音響「Eclipsa Audio」を、テレビ単体で聴くことはできなかった。
独自開発のVision AI Companionをテレビ製品に拡大
サムスン電子が昨年秋にIFAで発表した、独自のスマートテレビ向け生成AIプラットフォーム「Vision AI Companion(VAC)」がCESでも公開された。米国では液晶テレビ “U8000シリーズ” 以上のプレミアムクラスのテレビに搭載される。
VACはサムスン電子のスマートテレビが歴代採用してきた独自のプラットフォーム「Tizen OS」の上に構築されている。
ユーザーがリモコンのボタンを押すと最初に独自のAIアシスタントであるBixbyが起動する。音量操作やナレーションと背景音声を分離してそれぞれのバランスを切り替えたり、テレビの設定に関連する基本操作はBixbyがオンデバイスで実行する。
テレビのライブ放送の番組について見どころを知らせたり、動画配信サービスのコンテンツ検索、料理のレシピ検索などより複雑な内容のリクエストに対してはグーグルが提供するGemini APIを介して、クラウド上のGeminiが応答する。
なおVACはBixbyとGeminiによる連携動作を基本とするテレビ向けのAIアシスタントだが、Tizen OSのテレビ向けアプリストアを介して「Microsoft Copilot」や「Perplexity」などのアプリを追加して、必要に応じて使い分けることも可能だ。
各シリーズのテレビに付属するリモコンの「AIボタン」からVision AI Companionを起動して、音声で話しかける。
ブースで公開されたデモンストレーションを目の当たりにする限り、音声操作に対するAIアシスタントの応答速度は “スマホなみ” に軽快だった。
サムスンの担当者によると、今後はSmartThingsのエコシステムに対応するスマートホームデバイスの操作についても、VACを介してできるようにするという。

フレンチデザインのスマートスピーカー「Music Studio」
サムスン電子は毎年新しいコンセプトのホームオーディオ製品を開発、商品化している。2026年のメインシリーズはフランスのインダストリアルデザイナーであるエルワン・ブルレック氏が手がけた「Music Studio」だ。
カラバリはブラックとホワイトの2色。音質のチューニングは同社の音響エキスパート集団であるSamsung Audio Labが手がけている。
AIアシスタントはAmazon Alexa、Googleアシスタント、Bixbyに対応。音声によるコントロールが可能。
1台で単体のWi-Fi/Bluetooth対応スピーカーとして機能するが、2台によるステレオ再生、複数台を集めた「Eclipsa Audio」ベースの立体音響再生にも対応する。Spotify Connectも搭載。最大96kHz/24bitのハイレゾ再生も楽しめる。
最初に展開されるのはスクウェアデザインの「Music Studio 7」と、スピーカーの振動板やレコード盤の形を模したというサークルデザインの「Music Studio 5」。
前者が3基のフルレンジユニットと高域用トゥイーター、低域用ウーファーを組み合わせた3.1.1ch対応のブックシェルフで、米国の販売価格は599ドル。
後者は2基の高域用トゥイーターと、1基のミッドウーファーを搭載する。価格は390ドル。ともに3月の発売を予定する。
このほかにもサムスン独自の生成AIアシスタントがビルトインされた冷蔵庫に洗濯機、ロボット掃除機などがCESのプライベートブースに集められた。各製品が集まって、ひとつのAI家電のようにふるまう様子は、今年のCESのブースでは見ることができなかった。
2026年はサムスンの生成AI対応家電によるスマートホーム体験を「現実のもの」として浸透させる段階に入った。このことを広く知らしめるためにも「サムスンのAI対応スマートホーム」をビルトインした住宅を使ったデモンストレーションを実現しても良かったと思う。今後の展開に期待したい。



