ヤマハ、初のハイエンド密閉型ダイナミックヘッドホン「YH-C3000」
ヤマハは、独自開発のダイナミックドライバー「アルモダイナミックドライバー」を搭載した密閉型ヘッドホン「YH-C3000」を、10月30日(木)に発売する。価格は税込305,800円。
約10年の研究開発を経て作りあげた新型ダイナミックドライバーと、楽器メーカーとして培ってきた技術という「ヤマハならではの要素」を掛け合わせて完成させた密閉型ヘッドホン。
ヤマハのホームオーディオ製品に共通する音質設計思想 “TRUE SOUND” を土台に、“密閉型ならではの音の密度感” と “密閉型を超えた開放感” を兼ね備えた、“深く、長く、時間を忘れて音楽に没入できる” サウンドを追求したという。
アルモダイナミックドライバーは50mm口径のダイナミックドライバー。名前はイタリア語の音楽用語「Armonia(アルモニア:調和、ハーモニー)」に由来しており、その語源はギリシャ語に通じる。同社独自開発の平面磁界ドライバー「オルソダイナミックドライバー」も “正しい” “まっすぐ” などを意味するギリシャ語に由来しており、名前に共通点をもたせた格好だ。
振動板は3層構造となっており、中心部には軽量かつ適度な内部損失を備えた軽量発泡層を配置。その両面を、化学繊維の「ザイロン」を配合した混抄紙の層で挟み込んでいる。ザイロンは同社のHi-Fiスピーカーの振動板にも採用されている音速と内部損失に優れた素材であり、紙や樹脂とともに漉き込むことで、音の立ち上がりや解像度を高めるのだという。
異なる素材を組み合わせる振動板構造により、名前のとおり軽さ・硬さ・内部損失の3つの要素の “調和” を実現。加えて磁気回路の要となるポールピースに純鉄を採用することで、磁力を無駄なく駆動に活用して応答性を高めた。これにより、帯域のスムースな繋がり、開放感と密度感の両立などの “調和” のとれた、ヤマハのハイエンドヘッドホンにふさわしいドライバーユニットとして仕上がったとしている。
密閉型のハウジングは木製で、同社のピアノにも用いられるドイツ産ブナ材を採用。約70年にわたり木材を扱っている同社の関連会社にて本製品用に選定/加工した木材に、塗装、研磨のうえ黒鏡面仕上げを施している。
軽量かつ高剛性のドイツ産ブナ材に、1点1点手作業で削り/磨き/塗装の工程を重ねることで、楽器を彷彿とさせる艶のあるハウジングが完成する。このハウジングにより、音の立ち上がりや解像度を最大限に引き出すのだという。組み立てについては、平面磁界型のフラグシップモデル「YH-5000SE」やグランドピアノも手掛ける自社および協力工場で行われ、熟練の職人により1台ずつ製造される。
なお、ブナは木材としては剛性が高いものの、製造過程で非常に薄く加工されているため、床に落とすなど強い衝撃を与えないように注意が必要とのことだ。
ヘッドバンドやスライダー部は、YH-5000SEと同等のステップレススライダーと2層構造ヘッドバンドを投入。ケーブルも着脱可能で、長さ2mのアンバランスケーブルが付属する。
イヤーパッドについては本機専用に新設計しており、何度も試作評価を繰り返した形状と低反発素材で快適な装着性と密閉感を実現している。イヤーパッドは着脱も可能だが、上述のとおり本機専用設計のためYH-5000SEなど他のモデルのイヤーパッドとの互換性はない。
再生周波数帯域は5Hz - 55kHz、インピーダンスは34Ω(@1kHz)、感度は94dB(@1kHz)。質量は約330g。キャリーケース、ハウジング用クリーニングクロスが同梱する。製品保証期間は5年間となっている。



