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2025年はスマートプロジェクターの進化が目覚ましい!

<IFA>スマートプロジェクター新製品まとめ。XGIMI、JMGO、DANGBEI、Ankerほか盛りだくさん

公開日 2025/09/08 15:09 平野勇樹
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近未来のディスプレイの進化の方向性が示されたIFA2025 会場内で、記者がとても勢いを感じたカテゴリーのひとつが「スマートプロジェクター」だ。

スマートプロジェクターとは、スマホのようにOSを内蔵していて、インターネットに繋げばすぐにコンテンツを楽しめるプロジェクターのこと。

自動補正機能もついていて、壁面や天井に投写するのであれば、難しい設置の手間もいらない。斜めから投写しても自動でフォーカスを合わせてくれたり、台形に歪んだ映像もかんたんに補正してくれるのだ。

また、多くのモデルがLEDやレーザーを光源に採用していて、20,000時間以上と長寿命のアイテムも多い。電源を入れたらそれほど待たずに起動するので、テレビのように気軽に利用できるのも利点だ。

最も広いブース面積に怒濤のラインナップを展示したXGIMI

そんなスマートプロジェクター関連で、IFA会場内でいちばん大きなブースを構えていたのが、この製品カテゴリーの雄、XGIMIだ。

ファイルウェブでもインタビューに答えてくれた副社長、Tex Yangさん。とっても笑顔ですが、隣にブースを構えているのが某テレビメーカーなのに、「映画館を丸ごと手に入れられるのに、誰がわざわざテレビを買う?」というキャッチは刺激的ですね(笑)
 
グローバルビジネス事業担当の副社長、Tex Yangさんによれば、昨年の新製品は「MoGo シリーズ」などが中心で、リビングや寝室、アウトドアなど、さまざまなライフスタイルごとに、スマートプロジェクターの利用シーン訴求をするブースだったが、今年の新製品はいずれも進化した画質で直球勝負するハイエンドモデルで、テレビのように日常使いができるほどの明るさが特徴だという。
 

「TAITAN」は主にプロフェッショナル市場を意識したハイエンド機で、5,000 ISOルーメンの明るさを誇る、デュアルレーザー光源の4Kプロジェクター。レーザー光源に最適化された大型0.78インチのDMDと、XGIMIが初めて自社開発したAI高画質プロセッサーを搭載した意欲作だ。画質を損ねずに投写位置を調整できるレンズシフト機能(V±100%/H±40%)を搭載したこともトピックだ。

ダイナミックコントラスト500,000対1、広色域DCI-P3 150%、IMAX Enhancedやドルビービジョンにも対応する。

ホームユースのハイエンドに当たるのが「HORIZON 20 Max」。こちらは3RGBレーザー光源の4Kプロジェクターで、Google TV OSを搭載。独自のX-Master Red Ring Lensによって、初めてレンズシフト機能(V±120%/H±45%)も搭載する。

 
ホームユースのハイエンドに当たるのが「HORIZON 20 Max」。こちらは3RGBレーザー光源の4Kプロジェクターで、Google TV OSを搭載。独自のX-Master Red Ring Lensによって、初めてレンズシフト機能(V±120%/H±45%)も搭載する。

 

ピーク輝度は5,700 ISOルーメンと明るく、ダイナミックコントラストは1,000,000対1、色域はBT.2020比で110%、低遅延1ms(1080p@240Hz)、IMAX Enhancedやドルビービジョンにも対応する。

スピーカーはHarman/Kardon製で12W×2、ドルビーオーディオにも対応する。ちなみに兄弟機として、主にゲーミングに必要な機能をピックアップして価格を抑えた「HORIZON 20 Pro」もラインアップするという。

 

「MoGo 4」および「MoGo 4 Laser」は海外ではすでに販売中だが、日本での導入も期待される新製品。Google TV OSや自動補正機能のほか、バッテリーも内蔵していて、気軽に持ち運んで使える。前者はLED光源で明るさ450 ISOルーメン、色域はDCI-P3  90%で599ユーロ、後者はレーザー光源で550 ISOルーメンで色域BT.2020比110%、759ユーロ。
エントリーからハイエンドまで大充実。日本での導入もぜひ期待したい

高画質技術に定評のあるJMGOも新製品をアピール

日本でも人気のスマートプロジェクターメーカー、JMGOも大きなブースを構えていた。2011年から約15年近くにわたってプロジェクターの商品化と高画質化に取り組んできた歴史をアピールする展示が印象的だった。

JMGOは3RGBレーザー光源にいちはやく取り組んできたメーカーで、日亜化学工業のレーザー素子を採用し、スペックルノイズを低減させる独自の映像エンジン「MALC(Microstructure Adaptive Laser Control)」を開発するなど、高画質技術に定評があるブランドだ。

そんな同社の新製品のひとつが、超短焦点4Kスマートプロジェクター、JMGO「O2S Ultra 4K」だ。手のひらくらいの投写距離で120インチの大画面を映すことができ、3500 ISOルーメンの明るさを誇るという。OSはGoogle TV 5.0。

スタッフによれば、3RGBレーザー光源を搭載しており、独自エンジンMALC(Microstructure Adaptive Laser Control)は新世代のバージョン3.0を採用。輝度、コントラスト、色再現性ともに妥協せずに磨き上げた意欲作とのこと。総合出力20Wのオーディオシステムも搭載。ドルビービジョンとドルビーオーディオに対応する。

競合他社モデルと比べると、見た目は半分くらいの大きさで、とてもコンパクトだ。いよいよ10月にローンチ予定だが、価格は未定。日本での導入も予定しているそうだ。

 

もうひとつの参考展示が、フラグシップ級の新製品「N3 Ultra Max」だ。今年中にグローバル展開する予定はないそうだが、こちらも日中に普段使いできる明るさをアピールしていた。展示写真の通り、そのエンジンは新世代「MALC 3.0」となるようで、明るさは4,350 ISOルーメンに到達、従来比で約35%も輝度が向上するという。

 

 

デモ機で実際の映像を見ても、テレビのように明るく高精細、なめらかな映像に驚かされた。ちなみに首振りジンバルスタンドもAI制御へと進化するという。

Dangbeiは液冷機構を採用した高輝度モデルを展開

「明るさ」をアピールしていたのはDangbeiも同じだ。

Dangbeiは新製品「Dangbei S7 Ultra Max 」を初公開した。48 RGB レーザーユニットを搭載。明るさは6,200 ISO ルーメン、ネイティブコントラストは8,000対1。ドルビービジョンやHDR10+に対応。ファンではなく液体で冷却する「Liquid Cooling」も特長で、駆動音が静かであることもアピールポイントだという。
ブースのLydiaさんによれば、ハイエンドのゲーミングPCから着想を得たそうで、7時間くらい連続で動かしても、静音性と低温を維持できるという。グローバル向けには年末から来年初旬の発売を想定している。日本での価格は未定。

 

 
ちなみにDangbeiには変わりネタで、スマートアクアリウム水槽「Smart Fish Tank 1 Ultra」も展示されていた。センサー内蔵のフィルターモジュールをもち、水の鮮度を保つことができるほか、自動で給餌、水流の速さのコントロールやライティング調整もできる。日本での導入、価格はともに未定。中国では500人民元(10,000円強)で販売されているようで、意外とアリでは?と個人的に興味を持ってしまった次第。

 

4Kプロジェクター+7.1.4chスピーカーを合体!Ankerの超弩級モデル

そして既報のとおり、IFAの会場で来場者の熱い視線を集めていたのが、AnkerがSoundcoreブランドから発表したモバイルシアターステーション「Nebula X1 Pro」だ。
 
4Kプロジェクターと7.1.4chスピーカーをキャリーできるスタイルで一体化させた超弩級のスマートプロジェクターだ。

 

4つのワイヤレススピーカーは、ドルビーアトモス対応で、取り外して使うことができる。自動音場補正付きで、総合出力は400W。2本のワイヤレスマイクも内蔵しているようで、イベント利用にも役立ちそうだ。
プロジェクター部分は3RGBレーザーを光源に採用していて、明るさは3500ルーメン、イティブコントラストは5,000対1、ダイナミックコントラストは56,000対1。AI Hーンマッピングを含む映像エンジン「NebulaMaster」を搭載し、画質にも妥協はない。
価格は2,999ドル、200インチスクリーンをバンドルする場合は4,199ドルでの販売を想定している。

 

AWOL Visionも大きなスペースで新製品をアピール

 



そしてもうひとつ、大きなブースで展示をしていたのがAWOL Visionで、新ブランド「Valerion」を熱心にアピールしていた。「ハリウッドのスタンダード画質を家庭に届けること」がコンセプトだ。
 
Vision Masterシリーズの5機種すべてが3RGBレーザー光源を採用。黒の再現性にこだわり、フレームごとに映像のコントラストを検知して明るさを調整する独自の「NoirScene System」を搭載。ISF認定を受けたトレーナーによるキャリブレーション調整を行うことも可能という。
 
同社のイチオシはフラグシップ「Vision Master Max」。明るさは3500ISOルーメンで、コントラストは50,000対1、色域はDCP-P3で90%。レンズはカスタム設計の14枚構成で、上下のシフトも可能。IMAX Enhancedやドルビービジョンに対応。スピーカーは12W×2でDTS Virtual : Xにも対応。4,999ユーロ。
 
リリースは昨年末で、オンラインのみでの展開を続けてきたが、これから販売ルートを広げていきたい、と意気込みを聞かせてくれた。

 

フォトレポート:そのほかにも注目モデルが目白押し

そのほか、ハイセンスやTCLのようなメジャー企業からも、ユニークなアイテムが登場。さらにAURZENやWanbo、Yaberなど、デザイン性に優れたスマートプロジェクターを展示するブランドも多彩なアイテムで会場を賑わせていた。

▲世界初!コンパクトに3つ折りして持ち運ぶことができるAURZENのスマートプロジェクター「ZIP」。折りたたむと高さ1インチ、重さはわずか280gで、iPhoneの半分ほどの大きさしかないとアピールしていた。明るさは100ルーメン、解像度は720p。価格は429.99ユーロ。

 

▲Yaberのスマートプロジェクター、イチオシは 「Projector T1 Pro」。洗練されたデザインに、天井投写もできるジンバル構造を融合。スタンド部分に上向きに8Wスピーカーが搭載されていてドルビーオーディオにも対応している。179.99ユーロ。
 
 
▲ユニークかつポップなデザインとカラバリを備えたWanboのスマートプロジェクター「Cube 2 Pro」。オンラインでの販売がメインとのこと。Android OS搭載で、明るさは500ルーメン。ジンバル機構付きで使わないときは直方体にしてオブジェにして、インテリアのように置いておくことができるそう。
 
▲ハイセンスの最新スマートプロジェクター「C2 Ultra」。3RGBレーザー光源で明るさは3,000ルーメンで、総合20WのJBLスピーカーを内蔵。キャンプ場をイメージした利用シーンを提案していた。日本未導入だが、米国では2,297ドルで販売されているとのこと。
 
▲TCLはスマートプロジェクター3機種を展示。
 
▲注目はルービックキューブから着想を得たという、本体をひねって投写するスタイルが独特な「TCL PlayCube」。OSはGoogle TVで、約3時間駆動できるバッテリーを内蔵している。750ISOルーメンの高輝度設計で、解像度は1080p。日本でもクラウドファンディングで販売中で、その価格は10万円未満とコスパの高さが光る。

 

ハイエンド製品の明るさが飛躍的に向上。安価なモデルにも要注目

ハイエンドクラスのトレンドは、明るさの飛躍的な向上だった。テレビのように暗室にしなくても使えるように、5,000ルーメンを超えるほどの輝度と本格的な高画質を狙ったアイテムが続々と登場してくる。

エントリークラスも充実していた。バッテリー内蔵で外出先に持ち運べるスマートプロジェクターが数多く展示されていて、手に取りやすい5〜10万円の価格帯でも、さまざまなデザインを選べるようになりそうだ。

 

スマートプロジェクターの動向から、今後も目が離せない。

 

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