新会場でも大盛況!「ポタフェス2025大阪」で会場を湧かせた新製品/注目出展まとめ
5月31日(土)、大阪府立国際会議場グランキューブ大阪にてe☆イヤホン主催のポータブルオーディオ展示試聴イベント「ポタフェス2025大阪」が開催。昨年よりも広いフロアに集った120を越えるブランドの中から、発売まもない新製品、会場で初公開された参考出展品を中心に模様をお届けする。


ソニー「WH-1000XM6」、final「A10000」など新製品がやはり注目
会場全体が賑わう中、順番待ちの列が目立っていたのは、やはり発表間近、または発売直後の最新製品の試聴ブース。その代表格が、5月30日から販売開始となったソニー「WH-1000XM6」(約6万円)。音質面だけを見ても、中高域の伸びを改善した30mmドライバーユニット、D/A変換時に発生するノイズをこれまで以上に抑制した独自開発プロセッサー、そしてグラミー賞受賞/ノミネート作品に携わるエンジニアが協力したチューニングといった見どころがたくさん。

そしてノイズキャンセリング(ANC)においては、左右あわせて12基という多数のマイクと独自開発プロセッサー「QN3」「V2」が協調し、周囲の騒音量や気圧、ユーザーの帽子やメガネの有無までリアルタイムで分析しながら効果を最適化。その進化のほどを、活気のある会場内でさっそく体験することができた。

ソニーブースに隣接するfinalブースでも、6月発売のフラグシップイヤホン「A10000」(約40万円)や、ヘッドホンの新シリーズ「DX6000」(約25万円)などの試聴を多くの来場者が待っていた。


A10000は、ダイヤモンド箔と特殊ポリウレタンエッジを組み合わせた「トゥルーダイヤモンド振動板」、接着剤を使用しないボイスコイル、高級腕時計に通じる技術で装飾したステンレス切削ハウジングなどを奢り、かつてない静けさと解像度を実現したという入魂のイヤホン。DX6000も新開発の振動板やボイスコイル、低域と開放的な音場を両立するハウジング構造、和紙を使用した専用イヤーパッドといった新機軸を取り入れたヘッドホンとして目をひく。


ハーマンインターナショナルでは、5月29日に発売となったJBLのフラグシップBluetoothヘッドホン「JBL TOUR ONE M3」(約5万円)を展示。ドライバーユニットを一新、また別売でタッチディスプレイを搭載した専用ワイヤレス送信機も用意し、音質と機能性の両面を強化したモデルで、ブーススタッフは「イヤホンのフラグシップであるTOUR PRO 3とともに、JBLの最上位の音を体感してほしい」と意気込んでいた。


オーディオテクニカは、開放型ヘッドホンの最新ラインナップを集中展開。今年2月から順次発売されているプロフェッショナル向け開放型モニターヘッドホン「ATH-R70xa」「ATH-R50x」「ATH-R30」、同社開放型ヘッドホンの “入口” に位置付けられる「ATH-ADX3000」や、その上位モデル「ATX-ADX5000」を横並びで聴き比べることができた。


ゼンハイザーは、有線/無線両イヤホンの代表的なモデルをラインナップ。来週6/3に発売を控える完全ワイヤレスイヤホン「ACCENTUM Open」(約1.6万円)の試聴機も並び、既存モデルと装着感や音質を聴き比べることが可能だった。本モデルはゼンハイザーの完全ワイヤレスイヤホンでは初のオープン型(インナーイヤー型)で、耳をふさがない形状による軽快な着け心地と、長年のノウハウを活かした聴きごたえある音質の両立がポイントとなっている。


テクニクスでは、今年1月発売の完全ワイヤレスイヤホン「EAH-AZ100」(約4万円)と、2019年登場の有線イヤホン「EAH-TZ700」(約13万円)という、ドライバーユニットに磁性流体を採用した2製品を中心に、音質とそれを支える技術力をアピール。
JVCケンウッドはライフスタイルに寄り添う製品を提案。透け感(シアー)のある充電ケース、優しい色使いが特徴となる6月上旬発売予定のVictor完全ワイヤレスイヤホン「HA-A22T」(約1万円)や、イヤーカフ型完全ワイヤレスイヤホン「HA-NP1T」(約2万円)など日常生活に溶け込むようなイヤホンを紹介した。


ディーアンドエムホールディングスは、Bowers&Wilkins(B&W)からこの4月に発売したBluetoothヘッドホン「Px7 S3」(約6.8万円)を展示。前世代から振動板以外の大部分を刷新したモデルで、ANCの精度向上、ハウジングのスリム化、最新鋭コーデックaptX Losslessサポートなどの進化を遂げている。
完実電気では、4月25日に発売したMeze Audioの開放型平面磁界ヘッドホン「Poet」(33万円)を中心にプッシュ。先に発売された密閉型モデル「LILIC2」と同等のコンパクトな設計を採用して着け心地を高めつつ、ウクライナRinaro社と共同開発した平面ドライバーの最新世代を投入して音質面も強化している。


e☆イヤホンが取り扱うカスタムIEMブランドでも、先日発表された独VISION EARSと、米Ultimate Earsの新モデルが展示。中でもユニークなのがVISION EARSの6BAモデル「VE XCON」(約39万円)。スイッチ切り替えによって2種類のチューニングを使い分けられるのだが、そのスイッチに他ではあまり見られない「磁力」、つまりマグネットを採用している。


一般的にチューニング切り替え機構にはスライド式のスイッチが用いられることが多いのだが、ステージ上で意図せず切り替わってしまう例が度々あり、より誤作動しにくい確実な切り替え機構として考案されたのだそう。マグネット取り付け部はフェイスプレートとの一体感もあり、デザイン面でも利点を感じられた。

ブリスオーディオは同社の新たなリファレンスポータブルヘッドホンアンプとして開発され、この4月から受注を開始した「WATATSUMI」(68万円)が注目。横並びに展示されたイヤホンとアンプが一体となった250万円のポータブルオーディオシステム「FUGAKU」や、より手に取りやすい価格帯のサブブランドから発売されるイヤホンケーブル「MIKAGE」の試聴もにぎわった。
フォーリーフは、NICEHCKブランドの8ドライバー・ハイブリッド型イヤホン「NX8 Special Edition」(約3.5万円)を紹介。ベースモデルにあたる「NX8」からチューニングやケーブル、デザインを再調整した特別版で、中高域をよりクリアに聴かせるとのこと。5月31日に正式オープンした、“耳に関わるガジェット”に特化したプラットフォーム「ミミゴト」にて先行予約販売を実施中で、6月30日まで数量限定の早期割引価格で購入することもできる。


ブライトーンは、ZMF Headphonesから、平面磁界ヘッドホンの開放型モデル「Caldera」、密閉型モデル「Caldera Closed」(共に税込約65万円)や、他ブランドのヘッドホンにも装着できる独自イヤーパッド「ZMFユニバーサルヘッドホンパッド」(ペア約2万円)など展示。
Mother Audioは、昨年発売した完全ワイヤレスイヤホン「MET1」(約1.5万円)を展示。加えて夏頃ラインナップに加わるという新色ホワイトもお披露目した。スペックとしてはダイナミックドライバー1基を搭載し、ANCやLDAC対応などオーディオファンのニーズに応えている。






パワーアップしたqdcのシングルBA、西日本初上陸のヤマハハイエンドヘッドホン等々、参考出展も楽しい
新製品とならぶイベントの目玉が、開発中の製品などを先行公開する参考出展。関西初上陸のものだけでなく、今回が国内初お披露目というものも。
初お披露目のひとつが、アユートが取り扱うqdcのシングルBAイヤホン「FRONTIER」。qdcでは過去、「Neptune」というシングルBAモデルを販売していたが、その後に培った最新技術を活かして改めて同ドライバー構成に挑戦したのが、この度のFRONTIERなのだという。価格は約2万円程度を見込む。

技術的な特徴のひとつが、リアキャビティに微細な穴を開けていること。これにより内部の空気圧などを制御し、BA 1基ながらより深い低音が再生できるようになったそう。ほか、従来モデルでは主にアンバランス接続でチューニングを進めていたが、本モデルではバランス接続時も含めた音決めをしたという。
アユートからはもう1品、Astell&Kernのイヤホン「LUNA」が初お披露目。こちらはチタン製の筐体の中に、MADOOブランドが開発協力したという13mm「ユニポーラ・マイクロ・プラナー・マグネティック・ドライバー “KATABIKI(片響)”」を搭載するハイエンドモデル。ケーブルもEletechブランドが制作と、2つのブランドが協力して作られているそうだ。

MUSINは、これまで自社イベントのみで披露していたShanlingのDAP新モデル「M3 Plus」を、いよいよ大型イベントでも参考出展。同ブランドのラインナップの中では小型で携帯性を重視したモデルながら、シーラスロジックのDACチップ「CS43198」を4基搭載するなど、内部設計も充実させている。7月ごろに約6〜7万円で発売する予定とのこと。


TWISTURAブランドからも、新ダイナミック型イヤホン「WOODNOTE」が初お披露目。6月中旬に2万円前後での発売を予定しており、ダイナミックドライバーの振動板に木を使用していることが特徴となる。


ヤマハは、開発中の高級ヘッドホン「YH-4000」「YH-C3000」の試聴機を参考出展。両モデルとも4月に関東のイベントで初披露されたもので、この度関西でも大掛かりな試聴機会が設けられることとなった。YH-4000は最上位モデル「YH-5000SE」の技術を受け継いだ、音の方向性がやや異なる開放型モデル。YH-C3000は新開発のダイナミックドライバーを搭載する密閉型モデルとなる。


エミライは、100mm超の口径を誇る開放型平面磁界ヘッドホン「FT7」、ES9027PRO DACチップを採用するスティックタイプのUSB-DAC/アンプの次期最上位モデル「QX13」といった、春のイベントでお披露目したFIIOブランドが開発中の製品を関西でも展開。既存モデルも同時にずらりと取り揃え、同社取り扱いブランドの魅力を改めて印象付けていた。


FIIOブランドでは、カジュアルな見た目で本格的な音質を楽しめるサブブランド “Snowsky” 製品も目玉のひとつに。昔懐かしいデザインのオンイヤーヘッドホン「Snowsky Wind」、丸っこいファンシーな外装のBluetoothスピーカー「Snowsky Anywhere」などを展示した。


ミックスウェーブでは、CAMPFIRE AUDIOから「AXION」「ALIEN BRAIN」を参考出展。前者は2024年に数量限定販売したモデルをブラッシュアップしたもので、小型フルレンジドライバーの「シリコンダイナミックドライバー」を搭載することがポイント。後者はダイナミック型 1基/BA型 4基のハイブリッド構成で、ダイナミックドライバーには既存モデルで好評のデュアル磁気回路と、新開発のガラス・ポリウレタン振動板とを採用。他の帯域を邪魔しない、しかし大迫力の低音を実現しているとのこと。



飯田ピアノは、金属筐体にこだわるイヤホンブランドHeart Fieldが開発中の「CU8」を参考展示。スタジオエンジニアから「モニタリングの基準になる音が欲しい」との要請を受けて、従来の同ブランドのチューニングとは異なる、ハーマンターゲットカーブに基づいたニュートラルめの音に仕上げたモデルだという。ドライバーユニットはBA 4基の3ウェイ構成。
また、振動板全体に導体を配置した「アイソダイナミック型ドライバー」が独特なカマートンブランドのヘッドホン「Binom-ER」(約100万円)や、今年に入り高品位なセラコート塗装を導入したKuraDaの開放型ヘッドホン「KD-Q1」(約22万円)の試聴機も用意。試聴機会が少ないハイエンドヘッドホンの実力を見せつけていた。


Pentaconnからは、新開発イヤホン「MS001GM」が初お披露目。同ブランド初のオリジナルイヤホン「Scyne α01」が10万円を超えるハイエンド価格帯だったのに対し、本製品はより手に取りやすい5〜6万円前後での発売を見込んでいるという。チューニングも大きく変わり、迫力のある低音でライブ感を強く感じられるバランスになっているとのこと。
このほか、イベント前日に発売となったイヤーピース「COREIR mini STAINLESS STEEL」も展示。金属製のコアを内蔵するシリコンイヤーピースの短尺モデルで、完全ワイヤレスイヤホンとも組み合わせやすくなった。金属コアはステンレス製となっている。


ORBは、8月ごろの発売を見込むヘッドホンアンプ「Jade casa Ultimate」を参考出展。4つのA級増幅回路を搭載するという音質設計から、艶やかな鏡面仕上げの前面パネルといった外見面までこだわり抜いた70万円クラスの高級モデルで、同社のケーブル開発のリファレンスとしても活用するそうだ。
6月20日から販売開始予定のイヤホン「BF-IEM」(9.5万円〜)も展示。4基のBAドライバーをすべてフルレンジで鳴らす珍しい構成で、モニタリングとリスニングどちらの聴き方にも対応できるチューニングだという。


ピクセルでは、Acoustuneの完全ワイヤレスイヤホン「HSX1001 Jin-迅-」用オプションとして開発中の洋白(銅/亜鉛/ニッケル合金)音響チャンバー「C:03」を参考出展。別売アクセサリーと組み合わせることで、有線イヤホンとしても使うことが可能だ。





