子育てに関わる全ての人たちに幸せで充実した暮らしを

KDDI、保育アプリ「Kids Diary」と提携。“スマート保育園プラットフォーム”の創出を目指す

Senka21編集部 徳田ゆかり
2019年03月20日
KDDI(株)は、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)化による保育業界の様々な課題解決を見据え、有望なベンチャー企業への出資を目的とした「KDDI Open Innovation Fund 3号」を通じて、保育園・幼稚園などのICTをサポートするサービスを提供するKids Diary(株)に出資したことを発表。本件について、KDDI(株)ライフデザイン事業企画本部 新規事業推進部長 宮本美佐氏と、Kids Diary(株)代表取締役 スタンリー・ン・イエンハオ氏が登壇しての記者説明会を開催した。

KDDI (株)ライフデザイン事業企画本部 新規事業推進部長 宮本美佐氏(左)、Kids Diary(株)代表取締役 スタンリー・ン・イエンハオ氏(右)

Kids Diaryは、同社が提供する電子連絡帳アプリ「Kids Diary」をはじめとする各種保育支援システムを提供。保育園の園児の日々の健康管理や出欠・遅刻の連絡、自宅や園での子どもの様子に関わる情報の効率的な共有化を促進する。これにより、保護者と保育従事者間のコミュニケーションを円滑にするほか、園内の出勤システムや指導計画などの一括管理も可能として、従来の紙による自治体への申請業務や、園内管理業務等の非保育業務について効率化を実現するなど、保育現場での仕事の効率化に寄与する。

発表会で宮本氏は、自身が2人の子どもをもち述べ11年間保育園に通わせた経験から、自身も日々多忙な中での保育園との連絡に苦労し、保育従事者の業務が大変であることを実感し「保育の現場がもっと楽になれば」との思いをもってきたと語った。「保育の現場にICT化が強く求められている。紙を使わない電子連絡帳や、保育園行事を撮影したデジタル写真の手軽な共有など、ICT化を求める声には非常に共感できる」と今回の展開に至る動機を説明。

今回はワーキングマザーである社員からKids Diaryの存在を知らされたことがきっかけとなり、他の電子連絡帳アプリにはない使い勝手やすぐれた機能をもち、保育園と自治体とのやりとりも効率化できる強みをもつ同社との提携に至ったことが紹介された。「ここにKDDIのアセットを積み重ねると、さらにいいものになると思った」と説明。「KDDIは通信とライフデザインの融合を標榜している。通信をセンターにして、ライフデザインサービスを積み重ねながら、お客様の体験価値を上げていきたい。通信インフラ、スマホ、IoT機器などを重ねたKDDIアセットで、まさに保育現場の体験価値を高めていきたいと思っている」との意気込みを語り、「KDDIはKids Diaryとの提携で、保育ICT事業に参入する」とした。


「Kids Diaryは保育現場が抱える課題解決の中核に据える」として、保育業務と保護者とのコミュニケーションの統合管理、保育現場の事務作業の効率化と負荷低減、キーボードを必要としない直感的な画面と操作性、保育園ごとに独自のアプリの開発と提供(IT導入支援金対象)、自治体クラウドに対応する高いセキュリティーが実現できると説明。

Kids Diaryを保育現場が抱える課題解決の中核に据える

ここでKDDIが担うのは、「Kids Diary」を利用する保育園と利用者の拡大、さらに保育園以外の学童保育施設や幼稚園、習い事塾などへの活用シーンの拡大(市場拡大)。最終的には、保育園会計や監査業務対応、人事・労務管理、安心安全対策などとも連動させ、保育の現場に対する大規模な“スマート保育園プラットフォーム”の創出を目指していくという。「KDDIは地域活性化支援事業を通じて、全国の自治体と強固な接点を持つ。ここが類似サービスとの差別化ポイントになると思う。自治体の悩みも聞き、Kids Diaryを提案していきたい。またより深いICT化への実証実験も行っていく。またシステムが定着するようなセミナーの開催など、保育園へのサポートも実施する」。

KDDIが担う役割を紹介





最後に宮本氏は「子育てに関わる全ての人たちに幸せで充実した暮らしを提供したい。子ども達が成長していく育児はとても素敵な現場。そこで日々の感動を、自治体、保育園、保護者、立場の違う人たちの中で共有できるような仕組みができればと思う。保育士さんが保育の質を向上できる環境を整えることで、なり手不足を解消し、社会的に待機児童問題も解消できることにつながるものだと考える。子どもがどんな働きかけによってどう成長するかというような、保育士さんたちが暗黙の中で共有する保育の経験値がデータとして蓄積され、見える化、共有化される仕組みができるところまでいきたい」との強い思いを語った。

子育てに関わる全ての人たちに幸せで充実した暮らしを提供

スタンリー・ン・イエンハオ氏が続いて「Kids Diary」の概要を説明。イエンハオ氏はマレーシア出身で18歳で来日後、IT業界などで経験値を積み、2016年にKids Diary(株)を設立。自身が2人の子どもを育てる中、日本で待機児童の問題に直面し、保育現場の課題に注目したことがきっかけになったという。

「保育業界(のICT)には、業務の効率化と、保育士と保護者間でのコミュニケーションという2つのサービスが展開されている。しかしそれらの間にデータの連携性がない、アプリの操作が煩雑、2つのサービス双方を入れるとコストがかかるなどの課題がある。Kids Diaryはワンストップであり、2つのサービス双方に対応するものとして自社開発した」と説明。

Kids Diaryは、業務の効率化と保育士と保護者間でのコミュニケーションを担う

「Kids Diary」のアプリの開発では、保育の現場の声を拾い、1人1人の園児の1日の活動や食事・昼寝・排泄などの記録、保護者への連絡といった作業が手軽に感覚的に行えるよう工夫がこらされた。キーボードを使わずスマホやタブレット1つで記録や情報共有などが可能になっている。

保育従事者のタブレット(右)と保護者のスマホ(左)でやりとりをするイメージ

Kids Diaryの導入で期待される効果

全国の保育現場において、全体の3割にあたる約9,000の施設が保育用のアプリを導入しているとのこと。「Kids Diary」は2019年3月時点で全国約250の施設に導入されているという。今後2年から3年のうちに、シェア1割を目指していくとの目標が語られた。

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