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ソニー担当者に話も聞いた

4K/HDR映像を帯域分割、2台のプロジェクターで投写して高画質化。STU48作品の上映実験レポート

2018/02/09 編集部:小澤貴信
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先日のニュースでお伝えした、STU48が出演する「瀬戸内からはじめまして、」の4K/HDR映像を映画館で上映する実証実験が、8日にユナイテッド・シネマ アクアシティお台場で行われた。会場にはSTU48のメンバーである石田千穂さんと今村美月さんも来場した。

上映に使われた2台のSRX-R515

STU48のメンバーである石田千穂さんと今村美月さんも来場

この実証実験は、映画館に導入済の4Kシネマプロジェクターに、同じプロジェクターをもう1台追加し、2台で同期させて4K/HDR映像を投映した際の再現性の検証と、安定的に大容量コンテンツを配信できる技術・インフラ技術仕様要件の整備検証を目的としたものだ。

実証実験は博報堂DYメディアパートナーズが進行を統括し、WOWOWがコンテンツ作成、イマジカ・ロボットが配信設備、ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズが上映設備を担当した。

上映が行われたユナイテッド・シネマ アクアシティお台場

今回の会場では、ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズの沢海北斗氏、高橋光典氏、久野圭督氏に、実際の上映設備を見学しつつ、その詳細についてお話を伺うことができた。

左からソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ(株) プロフェッショナル・ソリューション&サービス本部 B2Bセグメント事業部門 ソリューション1部 シアターセグメント課 ビジネスプランナー沢海北斗氏、同 B2Bシステム設計部1課 シニアプロダクトエンジニア 久野圭督氏、同 VSVEセグメント部 主任技師 高橋光典氏

プロジェクターは、ソニーのHDR対応4Kデジタルシネマプロジェクター「SRX-R515」を使用。1台は映画館に常設されているもので、もう1台はソニーがデモ用に所有しているものを今回のために持ち込んで設置した。

2台のSRX-R515を使用。手前が常設のものだ

上記のようにSRX-R515は1台でもHDR対応しているわけだが、今回はHDR効果をより強く体感できるよう、SRX-R515を2台、スタックで使用。通常の映画上映の約5倍の明るさを実現したという。

興味深いのは、2台のプロジェクターで同じ映像情報を投映しているのではなく、1つの映像情報を帯域分割し、1台で高輝度部を、もう1台で低輝度部を投写していることだ。いわば、スピーカーにおけるツイーターとウーファーのような役割をそれぞれが担っているのである。

映像の帯域分割を行う装置、上側のディスプレイに表示されているのが高輝度部、下側が低輝度部となる

また、このようなHDR上映を行うためにはプロジェクターのコントラストが重要になるが、SRX-R515の4K SXRDデバイスは8,000対1というコントラスト値を備えている。これを2台使って帯域分割して投写することで、DCI規格を超えるスペックを実現しているという。

実際に上映された「瀬戸内からはじめまして、」でも、このHDR性能は、ライブシーンにおけるスポットライトやサイリウムの光の再現において、おおいに活かされていると感じた。

ちなみに、今回のように2台のSRX-R515を使って4K/HDR上映を行うのは、商業上映では今回が初とのこと。こうした取り組みは、2020年に開催されるオリンピックにおけるパブリックビューイングでの使用も視野に入れており、8K上映への発展も見据えているとのことだ。

なお、今回の実証実験のもうひとつのテーマである「安定的に大容量コンテンツを配信できる技術・インフラの技術仕様要件整備」については、映画上映用フォーマット(DCP形式)以外の形式の上映ファイルを、イマジカ・ライヴ社が構築したプラットフォームを使い、公衆回線を用いて劇場へダウンロード伝送するという試みが実施された。

上映コンテンツは、AWS(Amazon Web Service)のクラウドに一旦格納され、公衆回線を使用して劇場の受信端末にファイルを蓄積。その後指定した受信サーバーへ転送するという方式が採られている。今回は既存のコンテンツをダウンロードするという形だが、今後はライブ配信や4K/8Kコンテンツのファイル流通も視野に入れている。

STU48が出演する「瀬戸内からはじめまして、」の4K/HDR映像を上映

上映されたSTU48 「瀬戸内からはじめまして、」は、2017年に誕生した瀬戸内7県を拠点とする AKB の姉妹グループ、STU48が、地元瀬戸内エリアで幾多の試練を乗り越えながらも、ライブやイベントを通じて成長し、メジャーデビュー曲をリリースするまでの過程を描いた作品。瀬戸内の風景を織り交ぜたSTU48の活動の足跡、メンバーのインタビューやライブの模様が収められている。

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